異世界へ――。……8
※
「二人共、先に逃げて」
魔王様が告げた一言の意味が私には分からなかった。
確かに魔王様は私を襲った男を斬り捨てた。だけど、それは背後からの奇襲によって成り立った紛れのような物。見た目の年齢からして、まだ魔王様は少年。一国の騎士に奇襲とはいえ勝てたのだ。ある種の奇跡とも言える。
「でもっ!」
今度は、正面。素人の私には魔王様の力量を推し量る事は出来ないけど、常識的に考えて敵に勝つのは不可能だ。
私を襲った騎士は命令が届き難い下っ端…………でも、今回の騎士は見回り、つまり騎士の中でも比較的位の高い部類。
「……分かった」
そんな私の考えを嘲笑うかのように魔王様の下僕が答える。
私は即座に反論するが全く相手にされず、無理矢理引き摺られる。
「……死ぬなよ」
「僕の強運は、鏡君が一番知っているはずだよ」
二人の遣り取りが理解出来なかった。運で勝てるなら、みんな苦労して技を磨かない。
「おらあっ!」
笑いあう二人の水を差すように男が斬りかかる。勿論、私には辛うじで視認出来る程度の剣速。後ろを向いている魔王様が反応出来るはずがない。
私の頭の中は真っ白になり――――
「五月蝿いっ!!」
「ぐあっ!」
――――振り向きざまに剣を投げるという魔王様の不可解な行動に、さらに思考がフリーズした。
御無沙汰しております。
まずは遅れた事に謝罪を。すみませんでしたッ!
お詫びと言ってはなんですが、今週中に次話と『鬼姫』の続編を投稿させていただく所存であります、はい。
今仕事が終わったばかりで少しボケてますが、一応本気です。
今日から盆終わりまで休みなんですョ!
夏休みだわ~い、みたいなw