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異世界へ――。……7
「お前ら! そこで何をしているッ!!」
浴びせられる怒号。鏡君たちはその声に怯え、逃げるという選択肢を無くしている。
「……だから言わんこっちゃない」
別に言ってはないけど、愚痴るくらい許されて当然だと思う。
「二人共、先に逃げて」
オッサンソードを抜きつつ告げる。敵は既に抜刀し、こちらに向かって来ている。
「でもっ!」
「……分かった」
反論する彼女を半ば無理矢理引っ張り僕に背を向ける鏡君。こういう時、鏡君は役に立つ。
「……死ぬなよ」
「僕の強運は、鏡君が一番知っているはずだよ」
そう言うと、鏡君はくすりと笑って走り出した。……似合わない。
「おらあっ!!」
雰囲気をぶち壊す雄叫びに、僕の堪忍袋自体が破裂した。
「五月蠅いっ!!」
振り向きざまに斬るのではなく、思いっ切り剣を投げつける。
「ぐあっ!」
特に狙ったわけでもない剣は、狙い通り(・・・・)男の眉間を叩き割る。
……やはり、この世界でも僕は変わらず神に好かれているらしい。