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異世界へ――。……6

 僕は普通の人よりは本を読む人間だと自負している。

 純文学は勿論のこと、ライトノベルにも手を出している。

 ……恐らく、数百冊は確実に読んだだろう。

 それでも、助けた相手に魔王呼ばわりされるような落ちの小説は見た事がない。

 ここまで勇者であろうとする人間も珍しいと思う。だけど、それ以上に僕の境遇は珍しい気がする。

「あの、魔王様……」

「……その魔王様っての、止めてくれない?」

「無理です!」

「笑顔で拒否らなくても……」

 さっきからずっとこんな調子。

 どうにかしたいのだが……まぁ、無駄な事はしない主義だから、素直に諦める。

 諦めたまま歩き続けると――

「由希! 何処に行ったぁ! 出て来てくれッ!!」

 ……ペットを探しているかのように僕を探している鏡君がいた。

 カンに障るところがあるが、寛大な僕は特に何をするわけでもなく、返事を返した。

「鏡君!」

 僕の声に気付いてか、鏡君は素早く振り返って「消えたと思ったら、由希がナンパしてる!?」「……ちょっとおいで?」「すみませんッ! 命だけはどうか勘弁をだらす!?」

 五月蝿いので黙らせる。……にしても、今の飛び膝蹴り華麗に決まったな、うん。急所は鳩尾に限る。

「ま、魔王様、この方は御友人ですか?」

「違う違う」

 その問いに首を振って否定する。

「こいつは僕の下僕みたいなもの」

「いや、ちょっと待て!」

 む、もう回復したのか。二発目は何処を蹴ろう。

「あ、やっぱりそうでしたか! 弱そうでしたし」

「心に来る事言うね!?」

 そう叫んでうなだれる鏡君。

 ……ここが今、どれだけ危険な場所か理解しているのだろうか?




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