表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/8

異世界へ――。……2

「兄ちゃん、目は覚めたか」

 僕はその言葉で目が覚めた。

 つまり、まだ眠っていたのにも関わらず話し掛けて来たおっさん(声から判断)は僕の安眠を妨害した怨敵という事だ。

「……どうでもいいけど」

 呟き起き上がる。目の前には……鎧姿のおっさん。

 取り敢えず、初めて目にしたレイヤーさんはおっさんだった事に軽くショックを受けてみる……っていたら嘘だけど。

 取り敢えずそれはいいとして、だ。

「此処は何処ですか?」

 見回すと、一昔前の病院に見える。なんて言うのだろうか? 戦争時に怪我人が運ばれるアレ。

 実際、唸っているおっさんがいっぱいいる。

「見ての通り、此処は治療室だ。……まぁ、前線だけあって薬も何もないがな」

 前線……。

 僕はもう高校生で、こんな事は考えたくもないんだけど……もしかして異世界?

「敵襲だッ!!」

 そんな言葉と共に鎧姿のおっさんや軽装備の兄ちゃんが入ってくる……弓と剣を持って。

「……マジですか」

 呟いた声は棒読みで、僕は思ったよりも驚いていないらしい。

「兄ちゃん、あんたはまだ若い。これ持って逃げな」

 言うとおっさんは腰の剣を僕に渡す。しかし、それだとおっさんは武器がなくなる。

「なぁに、私にはこの鍛え抜かれた肉体がある!」

 僕の視線から何を言いたいのか判断したのか、おっさんはそう叫びながら近くの敵にラリアットをかます。

 ラリアットをくらった敵はぴくりとも動かない。

 それを見て満足したのか、おっさんは一つ頷くとまた別の敵に特攻した。

 敵は高笑いしながら突撃してくる謎のおっさんに、どう対処術きか迷っているようだ。

 僕は混乱に乗じてその場を後にした。




「………………」

 ゆっくりと、息を殺しつつ歩く。敵に見つかったら殺される……けど、あまり緊張感のない僕は馬鹿らしくなって普通に歩く。

 そして木影からそっと身を出し――

「チェストッ!!」

「くっ!」

 後ろは意識してなかった。僕は迫り来る剣をおっさんからもらった剣――オッサンソード――で受け止めるッ! ………………つもりだったのだけど……。

「痛!? ちょ、何でこんなとこに倒木があんの!? てかやべ、顔面からコケるの癖になってね、俺!?」

 ……倒木に足を取られ、顔面を激しく強打した馬鹿――もとい鏡君が居た。

 そして鏡君は僕と目が合うと、凄まじい勢いで命乞いを始めた。

「すみませんでしたッ! いやマジ殺すとか考えてなくて、ただちょっとした悪ふざけの範疇で……いや、もうほんと命だけは勘弁して下さい!」

「何やってんの?」

「は? ……由希?」

 お互い見つめ合う事数秒。

「あっははは、最初から気付いて」「嘘つくな」「……すみません」

 そんなこんなで合流を果たした僕達は、安全な場所を探して今までの経緯を話し合う事にした。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ