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prologue

よろしくお願いいたします。

『十分時間は稼いだ――――。』


日も昇ったばかりだという時間にも関わらず、空は分厚い雲におおわれ、背の高い木に囲まれた森の中は薄暗い。辺りには生臭い血の匂いが充満している。


『向こうは上手くやっただろうか―――――いやあの人のことだ。心配は無用か。』


そこで半刻ほど繰り広げられている激しい戦闘。十人程の賊の相手をしているのは、たった一人の騎士であった。


その騎士は感情を映さない美しい顔を血で濡らしている。肩の辺りで切りそろえられた、普段であればさらさらと揺れる真っ白な髪もべっとりと赤く染まっていた。もうそれがその騎士の血なのか、その騎士から切り捨てられた賊たちの血なのか分からない。


そんな中、一際赤く光っているのはその騎士のルビーのような目。


その騎士は恐ろしく強かった。既に周囲には無数の屍が転がっている。


しかし、賊の際限のない攻撃はたしかに騎士を追い詰めていた。


数人からの攻撃を弾き返す閃光のような騎士の剣戟。


遂にそれを破る一突きがあった。


膝をつく騎士。


瞬間────餌に群がる蟻のように賊たちが襲いかかる。


『ああ、一度だけ、もう一度だけ、会いたい。お父様、お母様、お兄様、みんな……。そして────────ジル。』


その身に与えられる痛みと熱さをどこか遠くに感じながら、最期に騎士の頭に浮かんだのはそんな切ない願いだった。


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