表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/11

3.白兎理事長の説明その1




 兎の姿の理事長はゆっくりと話し始めた。兎の姿ではあるが、何故か所々仕草が人っぽく感じるのは、やはり理事長が元々人だったからかも知れない。


 「…儂がこの地に訪れたのは、紀元前2世紀頃になる。儂は大陸の皇帝に不老不死の霊薬を届ける事を約束し、旅に出たのじゃ…当時は航海技術も進んでいなかった…。大型船5隻でこの地、と言っても、もっと西の地じゃったがな」


 蓉子が何かに気づき、兎理事長に声をかける。


 「あの、理事長…その話が本当でしたら、私も知っている人物が理事長って事になるんですが…?」

 「え、お蓉、これって有名な話なの?」

 「うん、中国の古い歴史書、史記に書いてあるけど…」


 兎の理事長が答える。


 「うむ、少し途方も無い話に聞こえると思うが、聞いて欲しい。おそらく波多野君の考えている人物で間違い無いはずじゃ…。そう、儂はこの日本に辿り着いたのじゃが、船団はバラバラになり、儂もかなり衰弱しておった。それを助けてくれたのがイザナギとイザナミの夫婦じゃった。こちらでは大神と呼ばれる存在じゃったのう。場所は今の島根県、出雲と呼ばれる地方じゃ」


 美咲もイザナギ、イザナミの名は知っている。でも神様じゃ無かった…?


 「イザナギ達の一族は、大陸から来た儂らを手厚くもてなし、本当に良くしてくれた。住む場所まで提供してくれたのじゃ。儂と一緒にいた者達はそれでも数百人はいたのじゃが、その者達と共に儂らはそこに住み初めたのじゃ。いつしかその場所を(葦原中国)と呼ぶようになった。その当時の儂は徐福と名乗っておったのじゃが、こちらに長く住むようになり、ここでの名前が必要になってのう…」


 蓉子は徐福の名前を理事長から聞き、やっぱりと声を出した。美咲はなんとなく名前を聞いたことがあるくらいだった。


 「儂らはしばらく中つ国で生活しておったのじゃが、はぐれた仲間達や、不老不死の霊薬の事も気になっておったのじゃ。まず西を目指し旅を始めた。今の九州方面じゃ。そこで驚いた事に、大陸で滅んだ国の子孫達が暮らしておるのがわかったのじゃ。今の熊本辺りに滅んだ呉という国の子孫が、そして越の国の子孫も移り住んでおった。しかし、この国同士は当時からずっと仲が悪く、日本に来てもいつも小競り合いをしておった」


 蓉子が相づちするように声をかける。

 「呉越同舟って事ですね?」


 兎の理事長が続ける。

 「波多野君は流石、中国武術を学んでいるだけあって、良く知っておるの…うむ、そうじゃ。しかしそれだけではなく、古来からこの地に住んでいた者達もおってのう、三つ巴の争いになり、更に酷い状況になっていった。これは今から2千年も前の話じゃ…。そんな中、儂はイザナギ達の一族にこの地の仲裁を頼んだのじゃ。儂は製鉄の技術を授けていたので、この地にはまだ少なかった鉄を大量に持っておった。その力は強力で、イザナギ達は仲裁に成功したのじゃ。これがいわゆる倭国大乱の始まりじゃな…」


 美咲も倭国大乱は聞いた事があった。段々理事長の話に引き込まれていく。理事長は続ける。


 「2人とも物部氏は知っておるじゃろう?」

 「はい、蘇我氏に敗れた豪族です」

 「確か神道を擁護していたのが物部氏で、仏教を擁護したのが蘇我氏…」

 「うむその通りじゃ、その物部氏は儂と一緒に大陸からこの地に来た一族でのう、儂は物部一族を九州にも住まわせ、今で言う警察のような役割を担ってもらった。そして儂はまた旅を続け、離れ離れの仲間を探したのじゃ。日本各地に徐福が来たという伝説があるのはそういう訳じゃ…。そして儂はしばらく旅を続け、仲間を見つけたのじゃが、その場所が東北、この秋田だったのじゃ」


  兎の理事長の話にどんどん引き込まれて、次の展開を期待している2人がいた。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ