表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
22/29

第五章~レッダ過去・終焉編②~

カクヨムのコンテスト応募作品の宣伝です。

「ウォォォォォォォォ!」

 「レ、レッダ!?」


 僕は崩れ落ちて膝を床に着いた状態のままレッダの方に目を向けると、そこには人間と思える影が一人も見当たらなかった。


 「な、なに……? 何なの、その姿は……」


 先程僕に斬られて宙を舞ったと思われる人物は、全身から暁色の炎を取り纏って自らの面影にコーティングし、人間だとは思えない様な姿、いわゆる伝奇や伝説に出てくる様な怪物に似た形で雄叫びを上げていた。


 「アッズリ、ようやくわかったよ、昔フォルツァを宿した青年が唯一一人だけ命を奪った理由」

 「うん、僕も何となく言いたいことは分かるような気がする」

 「とうとう、レッダ・テルーノを形成している魂そのものがダークフォルツァに染められてしまったんだ」


 僕の目に映るレッダの両眼は、暁色の満月が月光ではなく殺気を放つ様に、怒りなどの負の領域を通り越した闇という領域に辿り着いている様に見えた。


 「……アッズリ・アベントリエロォ。オレヲトメテミヨ!」


 闇に覆われた漆黒の化け物は、四足歩行の様な態勢になると、口を大きく開けて空に向けて雄叫びを超えた金切り声を上げた。僕は慌てて両耳を手で覆うと、レッダは口の前に人魂とは比べ物にならない程の暁色の炎の塊を作りはじめた。


 「アッズリ! 避けて!」


 ティノの声は遅く、すでにレッダの口から勢いよく吐かれた炎の玉は僕に向かって飛んできていた。


 「うわぁぁぁぁぁぁ!」


 僕は炎の玉の勢いに大敗して抗う事もできなく壁に叩きつけられた。


 「くっ! なんて威力なんだ……!」

 「アッズリ……!」

 「ホォ、オレノホノオノタマヲウケトメルトハナ、ダガマダマダジョノクチダ」


 僕も先程までのフォルツァ前回の力が出ている状態ならかわす事ができたはずだが、レッダの攻撃にもろに当たってしまったという事は、自分自身の体力の限界が近づいていることを意味していた。

 確かに心の底に宿るフォルツァの力を、いきなり全身全霊で出力してしまったら、必ずこうなる事は薄っすらと予知していた。だがこの疲労はその予想を上回って、無意識に肩が下がるほどの傷を得ることになってしまった。


 「はぁ、はぁ、まだまだフォルツァの力はこんなものではないはずだ」


 --そうだ、フォルツァには無限大の可能性が詰まっている。こんなことで挫ける柔な力じゃないぞ。


 (……ルシオン。そうだ、そうだよね。ここで諦めたら何もかもがお終いなんだ。だから……!)


 「ティノ!」


 僕は鎖で繫がれて動けないティノに向けて、精一杯の決意を飛ばした。

 僕はティノと出会ってからの僅かな時間の中で数多くの経験をした。それは旅に出て見ないと分からない、言わば厳重に閉じられた開かずの間の先にある壮大な世界を見ている様だった。僕は初めて見る景色にとても心が躍った。悲しいこともあったけどそれ以上に楽しさも人一倍経験した。こんなに多くの感情を僕に齎してくれたのはティノだ。

 だから、腹の底から湧き出る感謝の言葉を一つ、ずっとティノに正直に伝えようと思っていた。


 「……ありがとね、僕に色々な景色を見せてくれて」

 「……‼」


 感謝の言葉を言ったその瞬間、僕が兵士を助けた時に見せた目も霞む様な白い光が、突如として僕とティノの胸の辺りが一斉に光り輝いた。


 「……何だ!? これは!?」

 「そっか……君は、私を選んでくれたんだね」

 「僕がティノを選んだ……? どういう事さ!」

 「『フォルツァの王は導者を選ぶ』。これもまた伝説に聞いた話さ。それよりもほら、そこのダークフォルツァの闇の王がアッズリと戦いたくて仕方がないみたいだよ。アッズリ、私にもっと良い景色を見させてよ!」


 何故だかティノの言葉が聞こえるだけでとても心強く感じる。これまでは自分一人がフォルツァを駆使して戦いに挑んでたというのが、自分自身の使命の概念の様になっていたが、今はそのころ戦っていた自分とは全然違う。まるでティノが僕の心の中にいるみたいだ。


 「レッダ……、これで最後だ!!」

 「ウォォォォォォォン‼」


 僕とレッダは、最初初めて対峙した時の様に、同時に床を蹴った。

 だがレッダの戦闘方式は人間の形を維持していた時と全く動いが違い、四足歩行の猿が共募化した時の様に、暁色に染まり長く変化した手足を振り回して攻撃を繰り出していた。


 (もうレッダは人間という動物じゃない。闇その物の正体がレッダであり、この姿が本来の姿なんだ)


 僕は四方八方に飛んでくる暁色の手足や、時折大きく開いた口から放出される暁色の玉を、瞬時に形成する蒼白の壁で受け止めながら反撃の瞬間ときを待った。

 先程まで身体の疲労で動くことすらできなかったはずなのに、何故かフォルツァの力が数秒前光輝いた胸の辺りからどんどんと溢れてくる。

 僕はレッダの攻撃を弾いた時に、ちらっと視線をティノの方に映した。


 (ティノ……!?)


 僕の目に一瞬だけ移ったティノは、教会に祈りを捧げる修道女の様に白く光り輝く胸の前で両手を握り、夜空に向けて目を瞑っていた。


 (……そうか。ティノが僕の心の中に存在するという錯覚に陥ったのは、ティノ自身が僕にあの白い光を通して力をくれていたからなんだ)


 「ウォォォォォォォン!!」

 「負けるか!」


 僕は即座に両腕を左右に広げると、その動きと平行にして蒼白の双剣を形成した。


 「おりゃぁあ!!」

 「ウ、ウォォォ……!」


 僕に向かって鋭い軌道で飛ばされてきたレッダの爪の斬撃を双剣で弾き返し、少し体勢を崩して怯んだレッダに反撃の隙を与えない様に、続けざまに素早い速度で双剣の乱舞を繰り出した。


 「アッズリ……、私達二人が光り輝いて共鳴したのは、フォルツァの源力である感情が蒼眼の王とユピテルの導者という絶対関係の下で一致したからなんだ。共鳴した二人は一心同体となり、その分フォルツァの力が二人の感情の一致に比例して爆発的に向上するんだ。私はアッズリを信じてる。だから、私にも君が見たがっている最高の景色を見させてよ!」

 「はぁぁぁぁぁぁぁ!」

 「ウォォォォォォォ!」

カクヨムにて応援よろしくお願いします。

なろうにて毎日連載中です。ブックマーク、感想、レビューなど頂けたら幸いです


イラストや近況報告は北斗白のTwitter、又は活動報告にて掲載しておりますので目を通してくださるとうれしいです。

@hokutoshiro1010

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ