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第3話







俺はよくわからない姫とか言う奴に別れを告げた後、あてもなく森を彷徨っていた。



「あの騎士団の連中、なんでゴブリンなんかに苦戦していたんだ?」



俺がゴブリンに加勢しなければ、かなり状況が悪いことになっていたような気がする。

ゴブリン相手に苦戦する騎士とは、この国は大丈夫なんだろうか。

この国の行く末について、異世界に来てから1時間も経っていない俺は模索した。



「ひ、ひえええ」



そんな時、遠くから誰かの情けない声が聞こえた。


(また何か厄介ごとか?)


おれはめんどくさいので放置することに決める。

あの手の声を上げる奴にろくな奴はいない。

おれはそう決めつけ、あるがままの道をゆく。


「た、助けてくれ〜!!」


近寄るまいとして無視を続け歩いていたが、どうやら向こうの方からやってきたらしい。

荷馬車のようなものを引っ張り、こちらにかけてくる。



「あ、おい!お前おでを助けてくれ。いや、助けろ!!!報酬はたんまりはずんでやる!!」



顎に肉をぶら下げ、頬からも肉をぶら下げる醜い男がおれに告げてくる。

なんて醜い男なのだろう。

醜いおれが口を開く。



「何かに追われているのか?」


ヒヒーンッ!


疑問を尋ねようとしたところ、直後にそいつらは現れた。



「おいおい、どこまで逃げんだよ。」


「手間取らせやがって…。」



知らない人たちがゾロゾロとやってくる。

着ている服はズタボロで悪臭を放ち、全員が頭に兜の様なものをつけており、目元しか見えない。



「ひ、ひぉ!頼む!命と馬車と積荷だけは勘弁してくれ!」



さっき会ったばかりの醜い男が言う。

こいつ、泣きそうな顔をしているが、思ったより余裕なんじゃないのか?図々しすぎるだろう。


そんなことを考え、俺は俺で口を開く。



「あんたら、見たところ盗賊の類だろ?服が臭くて顔も臭い。ボノ布なんか着て俺の前に立っていいとでも思っているのか?なんて奴だ、積荷と馬をこちらに寄越せ。そしたら死刑にしてくれる。」



おれは謙虚なお願いを申し出た。

すると盗賊団と思われる輩は顔を真っ赤にした。



「てめぇ!自分の立場がわかっていないようだな!お前から殺してやる!」



盗賊達は醜い男に向けていた殺気をこちらに向けてきた。



「まあ待て、俺らの狙いは商人だけだ。」



盗賊の1人が仲間を諭すように言った。

見たところこいつが頭だろうか?

1人だけ馬が黒色で、どこかリーダーめいた雰囲気を醸し出しているような気がする。



「で、でもよ…!」


「商人については調べてあるが、こいつは想定に入れていない。

身なりからしちゃ弱そうだが、実力が見た目と比例しない奴なんていくらでもいる。相手の戦闘力は未知数だ。

此方の仲間を減らすような可能性は出来るだけ潰しておきたい。」



この男、俺には及ばぬが頭がいいようだ。



「頭がそう言うんでしたら…。」


「おい、そこの男、俺らはお前に手出しはしない。そこの商人に用があるだけだ。

それを踏まえた上で、お前はどうするのか、答えを聞かせてもらおうか。」



成る程、伊達に頭を張っているわけではなさそうだ。

俺は天才的な頭脳を使い、相手の力量を見極め即座に行動に移す。



「そんなものは関係ない、皆殺しだ。」



端的にかつスピーディーで、俺以外の誰もが文句を言わない。

終わった後にも先にも問題になる確率は一番低く、それでいてことが終わった後には、発言者が一番得をする、最も最高な結果を残すセリフを相手にかました。



「…………ーー殺せ。」



驚きに目を見開いた後、そんな一言を部下に命令した。

問題が起きたら殺す、暴力を振るう。

すぐ力技で解決しようとするなど、愚者のする事だ。リーダーは頭脳派だと思っていたのだが撤回しよう、こいつは頭が悪そうだ。


剣を構えた盗賊どもが切り掛かってくる。

俺は醜い男の荷馬車から適当な刃物らしき物を手に取り、避けざまに鞘から刀を取り出し、相手の乗る馬の首に剣を突き立てた。


ヒヒーンッ!


馬は吠え、上に乗っていた盗賊は地面に投げ飛ばされた。



「ぐっ!て、てめえ…っ!」



馬から投げられた男はかなり怒っている様だ。最近の若者は怒りっぽいのは、異世界でも同じ事なのだろうか?


怒られたら怖いので、すぐさま馬から剣を抜き、盗賊に背を向けておれは走り出す。



「に、逃すかよ!」



案の定馬に乗っていた盗賊は、此方を追いかけて来た。



「ま、まて!わいの護衛を…ぐええ!」



そんな情けない声が後ろから聞こえた。



ーーーーーーーーーーーーーーーーー



盗賊団の一団から離れ、1人の男と追いかけっこをしている最中、おれは服を脱ぎながら走っていた。



「なんで服なんて脱いでやがる!」



そんな声が後ろから聞こえるが無視をする。

こいつ1人しか追ってこないのは恐らく、木の密集しているところへ逃げているため馬が使えないからだろう。



「服を着るために服を脱ぐ、当たり前だろう?」



答えてやる筋合いはないが、一応答えておく。

このまま全裸になり、さっき助けた馬車に突撃したらどうなるのだろう、反応が面白そうだな。

そんな考えをしながら上に着ている最後の一枚を脱ぎ、盗賊へ放る。



「なっ」



今まで脱いでいたのはそこらに捨てていたので、まさか此方に向けて服を投げてくるとは思いもしなかったのだろう。

驚いた様な声が聞こえた。



投げた瞬間体を反転し、投げた服に合わせ剣が隠れる様にし、構える。

相手からは俺の足しか見えていないだろう。


盗賊は服を振り払おうと手をかざすが、その瞬間には身体に剣が突き刺さっていた。



「こんな…露出狂…な………に……」



息があったのでとどめを刺す。

そして死んだ相手の服を剥ぎ取り着る。

こいつが被っていた兜も頭にかぶった後、流れていた血もすくい取り、服につけた。



「こいつの頭と、おれの着ていた服も一応持ってくか。」



おれは生首1つを持ちながら、走ってる最中に投げ捨てていった服の回収をするために来た道を戻っていった。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



走りながら捨てていた服を道しるべにし、俺は商人が襲われた馬車のところへと戻って来た。



「思ったよりもはやいな、ちゃんと殺したのか」



威圧感を出して俺に聞いてくる。

こいつらは兜をつけているため、中身を見なければバレないと思ったが、思った通りだった。



「ちゃんと殺したぜ?その証拠に首だってあるさ。あと、着てた服がここらじゃみないもんだったんで剥ぎ取ってきやした。」



そういいおれは生首と血塗れの服を、リーダーに渡した。



「血塗れだな」


「ったりめえでぇ!おれの愛馬ポニーちゃんを殺しやがって!ムカついたからズッタズタにしてやったぜ!!んっはあああ!」


「そ、そうか…」



何故かリーダーの顔は少し引きつっていた。

このリーダーはなかなか正義感が強いのだろうか?

おれが拷問をしてきた様な雰囲気を出したので少し引いてしまっている。

それとも別の理由で引いているのか?


よくわからないが不味いと思ったおれは、盗賊団っぽいジョークを即席で作り、リーダーを笑いに誘う。



「なんなら、あいつの男の象徴だって持って帰ってきたぜぇ?これでおれは二刀流だぁ!」


「……。」



リーダーは俺の盗賊ジョークを無視した。

部活の笑いを無視するとはなんて奴だ。

部下になるのならもう少しノリのいい奴の下につきたいものだな。



「まあいい、商人から積荷も取れた。

今までは俺の後衛を担当していたが、奴隷が手に入った。お前はその見張りをしろ、ついてこい。」



その言葉に従いついていくと、馬車の中にある檻の前へと引っ張ってこられる。



「楽しむのは勝手だが、こいつらは新品だ。膜を破る以外なら好きにしろ。」



そう言い鍵を投げつけてくる。

文句を言いたくなるのをこらえ、暗闇の奥へと目を向ける。


するとーーーー










怯えた4つの瞳と目があった。







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