表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
時き継幻想フララジカ 第二部 『乱界編』  作者: ひなうさ
第十八節 「策士笑えど 光衣身に纏いて 全てが収束せん」(分隊編 後編)
99/329

~戦士帰りし 人と魔者の悪意と世界の選択~

シュォォォン……。




 光が途絶え、放たれた命力が淡い光となって大気に消えると……命力珠から放たれた光が収まっていく。


 すると……ドゥルムエーヴェの先端にある命力珠が「グスリ」と音を立てて崩れ、砂へと還った。

 途端にその本体もまたボロボロと破片が落ちていき……役目を終えた魔剣は完全にその形を崩れ落としたのだった。


「今までありがとう、ドゥルムエーヴェ……」


 彼女が魔剣使いになって間も無い頃から使い続けてきたドゥルムエーヴェ。

 今日まで彼女を守り続けてきたその魔剣の最後は気高く美しいものだったと言えるだろう。


 人ではなく物であったが……その命が失われた時、茶奈の目からは一筋の涙が零れ落ちていた。






 茶奈が感傷に浸っている時、マヴォは目の前に広がる光景を唯々唖然としながら眺め続けていた。


「これ程までかよ……アストラルエネマというのは……」


 そこに映る光景……円筒状に切り開かれた大地と木々が遥か彼方まで続き、その軌道上に在った山ですらもその頂きを半月状に(えぐ)り取っていた……。


 彼女が放った光の柱の先には「何物」すら残る事は叶わなかった様だ。






 黙りこくるアージはへたり込んだ体を休めながら思いのままに呟く。


「これでいいのだ、ミョーレよ……お前に狂気は似合わない……」


 彼女の心に振れた時、彼には彼女を救いたいという気持ちがあった。

 だが、最後に狂気に取りつかれ全てを焼き尽くそうとし彼女を救う事は適わない……そう悟ったからこそ、彼はこうなる事を良しとし……無念を内に殺す事を決めたのだった。






 様々な想いを胸に、彼等は佇み……僅かに雲が覆う空を仰ぐ。

 涼しい乾燥した風が、火照った彼女達の体を優しく包み込んでいた。




――――――




 その後、茶奈達はすぐに動く事すら適わずその場で休憩している所を駆け付けた龍将軍に発見され、彼の乗ってきた車両へと乗せられ無事に戻っていった。


 本部へ無事を伝えると、笠本が胸を撫で下ろし……間も無く帰って来た彼等を笑顔で迎えた。


 様々な思惑が交錯したこの戦いで、ボロボロでありながらも互いの無事を祝福する仲間達。

 一度はダメだろうと思った事もあったこの戦いで、彼等はここに戻る事が出来た事で安堵の表情を浮かべていた。




 こうして、4人は無事日本へと帰る事が出来たのであった。




 それからしばらく後、世界が震撼する事となる。


 中国政府の発表により、同国軍の一部幹部がベゾー族との癒着を行い物資の横流しを行っていたという情報を「一般公開」したのだ。


 当然、魔特隊の情報は秘匿されたままではあったものの、その情報公開により各国が同様の案件を示唆しそれぞれが調査を始めた事は言うまでもない。


 これにより世界規模での自浄作用が図られ、中国政府に対し一定の評価が与えられる事となったが……この事件をきっかけに、人と魔物が悪意を以って繋がる事が出来る事案を証明したという黒い影を落とす事となった。




 人も魔者も本質は同じ……その事を証明するには十分過ぎたのだ。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ