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時き継幻想フララジカ 第二部 『乱界編』  作者: ひなうさ
第十八節 「策士笑えど 光衣身に纏いて 全てが収束せん」(分隊編 後編)
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~優女咆えし 全てを飲み込む閃光彼方へ~

「ンウアァァァーーーーーーー!!」




 突如、叫び声が響き渡る。

 甲高い金切り音にも近いその後を引く声が、発した者の必死さを伺わせた。


 それに驚き茶奈が振り向くと……遥か先に立つミョーレの姿がそこにあった。


「ハッ、ハッ……アタイが最強なんだ……アタイが頂点でなきャあ……誰も、誰もアタイには成れやしないんだ……!!」




 己の信念を貫き、相手を支配する事に拘るミョーレ。

 その姿に……かつて自分のエゴの為に狂った男の姿が重なる。




「それは違います!!」

「何ッ!?」


 だからこそ、彼女は声高々と上げ……その心を示す。


「貴方が幾ら強くなろうと……人は貴方には成れません!! むしろ貴方がそうであろうとすればするほど……人は貴方から離れて行ってしまう!!」




 その先に行きつくのは狂気……。

 彼女はかの男(獅堂雄英)を見たからこそ、それを痛い程理解していた。




(うるさ)いッ!!」

「ウッ!?」


 だがその声すらも届かず跳ね除けられ―――


「もうお前達と話す事なんか何もありゃしないネェ!! 皆纏めて……消し炭だッ!!」


 怒鳴り散らしながら、その手に掴む魔剣の柄先を茶奈達へと向けて光を溜め込み始めた。


 その込められた力は今までとは比べ物に成らない程強力な力。

 それを防ぐ事はフルクラスタですらままならない。


 ……茶奈はそう感じたじろぐ。




その時―――




「女神……ちゃんッ!!」


 マヴォの小さな声と共に、彼の手より投げられた一本の魔剣……ドゥルムエーヴェ。

 それを受け取ると、茶奈はミョーレ同様に杖先を彼女へと向けた。


「なッ!? キサマ……アタイと同じ……!!」


 二人共に体を横にして両手で魔剣を番え、足を広げて大地へしっかりと踏み込むスタイル……それは二人が似た特性を持った魔剣使いであるという証拠である。


「同じ条件なら……負ける訳にはいかない!!」

「ウアァァァーーー!! 劣等種如きがァァァァーーーー!!」




カッ!!




キュォォォォーーーーンッ!!




 お互いの魔剣から同時に放たれた命力の光線【光 の 柱(フラッシュピラー)】。

 その余りにも大きな光同士が激しくぶつかり合った。




バォォォォォーーー……!!




 ぶつかり合った地点で大きな炸裂音を立てて激しく光が霧散し弾け飛ぶ。

 飛び散った光は物理干渉を及ぼし周囲に立つ木々すらも次々に削り取っていく

 余りの濃度の命力により霧散した光が大気を押し出し不規則な風が吹き荒れていた。


 お互いの力が拮抗し、出ては戻りを繰り返しその力の駆け引きが繰り返される。




「カカッ!! 例え命力量が底無しだッたとしてもネェ……同じスタイルならアタイが負ける道理は無いんだよォ!! それがこの魔剣『パルムナキーン』の力なのさ!!」




 すると突然その拮抗が崩れ……徐々に茶奈の力が押されていく。

 魔剣ごと押され、茶奈の顔に苦痛の表情が浮かぶ。


「うぅーーーーーッ!!」


 彼女の劣勢を前に、それを見守るアージとマヴォの手にも力が籠る。


「まさかあれがパルムナキーンだとは……だとすれば茶奈殿は不利だ!!」

「それってあの……撃ち出した命力を倍増させるとかいう古代三十種の一つ!?」




 古代三十種(エンシェントサーティ)……それはかつて創世の女神が魔者に手渡したとされる最初の魔剣。

 2年前に勇が持っていた『大地の楔』もまたそのカテゴリであり、それらは漏れなく所有者へと特殊な固有強化を与える力を有していた。

 ミョーレが持つパルムナキーンもまた同様、命力を増幅させる力を有しているのだ。


 それを相手に、そういった力を持たないドゥルムエーヴェでは力不足は否めない。

 いくら茶奈が大容量の命力を有していても、その放出量が増幅された相手の命力を上回る事が出来ないのだ。




パキッ


パキキッ




 力の押しあいに負け、圧倒的な命力の滞留が発生していたドゥルムエーヴェの表皮にヒビが入っていく。


「ぐぅ……ドゥルムエーヴェ、お願い耐えて!!」


 だが無情にもドゥルムエーヴェは崩壊を続け、徐々に命力珠の色が黒く塗り潰されていった。




「アタイに逆らう奴は皆消し飛べ!! 消えろ!! この世界からァ!!」




 更に力を篭めた光の柱が茶奈達へと向けられ……彼女への重圧が重くなっていく。




 その時、マヴォが勢いよく立ち上がった。

 重い足取りを一歩、また一歩踏みしめ……茶奈の真横に立つ。


「マヴォさん……!?」

「女神ちゃん、俺が後ろを支える……だからこいつを使うんだ!!」


 その手に握られたのはクゥファーライデ。

 だが、それを使うという事はつまり、全力を出せ(・・・・・)という事。




 以前彼女はアストラルエネマに覚醒した後……一度全力の力を放ち、衛星軌道にある衛星型の魔剣を撃ち落とした。

 それ以降ほとんど使う事の無かった力だが……今この時、再び彼女の力が解き放たれようとしていた。




 静かに茶奈が頷くと……マヴォがドゥルムエーヴェの後方を掴む。

 茶奈はそっと後方を掴んでいた右手を離し……クゥファーライデを受け取った。


「今だ、ぶちかませぇーーーー!!」

「うわぁあああーーーーー!!」


 その途端、「シャキン!!」と音を立てクゥファーライデがその柄を伸ばす。

 戦闘モードへと移行したクゥファーライデをドゥルムエーヴェへと重ね合わせた。


 『クロッシング』……二つの魔剣を同調させ、その力を最大以上に発揮させる彼女の特技である。




 途端、クゥファーライデの命力珠が強く光り輝き……放出された光をより強く、より大きいモノへと変化させたのだった。




ズオォォォーーーーーーッ!!




「なっ……何ィ!?」


 見る見るうちに大きくなっていく茶奈の光の柱。

 その変化量や目に見える程に大きく力強い……淡い赤色を含んだ圧倒的な命力の塊。




「そんなバカな……有り得ない、アタイは最強……アタイはぁ……ッ!!」




ゴォォォォォォーーーーーー!!




「アタイが……負けッ……―――」




 完全に力を押し切り、押し負けたミューレを巻き込んだ茶奈の光の柱は……その力を放出しそのまま一直線へと突き抜けていった。


 その光の柱は中国大陸から水平に放たれ、地球の重力に引かれ湾曲しながらも成層圏を抜けて宇宙空間に一筋の光を作っていった……。




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