~魔特隊杯 ファイナルラップ~
ファイナルラップ、各者が次々と突入してまいります。
それを見送る観客席のギャラリー、圧倒的なスピードで駆け抜ける選手達を前に大賑わいを見せております。
「えぇ~……ナニコレ……」
一人不満そうな顔付きのラクアンツェさん、初めてのレース観戦にカルチャーショックを隠せない模様。
ギャラリーとして彼等を応援するのは藤咲夫妻、園部夫妻、相沢母、非戦闘員のカプロ君、本部事務所勤務の作業員の方々、本日オフのお世話になった自衛隊の皆さま、前本部でお世話になった医療班の方々、ボノゴ族の代表使節団等、多くの方々がいらっしゃっております。
「勇君頑張れー!!」
「皆ファイトッスよー!!」
多くの声援に囲まれ先頭集団、最初のカーブへ突入!!
ムッ!!
おっと、心輝選手バランスを崩したー!?
やはり本気で走り続けると、この辺りで体力的にきつくなってくるのでしょうねぇ。
やはりスタミナの低さが露呈か心輝選手、しかしなんとかコーナーを曲がり切るも……マヴォ選手に追い付かれてしまったーーー!!
「フファファ心輝ィ、このまま取らせてもらうぞッ!!」
「へ、へへ……やらせるもんかっての!!」
バオゥン!!
おっと再加速!!
心輝選手、グワイヴを使い再びマヴォ選手と僅かに距離を取る!!
「私を忘れては困るわッ!!」
こ、これはァーーーーー!?
なんと、レンネィ殿がっ!?
跳んだァーーーーーー!!
跳びました、レンネィ選手、二人を飛び越え一気に首位へ!!
シャラルワールの特性を利用して爆発的な速度を得たのでしょう、さすがはレンネィさん。
あれなら命力の大きな消費も無く速度を出せるという訳ですか……!!
「ッキショォ!! やらせるかァ!!」
「ウオオ!! 負けられるかッ!!」
二人も負けておりません、ヘアピンコースに差し掛かり3選手、負けず劣らずの攻防!!
S字カーブを蹴り、コースをジグザグに跳ねながら進んでおります、そして大きなカーブ、そこから一気にダウンアップストレートが待っているー!!
「クゥオオオオ!!」
「やっらせねぇーーーー!!」
ボォンッ!!
なっ!?
これはァー!?
心輝君……君は……!!
心輝選手、ガス欠だァーーーー!!
曲がり切れない、曲がり切れずカーブの壁に激突ー!!
これは大丈夫かーッ!?
手を振っている模様、平気であろう。
しかしこれは痛い、ここへ来て心輝選手まさかのガス欠、後続に抜かれ順位を落としました。
しかしデッドヒートは続いておりますレンネィ選手とマヴォ選手の二人の……こっ、これはッ!?
き、きたッ!!
きましたよぉ~~~~ッホッホッホッ!!
おおお……ッ!?
アージ選手と勇選手が一気に登って来たァーーーー!!
コースの特性を学習し、タイミングを計っていたのでしょう!!
二人の手練れが一気に詰めてきたァーーーー!!
あっという間に先頭に追い付きました!!
「なっ、バカなッ!?」
「ゲェッ!?」
「ウオォーーーーーーッ!!」
「カァーーーーーーッ!!」
なんというプレッシャー、なんという勢い、先頭に走る二人の選手を圧倒します!!
〝あっぷすとれぃと〟を越え申したぞ!!
最後のストレート……この直線が最後の戦い!!
最終コーナーを越え、4人の戦士が今、己の意地と誇りを賭けて、今やってきたァーーーー!!
並んでいますよぉーーー!!
これは完全なる地力の戦いですっ!!
か、勝つのは誰ぞッ!?
最後の瞬間を迎える為に今、4人の戦士が走ってまいりました!!
「……やらせないッ……!!」
ハッ……あ、あれは……まさか!!
な、なんと……!?
あぁ、なんて事でしょうか……!?
茶奈選手だぁーーーーーーーー!!
趣旨を把握していない茶奈選手、先頭集団に突っ込んできたー!!
音速で、茶奈選手突っ込んできたァーーーー!!!!
―――……ッドバォォォォォォオーーーーーンッッ!!!
なんという、なんという爆風、なんというイレギュラー!!
茶奈選手、先頭集団の選手達を吹き飛ばし今、ゴォーーーーーールッ!!!!
こ、こういう場合はどうなるんでしょうか……。
茶奈選手は既に失格の為、カウントされません、ついでに言うと一週目なのでゴールではありません。
勢いとは大事であろうからな、〝ごぅる〟の掛け声は必然であったといえよう。
さて、ゴール手前で倒れる先頭集団を尻目に、アンディ、ナターシャ選手が堂々のワンツーゴールイン。
続いて遅れてやってきました園部亜月選手、ちゃんと走ってまいりました、三着でゴールイン。
園部心輝選手がその後に続き四着でゴールイン、打倒アージ選手の念願が叶いました。
もう何でもありで御座るな。