~魔特隊杯 第一周目~
魔剣使い総当たりガチバトル、チキチキ魔剣使い猛レース『魔特隊杯』……実況は私平野と、古風な話し方が特徴的なジョゾウさん、魔特隊の総元締め福留さんがお送りいたします。
各者、配置に付き始めましたねぇ。
では、レースが始まる前にコースの説明を致します。
手始めに観客席の前に広がるストレート、その先を進むと第一コーナーがあります。
そこから大きく反転し、すぐに見えるのがアップダウンのある軽いカーブが連なるS字コース。
ここではアップダウンで体力を無駄に削られる為、周回中は注意が必要です。
〝あっぷ〟後の周囲の風景に気を付けたし……惑わされがちと言われる隠れた難所ゆえ。
その先を進むと鋭角のカーブがありますが、ここは非常に上り坂が急で前の景色が見えず危険な領域となっております。
下手に飛び出そうものならそのまま〝こーすあうつ〟しかねぬ故、〝すぴぃど〟に注意されたし。
そのまま緩いカーブを進み少し直進を進むとここでS字カーブ、下り坂となっており、急なスピードアップは禁物です。
飛び越えられないように急造のバリケードが各カーブに設置されているのでショートカットは期待しない様にお願いいたしますねぇ。
そして変則急カーブを挟んでダウン&アップのストレートコース、こちらは一気に加速する為に必要になると思うので、うまく利用したい所。
急停止による走者同士の激突に注意されたし。
その後は大きく傾いた道を緩いカーブが続き、そのままスタート地点に合流、これを3周しレース終了となります。
ここは地力のみの生きる完全加速領域に御座る……差をつける為にも全力で突き抜けよ。
どうやら各者配置に付いた様ですねぇ。
さぁ、果たして誰が勝つのか……やはり実力者か、それとも能力に秀でた者か……。
8割くらいの魔剣使いの意地がぶつかろうとしています。
出来れば10割が良かったのですが、得手不得手もありますからねぇ……。
シグナル点灯……
ビー
ビー
ビー
トゥーーーーン!!
バババッ!!!!
各者、一斉にスタート。
戦闘を走るのはアンディ、ナターシャ、以下順位は今だ不動。
順調な滑り出しですねぇ。
このまま一気にストレートコースを……っと?
茶奈殿……もとい茶奈選手が立ち止まったまま……動かぬ模様。
一体何があったのでしょうか、命力トラブルかー?
いえ、これは違いますね……彼女は待っているのです。
恐らく彼等が去った後、コースが空くのを……。
という事はつまり……出るかー伝家の宝刀~!!
茶奈選手、〝どぅるむえいぶぇ〟を掴み申したな。
そして遂に……火が吹いたァーーーーー!!
ゴォォォオ!!
「行きます……!!」
ドォーーーーンッ!!
見る見るうちに加速していきます。
速い、これは速いーーーーーー!!
あっという間に最後尾との距離を縮めていきます!!
さらに加速しておりますな……速い!!
アウトサイドを攻めながら遂に相沢選手を抜き去り、順位を上げていきます。
最初のコーナー、先頭集団は既にカーブの先。
それを追従する茶奈選手、カーブへ差し掛かります。
なんという〝すぴぃど〟か!!
そのままカーブに突入ゥーーーーーー!!
おおっ!?
……そしてそのままコースアウト。
あっという間に見えなくなりました茶奈選手、場外に出たのでここで失格です。
彼女は果たしてレースの趣旨を把握しているのでしょうか……。
それは彼女のみが知る事でしょう……気を取り直して先頭集団をクローズアップ。
おぉ、これはこれは……。
何と順位が入れ替わっております、現在一位は……園部亜月選手!!
帰りたいと申しておったが何故にやる気になったのか。
年頃の女の子の考える事はよくわかりません。
エスカルオールの持つ加速能力をふんだんに利用して一気にトップに躍り出た模様。
「ンオッホッホッホ!! アタシの演技に騙されて油断したのが悪いのだー!!」
どうやら策略だった様子、しかし誰一人聞いてる様には見えません。
しかし速いですねぇ……いつもこんなスピードで走っているのでしょうか……。
おーっとコーナーに差し掛かり減速に失敗かー……曲がり切れず失速、しかし何とか曲がりきれました亜月選手、再び加速しまして順位は変わらず。
現在一番手亜月選手、二番手心輝選手、三番手アンディ選手となっております。
まだまだ〝れぇす〟は始まったばかりに御座る。
えぇ、展開がどうなるかはまだわかりませんからねぇ……茶奈さんの事といい、なかなか楽しめそうですよ。
早速のハプニング後の盛り上がり時ですが、ここで一旦CMです。




