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時き継幻想フララジカ 第二部 『乱界編』  作者: ひなうさ
第二十一節 「器に乗せた想い 甦る巨島 その空に命を貫きて」
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~昂り見せて、雌雄相まみえる~

「シンさん、私がやります!!」

「ダメだ茶奈ちゃん……コイツぁ俺がやる……!!」

「今はそんな……」


 いつもの様なはやる気持ちからの一言だと茶奈は直感した。

 だが、心輝は振り向く事無く……唸る様に声を上げる。


「ちげぇんだよ茶奈ちゃん……悪いが俺にゃ命力の盾は使えねぇ……護衛は難しいんだ。 だからよォ……!!」




バオゥッ!!




 途端、構えられた両腕のグワイヴから炎が噴き出し、彼の感情をも噴き出さんばかりに光を輝かせていた。


「俺がここを引き受ける……だから茶奈ちゃんは三人を連れて外へ逃げてくれッ!!」


 胸元でクロスする様に構えられた両腕に力が籠り、命力が昂っていく。

 もはや彼の心は決まっていた。


「……わかりました、絶対に死なないで下さい!!」

「おうよ!!」


 精一杯の一言を心輝に掛けると……茶奈は研究員達を連れ、自分達が来た道へ引き返し走り去っていった。


「フフ……成程、自分自身を盾としたか、面白いな貴公……なれば」




ビュオウッ!!




 突然、メズリの体が片足を軸に一回転した。

 途端空気の流れが「ビュオッ」という音と共に生まれ、心輝の髪を煽る。




 すると……彼女の背後に居た魔者二人の首がごろりともたげ転げ落ち、同時に体もが力無く崩れ倒れこんだ。


「て、てめ……!?」

「ンフフ……こやつらは仲間ではない……ただの駒に過ぎぬ。 目的を成すが為の使い捨てのな」


 だが、メズリに対し心輝が戸惑ったのは……躊躇なく自分の味方を殺した事ではない。


 彼女の動きが殆ど見えなかったのだ。

 一瞬の事で、何が起きたのか理解に時間が掛かった様だ。


「しかし好都合である……一対一でかつこれ程の自由の戦い……わらわにとってこれ以上に無い展開よ」




トォーンッ!!




 突き出されたその右足が床を突き、高い音を跳ね上げた。

 その足に輝くのは、二足のブーツ……光り輝く命力珠……それは脚甲型の魔剣。


「魔剣【イェステヴ】である……刮目せよ、カラクラが一族の一端に伝わる脚技(きゃくぎ)を……かつて天と地共に愛されし我が一族、其が脚こそが究極の武器と知れ!!」


 メズリの言葉と共に昂っていく彼女の命力。

 とめどなく溢れる力を前に、心輝は脅えるどころか……「ニィ」と大きな笑みを浮かべていた。




「好都合ってならよぉ……そいつぁ俺にとっても一緒なんだぜ……!!」




 突如グワイヴから激しい炎が噴き出し、周囲のガラクタを無造作に吹き飛ばした。




「ホーゥ……その魔剣、見た事あるぞ……確かグワイヴとか言うたか。 じゃが知っている形状といささか異なるのう」

「へへ……俺の為に生まれ変わったってェ奴よ!!」


 腰を下げ、両腕を腰に構える。


「誰かが居る所じゃあ……オチオチ本気なんか出してらんねぇからなぁ……!!」




 その瞬間、心輝の心がこれまでに無い程に昂りを見せた。




「ウオオオォォォーーーーー!!」

「ホゥ!?」




 グワイヴに備え付けられた命力珠が強く光を放ち、幾多もの光の筋が周囲にまき散らされていく。

 そこに形成されたのは……まるで光の爪。


「【グワイヴ・ヴァルトレンジ】だ……!! テメェこそ刮目しな……―――」




キィィィーーーーンッ!!




「―――昂るゼェ!! 俺ッ!!」




 心輝が力強い構えを見せ、その力を誇示する。


 その一部始終を目に収めたメズリもまた、狂気じみた万遍の笑みを浮かべ、その脚を深く構えた。


「なればわらわが……その昂りを鎮めてしんぜようぞ!!」




 二人の猛者が今、激突の時を迎えようとしていた。




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