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大きな星と魔法の薬


 大きな星が赤い星の子供に薬の話しをしてから何日も経ちました。大きな星は赤い星の子供の事が心配でした。ですが、どこを探しても赤い星の子供を探しだす事が出来ないでいました。

 

 その日も大きな星は赤い星の子供を探していました。すると大きな星のそばにあの日の魔女が近づいて来ました。

 「やぁ、久しぶりだね大きな星よ」

 「お久しぶりです」

 魔女はのんびりとしと話しかけますが、大きな星はそれどころでは無いと赤い星の子供を探します。

 「お前さん、何か探しているのかい?」

 大きな星はきょろきょろとしながら答えます。

 「ええ、そうなんです。僕は大切な友達の星の子供を探しているんです。魔女さん、赤い星の子供を見かけませんでしたか?」

 「あぁ、しってるよ」

 「本当ですか!」

 すると魔女は一つの薬瓶をだしました。中には赤く光る液体が入っていました。あの友達の星の子供と同じ色でした。

 「それは……」

 「これかい?これはお前さんが光るために必要な魔法の薬だよ」

 大きな星は驚きました。その魔法の薬を作るには光る星の子供が必要なはずです。

 「なんでその薬を今……。もしかして……!?」

 「確かお前さんは星の子供を探していると聞いてねぇ。何日か前に、薬を作るのにちょうどいい、赤く光る星の子が私の元を訪ねてきたんだよ。しかも薬に必要な銀の石と夜の切れ端と朝の鳥を持って。その星の子が言うんだよ、自分は大きな星の友達だ、自分を使って大きな星の願いを叶えてやりたいんだってね」

 「そんなっ…」

 赤い星の子供は大きな星の大切な友達でした。唯一の友達でした。もう会えないと思うと大きな星はとても悲しみました。

 「そんなに悲しむんじゃあないよ。大きな星、お前さんがそんな風に悲しむ事をあの星の子は望んじゃいないさ。……あの星の子はねぇ、あんたに笑って欲しかったんだよ。さぁ、この薬を受け取りな。飲むかどうかはお前さんの自由だよ」

 そう言うと魔女は薬瓶を大きな星に渡してどこかへ行ってしまいました。

 

 残されたのは大きな星です。魔女から魔法の薬を貰った大きな星でしたが、いつまでにたっても魔法の薬を飲むことが出来ないでいました。

 

 目の前には星の河があります。

 ゆーらゆーら、コツン

 ゆーらゆーら、コツン

 たくさんの星の子供が産まれますが、大切な友達と同じ星はやっぱりどこにもいませんでした。

 

 星の河を眺めているうちに大きな星はどんどん悲しみが大きくなって行きました。手元では友達の赤い星と同じ色をした魔法の薬だけがきらきらと輝いています。

 大きな星は、少しでも赤い星の光を近くで見ようと薬瓶のふたを開けました。すると、薬瓶からきらきらとした赤い星雲が溢れてきました。そして星雲が出てくるほど中の液体は徐々に少なくなりました。やがて、その星雲は大きな星を包み込みました。

 

 大きな星は驚きましたが怖くはありませんでした。むしろ大きな星は穏やかな気持ちになりました。ぜならその星雲は友達の星の子供の色と同じ、赤い色をしていたからです。今にも赤い星の声が聞こえてきそうなほど赤い星の子供の存在を身近に感じていました。

 

 気がつくと、大きな星を包み込んでいた星雲が、いつの間にかなくなっていました。優しい夢から覚めた時のようなよいんのあと、大きな星は見ている風景がいつもと違う事に気がつきます。

 大きな星の周りが星の河のように明るいのです。大きな星の体が光っていました。

 ですが、その光は星の河の星達のようにキラキラとした物とも、赤い星の子供のものとも全く違う物でした。

 

 大きな星の光は、メラメラと燃え上がり、全てを焼き付くしてしまいそうなほど荒々しい物でした。

 

 大切な友達の存在と引きかえに、大きな星の夢は叶いました。

 

 星の河の星達は赤く光る大きな星を見ては口々に誉め称えます。ですが、赤く光る大きな星に近く星は一人もいません。近づくだけで燃えてしまいそうなほど熱く、眩しいからです。なので、大きな星には星の河の星達の声はとどきません。

 

 大きな星が、ホロリと涙を流しても涙を知るものはだれもいないのです。

 

 

 

  おわり。

 

読んでいただきありがとうございました!

この話をもちまして「大きな星の夢」完結致します。


この物語と似たハッピーエンドの物語「星の小瓶」も投稿していますので、よろしければ読んでいただけると嬉しいです。

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