大きな星と魔女
「星の小瓶」の童話を書いている時に思いついた物語です。拙い作品ですが、読んでいただけると嬉しいです。
遠い遠い宇宙のはてに、星の流れる河があります。その河はとても大きくキラキラと輝きながら、どこまでも続いています。小さな星から大きな星まで、ゆーらゆーらと流れ、隣の星とぶつかってはコツンと小さな星の子供が産まれます。
星の河の近くには、いつもひときわ大きな星がいました。その大きな星は、星の河を流れている星とは違い体から光を放っていません。そのため誰から言われた訳でもなく、河を眺めていました。
大きな星には赤い星の子供の友達がいました。
その星の子供はいつも大きな星のそばにいるわけではありません。ですが、大きな星がとても喜んでいる時や悲しんでいる時は、どこからかやって来て一緒に喜び、悲しんでくれます。
大きな星はその赤い星の子供の事をとても大切にしていました。
さてさて、そんなある日の事です。キラキラと輝く星の河の近くを一人の魔女が通りかかりました。その魔女は星の河を見てなんと素晴らしいものだろうと感激しました。そしてその日から、毎日星の河にやって来てはゆーらゆーらと流れる星を眺めました。
ゆーらゆーらと流れる星を毎日眺めているうちに、魔女は自分以外にも星の河を眺めている者がいることに気がつきます。そうです。あの大きな星です。
ある日、魔女は大きな星に話しかけました。
「大きな星よ、この河はとても美しいな。おまえはこの河の星と共に流れないのかい?」
すると大きな星は少し寂しそうに答えます。
「はい、僕はいいんです。確かにこの河はとても美しいです。しかしそれはキラキラと輝く星達が集まっているからです。僕のようにただの大きな星が入ってしまっては、じゃまになってしまいます。」
「そうかい。確かにおまえの体は光っていないようだねぇ…しかし、それだけ立派な体があるんだ。どうだい、私にいい提案があるんだ、ちょいと聞いてくれるかい?」
「はい、ぜひ聞かせて下さい!」
「実はね、私は魔女なんだ。私の魔法でおまえの体を光らせてあげよう。」
大きな星は驚きました。長い間この体が光ったらと思い続けてきましたが、叶わない夢だとあきらめていたからです。
「えっ、僕の体が光るんですか?本当に?」
大きな星はとても喜びました。
「あぁ、本当だとも。ただし、光るためには魔法の薬を作らないといけないね。お前は大きな体をしているから材料がたくさんいる。」
「それならば、僕が材料を用意します!何が必要ですか?」
「そうだねぇ…。銀の石と夜の切れ端、朝の鳥の声と光る星の子供だね。」
「えっ、星の子供ですか?」
「そうだよ。光る星になりたいなら光る星が絶対に必要だ。光る星の子供はその河で毎日生まれてる。一つ居なくなった所で誰も気付きはしないだろうさ。何も難しいことはない。」
大きな星は迷いました。大きな星は確かに大きな星は光って河を流れる事を夢に見ていました。しかし、その夢を叶えるためには星の子供が必要です。
大きな星は友達の赤い星の子供の事が頭をよぎり決心することができません。
このチャンスを逃せば二度と自分の体が光る事は無いでしょう。大きな星が悩んでいると、魔女がいいました。
「そんなに悩む事かねぇ…。まぁ、いいさ、私は毎日星の河を眺めに来る。決心がついたら教えておくれ。」
魔女は大きな星に星の子供の友達がいることを知りません。魔女はそう言うと、自分の家へと帰って行きました。