星屑の詩
星屑のひとつにぼくはなりたい。
グミを食べながらおいしいと呟く君の横顔をシャッターにおさめた時みたいな幸福を味わいたいんだ。
今もどこかの公園では子どもたちが蝶々を追いかけながら額に汗を滴らせ夢中で駆けている。ベンチに座る中年の男はそれを鬱陶しそうな目で眺めながら競馬中継を聴くんだ。そんな時地球は何を思うだろう。平和だと感心するのだろうか。はたまた自分が回転し続ける意味を考え出すのだろうか。
カラフルに彩られたカップケーキを見て可愛いと黒目を大きくする君をスケッチブックに書き写した時みたいな幸福をもう得られないのは知ってる。だからぼくはいつか、無邪気な子どもたちや気だるそうな中年の男を以前のように幸せの象徴としては感じられなくなる日がくるだろう。そうなるくらいなら地球のようにひたすら廻り続ける方が良い。軌道に乗って身を預けるだけで良い。立派な天体になろうなんて欲張りは言わない。どんなに小さくても、誰からも見つけられなくても、それでも構わない。
ぼくはただひたすらに願う。
「星屑のひとつになりたい」と。
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