プロローグ 夢2
プロット出来上がらず。見切り発車で第二章開始です。
魔王ユーシアは夢を見ていた。古い古い記憶かもしれなかった。
五人の子供たちだけで『庭』を作っていた。
子供たちが世話をすることで『庭』はすくすくと成長していった。
『庭』の成長につれて、子供たちも大きくなった。
15歳ぐらいになった美少女が金髪を揺らしながら言う。
「だいぶ完成に近付いたわよね」
茶髪の少年や青髪の少女が頷く。
「頑張ったよ」「とっても嬉しいわ」
「やりとげたって感じがするよね」
そんなやりとりを痩身の少年ユーシアが見ていた。
「……よかったね。楽しそうで」
「ええ、とっても楽しかったわ!」
金髪の美少女は屈託無く笑いかけた。
赤い髪をした少女が言う。
「でも、完成したらどうするの?」
「そうねぇ~」
金髪の美少女が顎に指を当てて可愛らしく悩む。
ユーシアがぼそっと呟いた。
「そしたら、ぼくも触っていい?」
「それはダメ! また一からやり直しになっちゃうじゃない!」
金髪を乱して叫んだ。
別の子が尋ねる。
「じゃあ、どうするのさ」
「うん、こうしましょう! また新しい『庭』を作りに行きましょ!」
「わあ!」「それいいな!」「楽しみだわ」
ユーシアは慌てて尋ねる。
「ちょ、ちょっと待ってよ。また新しく作るって、そしたらボクはまた見てるだけなの?」
「当然よ! ユーシアは何もしないのが仕事なんだから! 次も、次の次も、次の次の次も、ずっと見守っててねっ!」
「そんな……っ!」
「そんな、て言われても。あなたが触ったら『庭』がぼろぼろになっちゃうもの。いーい? 闇はいるだけで意味があるの。闇はいるだけで充分なの」
「そうだよ」「それが君の仕事なんだから」「楽しくやろうよ」
ユーシアは俯いて呟く。
「なんだよ、それ……」
握り締めた拳が震えていた。
でも、他の子供たちは誰も気付かなかった。
次話もすぐ更新します。