眞王様取り合えず西へ
はあぁぁぁ~マジかあぁぁぁ~。
俺は盛大な溜め息を吐いた。
前に進んでも地獄、後ろに進んでも地獄って・・・どんな詰みゲーだよ。
本当マジどうしようかな~。
そんな溜め息を吐いてウンウン悩んでいる俺に桃色少女が話しかけてきた。
「主様、そんなに大きな溜め息ばかり吐いてると禿げるぞよ?何をそんなに悩んでおる?」
「うるせぇ!禿げるかっ!って悩むに決まってるだろ!前は人間の軍が迫って来てるし、後ろに進もうにも前魔王軍が絶賛内乱中なんだろ?隠れようにも何処もねぇじゃねぇか!」
「何だ?そんな事で悩んでおったのかえ?」
「そんな事って・・・十分悩む理由だろ?」
「ならば妾の領地に来れば良いではないか?それならば問題なかろう?此処からじゃと最西端の場所が妾の領地じゃ。まぁかなり辺鄙な場所じゃから人間の軍も来んじゃろう。」
「何!?もう~それを早く言ってくれよ~。
良しっ!そうと決まれば善は急げだ。早速行こうっ!」
「あぁじゃが1つだけ問題があってのう。妾の領地までは此処からそうさな・・・ざっと見積もって1ヶ月位は掛かるが大丈夫かえ?なんせ大陸の最西端じゃからのう。その間に幾つかの他領主の領地を渡り関所も越えねばならんがの。」
桃色少女はサラッと面倒な事を言っていた。
「はぁっ!?馬鹿じゃないの!?
此処から徒歩で1ヶ月位?この異世界で舗装も何もされて無い道で徒歩で1ヶ月位って一体どの位歩くんだよ~はあぁぁ~マジないわぁぁ~。」
「主様が半分以上何を言っておるか妾には理解出来んが、で?どうするかえ?辞めて他の道でも考えるかえ?」
「ちょっと待て!今、考えるから!」
えぇ・・・っと確か東京から京都まで大体500㎞位らしいから時速3㎞で歩くとして1日7時間から8時間歩くと想定すると大体1日20㎞から25㎞で約20日前後って所か。
舗装されて無い道を歩く事を考えてもやっぱり東京から京都位迄の距離を歩くと考えた方が良さそうだな。
「取り合えずは分かった。それで?他には何かとんでもない問題とか無いだろうな?それと他領主の領地を突っ切るとして、その他領主達は比較的どうなんだ?大丈夫なのか?」
「そうじゃのう。他領主とは言っても妾の様に各種族を治める族長が治めておる領地じゃから問題は無かろう。比較的事の成り行きを見守る日和見が多いのが現状じゃ。忙しいのは中央の奴等じゃけじゃからのう。ホホホッ。」
「そうか。良し!それじゃあ行き先はここにいる桃色少女の領地だな。行くぞ!お前達!」
おぉぉぉ~!!!とゴブリン達が気合い入れる中1人だけ不服そうな顔をしている奴がいた。
桃色少女だ。
「のう主様、桃色少女とはもしかして妾の事かえ?」
「ん?あぁ。そうだが?」
「主様!妾にはリリムと言う名のプリチーな名前があるのじゃ!次からは【リリムちゃん】と呼ぶのじゃ!良いかえ?」
「誰がそんなこっ恥ずかしい事言えるか!リリムだけで十分だろ!ってお前は名前があるんだな?」
「つれない主様じゃのう。うん?名前かえ?妾クラスになると大抵の者は名前があるぞえ?」
「そういうもんなのか?」
今一魔物のランキングが分からん。まぁそれも追々調べれば良いか。先ずはこの場を離れてリリムの領地に行くのが先決だな。
俺達は数日分の食糧と水分を準備し、進路を西へと向け出発した。
俺の安住の地は何処へ?
はあぁぁぁ~安らぎが欲しい。
「主様~溜め息つくと禿げるぞよ~。」
「五月蝿い!誰が禿げるかっ!」
眞王様と愉快な魔物達スタートです。
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