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眞王様婬夢族について知る。

「それで?今の状況はどうなってんだ?」


「フム、そうじゃのぅ。妾も先程、子らに報告を受けたのじゃが、今の所、表立っては問題ないみたいなのじゃ。まぁ、と言うても妾達の様な辺境領主はじゃがな。忙しいのは奴さん中央の奴等じゃろうしのぅ。」


「そうか・・・後、どれ位猶予がありそうなんだ?」


「う~ん。そうじゃのぅ・・・お互い牽制しあっておるし、己の陣営にどれだけ味方を引き込むかとなると、最低でも1月は掛かるかのぅ。何せ此処は最西端の辺境地故な。」


そう言うとリリムはコロコロと笑っている。何がそんなに可笑しいんだ?


「って事は約1ヶ月は調略の手は入らないって事だな?それと、もし来るとしたら何処の勢力が来るんだ?情報はあるだけあった事に越したことはないからな。」


「おやおや、我が主様はどういう風の吹き回しかえ?依然になくヤル気に見えるのじゃが?」


「ホッとけ!俺は何の説明も無いまま、いきなりこんな世界に放り込まれただけじゃなく訳も分からず人生を終えたくないだけだ。それに生きると決めたからには徹底的に足掻き捲ってやる。だからお前らの持っている情報を俺に寄越せ。」


元の世界で勤めていた会社もブラックだと散々毒突いて来たが、今回飛ばされたこの世界なんか人生がブラックじゃねーかっ!

何の説明もなく職業が【魔王】な上、その魔王領が絶賛内乱ときやがる。俺に一体どうしろと?この世界に飛ばされた時点で人生詰んでいるんだが?まだ元のいた世界の方が人に優しいとさえ思えてくる。


良し!足掻くと決めたからには先ずは此処へ来て気になった事を1つずつ潰して行くぞ。その上で俺の立場と此処での方針を決めて行こう。


リリムはフムとその小さな顎に手を添えて少し考える仕草を取っている。リリムはこう黙っていると普通に美少女であるが、言うと調子に乗るので言わないで置く。


「そうじゃのぅ~調略には1ヶ月は掛かるが、隣の領主とは毎回小競り合いが続いておるから、今の妾の領地の現状を知ったら攻めに来るかも知れぬ。」


「うん?それはどういう意味だ?さっきは問題無いって言ってなかったか?」


「おや?そんな事、妾は言ったかえ?小競り合いなんかはこの地域なんかじゃと日常茶飯事だから問題ないと言っておるんじゃ。それに隣の領主もそろそろ妾の領地の欠点にも気付く頃じゃし大々的に攻めに来るやも知れぬのぅ。」


おいおいおい!何イキナリ物騒な事言ってるんだ?この桃色少女は!それに欠点て一体何だ?


「なぁ?その欠点て一体何なんだ?それに攻めに来るとか抜かしてる隣の領主ってどんな奴なんだ?」


「妾の領地の欠点かえ?隠し事しても意味が無いから主様には言うておくがのぅ、妾の領地には妾を除き成人が1人もおらんのじゃ。皆、前の戦争で死んでしもうてのぅ。今や妾の種族は少数種族の仲間入りじゃ!」


リリムは先程と同じ様にコロコロと笑っている。だから!何がそんなに可笑しいんだ?


「おい!おい!それって不味いんじゃないのか!?要は絶滅するかも知れないって事だろうが?そんな楽天的な考えで良いのかよ?」


「そうは言うても主様?魔族という種族は基本的には弱肉強食なのじゃ。強い者達が生き残り、弱い者達は淘汰されていく・・・これが魔族と呼ばれる種族の宿命なのじゃ。それに元々妾の種族は数が少ない故に増やし方も、ちと特殊でのぅ。今の状況だと、更に増やすのは困難なのじゃ。」


「増やし方が特殊ってどういう事だよ?何か特別な事をしないといけないのか?それとも子供が出来にくいとかか?」


「いや、特別な事ではないのじゃが、妾達、婬夢族は同族同士では子が出来ない故、他の種族との婚姻によってその数を増やしていくのじゃが・・・他の種族と言っても相性がやはりあってのぅ・・・妾達の種族は人族との相性がすこぶる良いんじゃ。少し前迄はお互い友好な関係を築いておったんじゃが、今ではの・・・。」


成る程。そういう意味で特殊か。確かに今、人と魔族の間で争いが起こっている最中で、ましてや人との婚姻で数を増やすとあってはそれも難しいだろう。それに現段階で数を増やすといっても成人が1人もおらず、例えいたとしても子育ての環境も良くないだろうし、そう簡単に種族を増やすなんて土台無理な話だ。これは時間を掛けて進めて行く案件だろうな。それと、この種族についてもう1つ気になる事が俺にはある。寧ろさっきから気になって仕方がない!


「なぁ?リリム、少し聞いても良いか?」


「ん?どうかしたかえ?主様。」


「此処へ来て思った事なんだが、いや、今もそうなんだが、其所に立っている子は男なのか?それとも女なのか?俺にはどっちだか分からないんだが?」


「ん?こ奴かえ?こ奴は成人はまだしておらんから男でも女でも無いのじゃ。」


「ちょっと待て!どういう意味!?どちらでも無いって?」


「う~ん、説明するのがイチイチ面倒じゃのぅ。」


うわぁ、こいつマジで面倒って顔してやがる。さっき迄はちょっとシリアス風に真面目に説明してくれたのに、何なのこの落差は!





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