眞王様街に着く。その2
俺は自分の身の安全の為に残りのゴブリン達に【真名】を与えた。これでも一応考えて付けた名前だ。とは言っても歴史上の名前を付けたのが殆どだか。一部の名前なんか某水戸の御老公様のお供の名前だしな。それを考えると【タロウ】・【ハナコ】ペアはもう少しマシな名前を付けてやれば良かったと若干後悔している。これじゃあド昭和か犬猫に付ける名前と一緒みたいだ。付け直しが可能ならやり直したい気持ちで一杯だ。
ただ何だろうなぁ~身の安全の為に【真名】を与えたのは良いんだけど、寿命が縮んでる時点で全然身の安全では無いような気がするのは俺の気のせいだろうか・・・。
うん・・・深く考えるのは止めておこう。そうしよう。
それはさておき彼処に見える建物らしき代物はもしかして?
「うむ!やっと妾の領地に着いたようじゃのぅ。」
「やっ!ったー!!!やっと着いたー!長かったー!」
はあぁぁ~結局あのデブ猫領主から裏地図貰って最短距離を通っても25日も掛かったぜ全く。流石にこの営業で鍛えあげた黄金の足でさえもクタクタで黄金から鉛になる程重くてもう1歩を前に進めない位だぜ。まぁ歩けるけど。
「ようやっと着いたのぅ。これで少しは楽が出来ると言いたい所じゃが、主様、先ずは妾の領地での民への挨拶回りが先じゃ。」
「はぁ!?嫌だよ!折角着いたのに少し位休ませてくれよ!流石に足がパンパンで少し加減を間違えると両足つりそうになる位ヤバい感じなんだからさ!」
「分かっておるが今はダメなのじゃ。主様は仮にも現魔王様なのじゃから妾の領地だとしても妾の主としての責務があるのじゃ。妾の領民=主様の領民と一緒なのじゃ。妾も主様に召喚されてから20日以上領地を空けておる故、視察も兼ねて領地を見回らねばならんのじゃ。主様が召喚してくれたお陰でのぅ。」
「うぐっ!それを言うか。しかも2回も。嫌味染みた言い方しやがって性格悪いぞ。」
「そうかえ?大事な事だから2回言った迄の事なんじゃがのぅ。主様には嫌味に聞こえてしまったかのぅ。それはそれは悪い事してしまったのぅ。堪忍してたもぅ。」
「白々しい奴。しゃあねぇなぁ~行けば良いんだろ!行けば!全くお前は俺のオカンか何かか全く!」
でも待てよ・・・?考え様によってはアレか?ウハウハハーレムの兆しか!きっとボンッ!キュッ!ボンッ!のお姉様方がキャーっ!魔王様ーっ!素敵ーっ!とか何とか褒め称えて盛大に歓迎してくれる筈だ!うん!悪くない悪くないぞ!これは!
「・・・主様?何をそんなにだらしのない笑みを浮かべておるのじゃ?どうせ録でもない事でも想像しておるんじゃろぅ!主様は助平じゃからのぅ。」
「なっ!なななっ!何を言っているかねっ!リリム君!俺がそそそっ!そんな事考える訳ないじゃありませんか!」
「ふーん。どうだかのぅ。声も上ずっておるし、何だか焦っておるようにも妾には見えるのじゃがのぅ。」
リリムに物凄いジト目で見られている。何だろうか?何もしていないのに何故か物凄く悪い事でもしたかの様なこの罪悪感は何なんだ?背中に冷たく嫌な汗をかいているのが分かる。
「まっ!まぁ俺の事は今は置いておいて、それよりも領地を回って行くんだろ?早く行こうぜ!なっ!」
「確かに今は主様に構っておる訳にもいかぬゆえこの話は一旦隅に置くとしようかのぅ。」
「うんうん!そうしようそうしよう!良しっ!そうと決まれば早速行こうぜっ!で?先ずは何処に行く?」
「うん?何処に行くも何も主様が今、見えている範囲が全てじゃよ。妾の領地は。」
「見えている範囲が全てって・・・おいおい!嘘だろ・・・?この何にもない処かポツポツと建っている家が数える位しかないのはどういう事なんだ?」
俺の目の前に広がる光景はあのデブ猫が治める【街】とは違い、お世辞にも【街】と呼べる代物ではなく寧ろこれは閑散とした【村】若しくは【集落】と呼んでもおかしく無いほど寂れた光景だった。
リリムを先頭に後を着いていく様に歩いていくが、その間の会話は一切なく空気がやたら重い。今にも押し潰されそうな程に。
ヤバい息が止まりそうだ・・・。辛い!辛すぎる!
そんな時だ、現状を打破する出来事が訪れた。それは・・・第1村人発見だ!ナイスタイミングだぞ!第1村人。俺達が気付くや否や第1村人も此方に気付いたらしい凄い速さで駆け寄ってきた。
おいおい!はえーな!第1村人。
「始祖様!お帰りをお待ちしておりました!」
第1村人は年の頃はそうだな大体14~15歳って所だろうか。何処の国のモデルさんですか?と言いたい位に整った顔立ちをしている金色のサラサラヘアーの男の子。うん?男の子だよね?あれ?女の子?えっ!?どっち!?