眞王様名付ける。
おいおいおい!魂が削られるってどういう事だよ?確か、タロウやハナコに【真名】を与えて俺の魂の一部を与えているから二人が傷つくと俺の魂が削られるってのは最初名を与えてから知ったからそれは分かる。だから悪いけど他のコブリン達には敢えて名を与えてはいない。
けれど今回リリムの発言から思うに例え名を与えていなくても召喚をした事で俺の魂の一部は既に召喚した奴らと結ばれている事になる。
つーことはだ、今更名を与えた所でこの事態は変わらないんじゃないか?
それともう1つ、召喚をする度に召喚された者とで魂が結ばれると考えるとこの召喚という魔王限定のスキルってどうなんだ?良いこと1つも無くないか?これからの事を考えるとこの召喚はそうそう使えないし、例え使う時は良く思案しないといけないだろう。
それよりも何より俺の寿命が縮む!それが何よりも許せん!だが、このままリリム、タロウ、ハナコ、他ゴブリン8体だけだと俺の盾、基護衛の戦力としては余りにも弱すぎる。リリムはまだ良いとして仮にこの先戦闘になったとしてリリムと分断された時に俺を守る者がゴブリンだけだと非常に心許ない。そもそもゴブリンに守られる魔王ってどうなのよ?
うん。情けね~。
良し!先ずはあの8体のゴブリンに【真名】を与えてホブゴブリンに進化してもらおう。既にコイツらを召喚した時点で俺の寿命が縮んでいるのなら今更名を与えた位どうって事はない!筈。
だが、心配がない訳ではない。心配は俺が名を与えても進化しなかったらどうしょうかという事だ。マジで進化しなかったら与え損じゃん!俺は断じて貢ぐ君にはならないぞ!断じてだ!
あっ!思い出したら俺の地球にいた頃に起こったハートブレイク事件の古傷が疼く。あぁ~思い出すんじゃなかった~。今、思い出すだけでも腹の中が煮えくり返りそうになる。まぁそのお陰で若干女性に対して臆病な所もあったりなかったり?
まぁそんな事は今はどうでも良い。
そうと決まれば善は急げだ。俺は早速ゴブリン8体に【真名】を与えるべく手招きをして呼び寄せる。
「今からお前達に全員に名付けを行おうと思う。」
「本当でございますかっ!?我等にも名をお与え下さるのですかっ!?」
ゴブリン8体は狂喜にも似た歓声を挙げ喜んでいる。あっ!1体泡吹いて気絶した。そんなに!?正に狂喜乱舞とはこの事だな。名前を与えるだけでこんなに喜ばれると幾ら俺が楽をする為とはいえ、少しばかり良心が傷む思いだ。
だが、かなり思い付きで決めたから全くと言って良いほど付ける名前が思い付かん。だからといってタロウやハナコみたいに安易に名付けるのも気が引けるしなぁ~。犬猫じゃあるまいし。どうすっかなぁ・・・。
俺がそんな事を考えるとは露知らず、ゴブリン達は逸る気持ちを抑えながら俺の名付けを今か今かとソワソワしながら待っている。
ヤメテ!!そんな期待の眼差しで俺の方を見ないで!!
良し!もうこの際うだうだ考えるのは止めよう!ここはやっぱあれだな好きな事、得意な事を生かした名付けをしよう。
「待たせたな。じゃあ今からお前達に【真名】を与える。男、女と交互に名付けを行うから順番に俺の前に並んでくれ。」
そう言うとゴブリン達は俺の前へと1列に整列する。あっ、気絶していた奴はあれは男なのね。アイツはあの名前で決まりだな。
「では、其々に【真名】を与える。順に【藤吉郎】・【寧々】・【喜平次】・【菊】・【源三郎】・【稲】・【八兵衛】・【銀】以上がお前達のこれからの名だ。次からはその名を名乗れ。」
「ハッ!魔王様ありがとうございます。謹んでお受けします。」
一同俺の前に跪き頭を下げた。