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視線 8
アキはとても腹が立った
「星川さん!待って下さい」
店を飛び出したアキを、桜田が追いかけて来たが、アキはそのまま歩いて行った。
そして、桜田に腕を捕まれ立ち止まり、アキは桜田をにらみつけた。
そのアキの顔に、桜田は一瞬、寒気を感じた。
「星川さん、ごめんなさい
嘘を付いたりして、星川さんが怒るのも無理ないとは思います
でも、帰らないで下さい お願いします」
桜田は何度も頭を下げ、必死にアキを引き止める
だが、アキの怒りは納まらない。
アキは桜田にこう言った
『仕事だと言えば、なんでも通ると思ったら大間違いですよ』
この時のアキの顔は、怒りの中に悲しみを感じた。
「星川さん…」
桜田の手が離れた。