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視線 2
アキの笑顔に、桜田の顔も笑顔に変わった。
「ここなかなか旨いんですよ。
さっ、中に入りましょう」
打ち合わせなのに、どうして居酒屋なのだろうか…?
そう思いながらも、アキは店の中に入った。
「いらっしゃい!」
威勢のいい声が響く。
「おっ!優一じゃないか
久しぶりだな!」
マスターの声に、桜田は嬉しそうに微笑んだ。
「マスター、相変わらず元気だね
店も変わってないねー」
マスターは、真っ黒く日焼けした顔を、くしゃくしゃにして笑っていた。
「まぁーな、俺は元気だけが取り柄だからな。
あれっ?今日は一人じゃないんだな
優一が女の人連れて来るなんて初めてじゃないか
彼女かっ、紹介してくれよ」
どうやら、桜田はここの常連らしく、妙に話が盛り上がり、桜田は会社では見せない笑顔を見せていた。
そして、話がとんでもない方向に…