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迷い 16
仕事をしていても、やはりゆいの事が気になった…
帰り際のゆいの事が頭に浮かんで、アキはゆいに電話をした。
『ゆい…、一人で大丈夫?』
「うん、大丈夫だよ」
大丈夫と言っているゆいの声は、自分に言い聞かせている様に聞こえた。
『ごめんね…
一緒に居てあげられなくて…
今日、打ち合わせ入ってるから…』
言い訳をしている自分がいる様な気がした。
「大丈夫だよ
アキは仕事頑張って」
無理に明るく振る舞っているゆいの声が伝わって来た。
辛いはずなのに…
アキは自分を責めていた。
『そばに居てあげたい…でも、打ち合わせがある…
何でこんな時に…』
親友のゆいが辛い時に、仕事を選ぶ自分が腹ただしかった…
アキは心の中で、何度もゆいに謝っていた。
『ごめんね… ごめんね…ゆい』