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迷い 1
待ち合わせのレストランに着いたアキ…。
いつもの席に古田が座っていた。
『ごめんなさい、遅くなって…
帰り際バタバタしちゃって…』
古田は微笑んでいた。
「アキは忙しい女だからな
いつもの頼んでおいたから」
古田は二人きりの時だけ『アキ』と名前を呼ぶ
古田は大人の男で、いつも微笑みながら、アキの話を聞いている。
古田の前ではアキは子供と同じなのだ。
「なぁー、アキ。
今日来た課長の事どう思う?」
アキはドキッとした。
もしかしたら、会社で聞かれた話を気にして…
『あの課長ね
二十五歳で本社の課長になるなんて凄い出世だよね
かなりやり手みたいだから、期待は出来そうだけど』
アキの心臓が早くなっていた。
古田は黙ってうなづいた。