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傷心 11
アキはビールを呑んでいた
「アキって、こんなに料理が上手なのに、独身って言うのが寂しいよね
ねっ、何でこんなに料理が上手なの?
私はアキラにあんまり料理作ってあげられなかったな…」
頭の中に、一志の顔がよぎった。
『えっ!!何でって言われてもね…』
何て答えたらいいのよ…
『昔、料理に興味あった時期があって、良く作ってたから』
苦し紛れの嘘に、アキは苦笑した…
どうして隠してしまうんだろう…
もう三年も前に終わったのに…
人に話せば、少しは楽になるかも知れないのに…
アキはそんな事を思っていた