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異世界学園物語

異世界救ったとか言うけどさ

 火の無いところに煙は立たぬ

 古来よりある有り難き先人のお言葉、あーそうですねーと聞いた当初は俺も思った。例えこの町が異世界と繋がってるんじゃないかなんて“噂”が流れていたとしても、だ。いくらなんでもそんな(じじつ)があったら(けむり)どころじゃあすまないだろうと。


 だがそれから数年。詳しく言えば2012年6月20日、俺が丁度16になって1ヶ月。小学校からの腐れ縁であった親友が忽然と姿を消した日にあの諺は正しいのだと思い知った。


あの日の放課後、一旦帰宅して荷物を放り投げてすぐに親友の家へ向かい、そいつの母親に挨拶してから部屋へと入った。

 それから一時間。

 最初は菓子でも買いに行ったのかと思ったがそれにしては遅い。俺が来るのはクラスで話したし、その約束を破る程あいつはいい加減じゃないのは俺自信が良くわかっている。言い知れぬ不安を抱いた俺は親友の母にその旨を聞いたが、


「あら? あの子なら帰ってからずっと部屋にいたはずよ?」


 と言われそもそも外出してすらいない事が発覚した。そこからの騒ぎは心身共に激しい疲労を蓄積させてくれたので割愛する。


 ともかく、その日、俺は掛け替えのない親友を失ったのである。いや死んでないけれど。

 殺しても死ななさそうな面してるし、案外誘拐した犯人と仲良くなってるかもなーなんて半ば現実逃避の暢気な事を考えたりそいつの妹に泣きつかれて役得とか思ったりしてる内に2年が過ぎて、アイツの事を聞かれても「あぁ、いつか戻ってくんだろ」とある種の諦観、と言うよりは投げやりな信頼をし始めたところで


「よう、ただいまー」

「お、おうお帰り」


 マジで帰ってきやがった我が親友。しかも、周りには三名の美少女まで従えて。この野郎さりげなくハーレム形成してやがる。行方不明になる前は仲良く独り身コンビだったと言うのに。

久しぶりに見る親友に嬉しいやら悲しいやら妬ましいやら、コスプレさせるとは鬼畜なとか何で自室じゃなく俺の部屋に帰ってきやがったとか色々言いたい事はあったが混乱してた俺は


「vdSxQ! xde4#EDwrt.'(G$%!」

「異世界は楽しかったか中学生」

「死にかけたけど超楽しかった。が、今は高校生だろ年齢的に」


 何を言ってるかさっぱりな美少女をスルーして親友の旨に拳を軽くぶつける。

 で、それから話を聞いたのだが一行で述べるのであれば簡単な事かつテンプレート。


 異世界に召喚されて魔王倒して世界救ってきた。


 なんてこったい。親友は誘拐犯と仲良くなる以上の難易度の高い事をやってのけたのである。ちなみにこうもあっさりと信じたのはとてもリアルにはいないであろう美少女と、どう頑張っても普通じゃ手に入らない何かを感じさせる剣を腰に差していたからである。ついでに魔法も見せてくれたので疑えと言う方が無理なレベルであった。


「夜通し騒ぎしてたから眠くて……寝てもいいか?」


 一通り、と言うか2時間程かけて聞いた親友の武勇伝を自分なりに噛み砕いて理解しようとしたら美少女三人を放置して欠伸する親友。息が酒臭いのはきっと気のせいではないだろう。何故だろう、警察に突き出したくなる衝動がこれでもかと沸き上がってくる。

 だがまぁお別れ会みたいなのを壮大に一夜かけてやったのだろうと考える。何せ救国の英雄を送り出すのだから、下手したら国を挙げてドンチャン騒ぎをしたのかもしれない。


「異世界救ったとか言うけどさ」

「なんだよ……」


 だがその前にこれだけは言わねばならんだろう。でなければ被害は拡大の一途を辿るだろうし、何よりここは親友ではなく俺の部屋なのである。


「靴脱げや。何土足のまま居座ってるんだ」


 異世界の英雄もこの世界では所詮、行方不明だった俺の親友でしかない。笑顔を全面に押し出して親友と美少女を威圧するのだった。疲れてるみたいだし、説教は明日にしてやると慈悲も見せて。

 それを聞いた親友はぽかんとしていたが、やがて足に視線をやり悪い悪いとどこか嬉しそうに靴を脱いで下に降りるのだった。




 翌日、説教をしようと起こしたところでさっ爽と侵入してきた黒スーツの集団に親友と美少女三人、ついでに俺も拉致られて秘密裏に存在する人工島にある異世界からの来訪者を集める学校にぶち込まれる事になるのだが、それはまた別のお話。

 どうも、モブになれないならお前はなんなんねんって話の作者です。


 この短編(と呼べるのかも怪しい出来)はふと浮かんできたもので、とあるラノベの影響を多分に受けたものでもあります。

 が、某超能力者みたいなタイプのキャラも、電卓で氷魔法を扱う女の子も、勇者より強い魔法使い見習いも、ましてや自己紹介で僧侶で殴り飛ばされ挙げ句勇者部を作ろうとする弱い勇者もいません。

 あーでももしかしたら生徒会長は魔王かもしれませんね。ただし校長はロリババアなのは確定です。


 一体何をコンセプトに書いたの? と言われれば勢いで書いた手前明確な答えは出ないのですが、敢えて言うなら“世界救ったハーレム勇者であろうと帰ってくれば普通の人”でしょうか。解りづらいって? 今考えたものですから。

 その普通も拉致られるまでですけどね。主人公は完璧とばっちりです。異世界人見られちゃった、よしパクろう! みたいな。世界は異世界の存在を隠したいようです。


 ルール的に危うい感はありますが設定を練り、なんとか差別化出来ればオリジナルとして。出来なければもうその小説の二次でいいやと投げやりに連載作品を書くかもしれません。

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― 新着の感想 ―
[一言] >靴脱げや。何土足のまま居座ってるんだ 大・爆・笑w いや~続きが読みたいですね。 親友の妹との関係もみたいですし^^ 微妙にマギウステイル臭がしますがねw
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