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天まで届く羽―犯人特定?―

お久しぶりです。


少し長くしました。


今度からこんぐらいの長さで書きたいです。

001


学校へ向かう途中。


「ん?…何だ、アレ?」

通学路の真ん中。



そこには少しおかしな集団がいた。


「ヤクザ?」


人数は七人位で全員黒のスーツ。さらにはグラサンまで完全装備だった。



「……クソっ。兄貴はどこに行っちまったんだ」


「あの状態で街に出たらまずいぞ」


「せめて頭領がいてくれれば……」


「しゃーないだろ!頭領はでかいヤマで北海道に飛んでるしよ」


「弟様が手伝ってくれば…」


「ダメだ。あの人の力は今は使えない」


「とりあえず別れて捜すぞ。見つけたら手を出さず、連絡しろ」


そうして黒服達は去っていった。


「何だったんだ?」


ヤクザの揉め事だろうか?まぁ、関わらないに越したことは無い。


僕は学校へ急いだ。


002


教室に到着。教室には男子は鬼塚君しかいなかった。


どうやら昨日の眼鏡の子も、吸われた、らしい。


「鬼塚君、おはよう」


「……あぁ、梛川か。おはよう」


どうやら考え事をしていたらしく、少し驚かれた。


「何か、女子校に入学したみたいになってきたね」


「…あぁ。もしかしたら学校閉鎖になるかもな」


周りには、女子だらけ。


いつもならテンションゲージが壊れるほど、興奮するだろう。


だが、こんな状況じゃ萎縮してしまうばかりである。




そろそろチャイムが鳴るので席についた。


キーンコーンカーンコーン


チャイムと同時に音楽の先生である、かつら先生が教室に入ってきた。


その声を美声と呼ぶか、悲鳴と呼ぶかで2つの派閥に別れている。


ちなみに僕は第3の派閥、催眠超音波を推している。


同志は1人もいないけど。


「あー、赤城先生は休みです」


……え?もしかして…


「2、3日前から様子が変だったのですが…」


いやいや、まさかねぇ…


「やっぱり、体調不良だそうです」


武人ぉぉぉぉ!


てめぇ、教師の癖に女の誘惑に負けてんじゃねぇよ!



まさか、先生までやられるとは…。恐ろしい怪異だ。


「あともうひとつ、皆さん。校長先生から大事なお話があるそうですから、一時間目は全校集会です。体育館に並んで行ってください。あと…」


何故だろう?悪寒が走っている。


「梛川君は生徒会室に行ってください」


「………」


「聴いてますか?梛川君」


「……はい」


すげぇ帰りたいなぁ。


003


コンコン。


気持ちとしては、蹴破りたい位だが僕は紳士なのでノックはした。


「失礼します」


そこには…


「はいは~い、いらっしゃ~い」


机に足を乗せ、ふんぞり返って、ポテチを食べながら、パソコンをいじっているあいつがいた。


「俺の我慢返せやっ!!」


「え?何が?」

蹴破ればよかった!!


僕は二度と無理な我慢は止めようと心に誓ったのであった。


「しおんちゃんが何に怒ってるのか知らないけど、まぁポテチでも食べて落ち着いて」


「落ち着けるかっ!!学校で菓子食ってんじゃねぇ!!」


「しおんちゃん、キャラ崩れてるよ」


はっ!しまった。


僕はクールキャラなのに熱くなってしまった。


深く反省。


「でさぁ、学校閉鎖になったからヨロシクぅ」


「は?なんですと?」


「まだ崩れぎみだけど、まぁいいや。」


だから、と続け


「今日のお昼から、1週間学校休みになりましたとさ」


んないきなり……。


「…やっぱり休みが多いからですか?」


「多い、というか多過ぎるよねぇ。1クラスに男子が2人生き残ってたら良い方だって」


生き残るなんて、酷い言い方だな。


死んでる訳じゃないし…

死んでないよね?


「要件はそれだけですか?帰りますよ?」


「えぇ?もっとゆっくりしていってよ」


「嫌ですね。絶対に」


「二重否定!?ほら、俺様に聞きたい事とかない?頼みたい事とか」


聞きたい事?そういえば…。


「この部屋、いろはさん以外の生徒会の人は?」


「そんなのいないよ?俺様の手伝いとかでたまにお兄ちゃんが来るけど…」


「いや、生徒会選挙で一緒に四人位いたじゃないですか」


「あぁ、いたね。忘れてたよ」

忘れてたって……。


「極力来ないでって言ってるし。用事があるときに呼ぶって言ったまま一年近くたつなぁ」


一年って、去年の今頃位に当選したから…その時から一回も呼んでないわけか。


「それに比べてなんで僕はこんなに呼ばれるんだろう?」


「何でだろうねぇ」


なぜか睨んでいるいろはさん。


何か怒っているのだろうか?


「それじゃあと少しでいろはさん会長職を引退ですか」


表情こそ神妙な顔つきにしているが、内心では森に春が訪れたような感じだった。


つまりはハッピーだ。


SO HAPPYとも言う。


「しおんちゃん、背景が薔薇色だよ?というか生徒会はやめないし」

……?


幻聴かな?


YAMENAIと聴こえたような?


「卒業ギリギリ迄は生徒会に残るよ。ここは居心地が良いからね」


「そんなん学校が許さないでしょう!?」


「いやいや、生徒会長職は誰かに譲るけど、それは形だけのモノにして、俺様は今のまま会長の仕事をしつつ色々としたいことをするってわけ」


心の森があっという間に冬に戻っていった。


「じ、受験勉強は?」


「もう行く場所決まってるし」


僕の春はまだまだ先のようだね。


これからも面倒事押し付けられるんだろうなぁ。


「すいません、メンタルがもうダメなので帰らしてください」


「ん?。なんか悲しい事でも思い出した?」


「思い出したんじゃなくて、思い描いたんですよ」


悲しい未来をね。



「まぁなんでも良いけどね。うん、もう帰って良いよ。また来てね」


誰が好き好んで行くか。


「失礼します」


なんか最近、姉貴成分足りてないし。帰ったら姉貴に甘えよう。


僕はそう決意して生徒会室を後にした。


004


教室に戻るとまだ誰もいなかった。


今から体育館に行っても変に目立つし、しばらくここで待機しようと思った。


ふと、いろはさんに天羽さんの住所を聞けば良かったと今更ながら気づいた。


あいつに頼むのはイヤだったが、結局会いに行ったならついでに聞けば良かった。



「そうだ、明日から休みか」


大事な事を忘れてた。


明日は姉貴とデートしよう。


そう考えて僕の心は少し立ち直った。


廊下の方から大勢の足音が聞こえてきた。どうやら集会は終わったらしい。


僕は静かなのよりは、騒がしい方が好きだが静けさとの別れは辛い。


時々こう感じるのはなぜなのだろう?


まぁ、どうでもいいか。


006


昼までは一般の授業を受け、給食を食べ、下校となった。


集会では僕があいつに言われたのと同じような話が話されたらしい。


校長職につくにはきっと、短い話をどれだけ長い話にできるかという技術は必須だと思う。


僕があいつに30秒で言われたことをなんと、30分もかけて丁寧に説明したらしい。

いやはや、尊敬しますね。


閑話休題


下校時、僕はいつもの帰宅ルートではなく昨晩の計画通り、天羽さんをつけた。


人生初尾行。


はじめて記念日に投稿できるね。


しないけど。


尾行事態は何の問題もなくスムーズに進んだ。


そして……


「ビンゴだな」


天羽さんが入っていった家は、昨日偽姉貴が入っていった家だった。


「天羽さんか、もしくはその家族か」


家族構成はさすがにわからない。


どっちにしろこれはあいつに頼むしかないか……。


なんか最近あいつに関わってばかりの気がする。


この一件が終わったらしばらく関わらないようにしよう。


そうと決まれば早く家に帰ろう。

確か帰り道に公衆電話があったし、あれであいつに電話しよう。


なぜ、携帯でしないかって?


だって番号知られたくないし。


非通知の仕方は分からないし。


という訳で、公衆電話に向かった。



♪~♪♪~♪


「もしもし?誰?もしかして、しおんちゃん?もしかしなくても、しおんちゃんだね!?」


うっぜぇー。


「いろはさん。まさか誰にでもそんなこと言ってないですよね?」


だとしたら、迷惑極まりない。


「いやいや、大丈夫。この携帯の番号知ってるのしおんちゃんだけだし」


……あぁ、なるほど。


「そうですよね、いろはさんみたいな俺様キャラは誰一人として友達なんているわけないですよね」


「しおんちゃん、俺様の事そういう風に思ってたんだ…」


悲しいなぁ、と言い


「勘違いしないでよ。俺様は携帯いくつか持ってて、友達用、仕事用、家族用、そしてしおんちゃん用があるんだよ」


何で僕だけ別枠に…。



僕の携帯番号もメルアドも教えてないのに……。


なんか携帯が可哀想だ。


「どうでもいいか」


考えるのもめんどくさい。


「どうでもいいと言うのは酷くないかい?」


「それよりいろはさん。聞きたいことがあります」


「俺様としてはもう少し携帯の話をしたいんだけども、聞きたいことって何?」


「クラスメイトの家族構成とか、来歴を知りたいんですけど」


「いいよ。名前は?」


「天羽夢亜」


「ちょっと待っててね」


電話の向こうで、パソコンをいじる音が聞こえる。


「はい、出たよ。でも教える前にこっちからも聞きたいことがあるんだけど」


さっさと教えろよ。


「何ですか?」


「この女の子とは…どういう関係?」


言葉の節々に怒りが込められている気がする…。


「ただのクラスメイトですよ?」


なぜか疑問文になった。


「『ただの』クラスメイトなら、家族構成は知らなくてもいいんじゃない?」


もっともだ。


「この前言ってた怪異、どうやらその天羽さんに関係してるらしいんです」


「それなら最初からそう言ってよぉ。変な勘違いしちゃったじゃない」


変な勘違いとは何だろう?


「えっとねぇ、家族構成は父親、母親、子供が1人。今のところね」


「今のところって言うのは?」


「母親がつい最近妊娠したらしいよ」


「来歴の方は?」


「こっちの方はすごいよぉ。なんとなんと、夢亜って子は……」


005


話を聞いた後、僕は後悔と納得をした。


「……『それ』が怪異が現れた原因ですかね?」


「まだそれはわからないよぉ。ただ関係してないとは言えないだろうねぇ」


こういう話は面倒だ。


怪異に家族が関わっている場合は、話は複雑になる。


家族は普通、『血』というなくてはならないもので繋がっている。


他の者が決して立ち入れない、絶対的な線引きがある。


そこに怪異が絡むのだ。


そりゃこじれるだろう。


または逆なのかもしれない。


こじれた隙間に怪異が入ったのかもしれない。


どっちにしろ厄介だ。


「怪異の伝承通りだと、今晩と明日の晩また怪異は現れるはずです」


「へ?昨日の晩しおんちゃん、怪異にあったの?」


そういえば言ってなかったか。


「はい、それで天羽さんの家つきとめたんですよ」


「まぁそれならあと二回は怪異と接触できるわけだし」


「いやいや、今晩にでも決着つけますよ」


明日は姉貴と遊びたいからね。



006


あいつとの電話を終えたあと、ぼくはすぐに家に帰った。


めっちゃ走った。


そして我が家に到着。


ドアノブに手をかけ…。


「たっだいまー♪かえったよー♪」


なんかキャラが変わってた。


終わってたとも言えるが。


玄関にはちょうど幸か不幸か姉貴がいた。


「うわ、しおんどうしたの!?言いたくないけど、なんかキモいよ?」


不幸だった。


まぁ今はそんなのどうでもいいや。


「姉貴!明日から1週間学校休みだから遊ぼー!」


「しおん、キャラ崩れすぎ…」


だってしょうがないじゃないか。


姉貴と『1週間』も遊べるんだもの!


「まぁ良いけどね。よし、明日は二人っきりで遊ぼうか♪」


はぁ、幸せだなぁ。


あいつによって傷つけられた心が急激に回復していく。


姉貴は僕にとってのモン○ンでいう『いにしえの秘薬』だ。


まぁ遊ぶ前にやらなきゃいけないことがあるんだけどね。



晩飯の時


両親に学校が休みになったことを伝えた。


父さんは

「そうか」

というだけど


母さんは

「あらまぁ、ホントに?ちょうど良かった。そろそろ食材がなくなるのよ。明日買ってきて♪あとは………」

となんかいろいろ頼まれた。


明日は姉貴とデートの予定なのに…。



そして、晩飯後


風呂に入っていると


「ちょっといいか、神音」


父さんが曇りガラスのドアの向こうから話しかけてきた。


「何?」

「学校が急に休みになったのはあの怪異が原因か?」


「何で分かったの?」

「最近うちの病院に体調不良を訴えてくる客が異常に多いんだよ。そのほとんどがお前の学校の生徒だ」


そう、僕の父親は医者だ。


今をときめく外科医だ。


医者になる前にもいろいろやってたが…また今度話そう。


「まったく、こっちは外科専門で内科は専門外だってのに、こっちにまで仕事が回ってきやがる」


「今晩中には終わらせるよ」


「それならいいけどよ」


そういえば、僕も聞きたいことがあったのだ。


今日、いろはさんに話を聞いた時に思ったことを。


「父さん」


「何だよ?」


「父さんにとって僕って何?」


「息子だ」


「どうしてそう思うの?」


「理由なんざいらねぇだろ」



さも当たり前の様に言う。


「親って言うのは誰でもそう答えられるかな?」


「たぶん無理だな。もしそうなら世の中からガキを殺す親は出てこないはすだ」


「そうだよね」


僕も当たり前のことを聞いていたようだ。


「だがな」


「?」


まだ何かあるのだろうか?


「…殺したくなくても、殺しちまうこともある」


「どういうこと?」


「だからよ、小さな、とても小さな過ちでも、ガキを殺しちまうことだってある」


さっぱりわからん。


「例えばだ。赤ん坊を育てるにはすごく気を使う。飯を喉に詰まらせちまったら、最悪死んじまうし」


なるほど、そういうことか。


「親がガキを殺しちまう可能性なんてのは、いくらでもあるんだよ」


逆も然りだがな、と話題を締めた。


「分かった。ありがとう」


「いいってことよ。試験勉強も忘れんなよ」


そう言い残すと父さんは洗面所から出ていった。


そして、僕はこう思った


父さんはやっぱり、なんやかんやで立派な父親だと。




そして夜


時間は1時40分


怪異は唐突に現れた。


姿は相も変わらず、姉貴そっくり。


だが、やはり少しちがう。


「こんばんは、天羽さん」


さぁて、とっとと片付けますか。

つぎはついに怪異と対決。


お楽しみに!

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