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鬼達の人情話ー真夜中の邂逅ー

お久しぶりです。


感想待っております。

001



唐突だが、僕には好きな四字熟語がある。


『十人十色』だ。


意味を要約すると、


『人間はみんな違う』だ。



…かなり意訳したが、本質はそういうことだろう。


なぜこの言葉が好きかというと、この言葉を使えば、僕や、僕の家族が正当化されるように思えるからだ。


たとえ『鬼』でも


たとえ『化物』でも


『鬼』と『化物』のハーフでも


正当化されるような気がするからだ。


されたように感じるだけで、実際はそんなことはないのだろうけど。



だってこれが表してるのは『人間』だから。




『鬼』や『化物』ではないから。


まぁ父さんに限り『化物』ではなく、『人間』と言えなくもないけど。


――いや、やっぱ『化物』だ。


昔、傭兵として各国を渡り歩いていた時、あまりに強すぎて世界各国から『神災』(ゼロ・プライド)と呼ばれ、戦争における使用禁止武器のような扱いを受け、傭兵を退職した男を『人間』とは言いたくない。





それはさておき。


なぜそんな話になったかというと。


今回話そうとしているのは、そういう話だからである。


『鬼』が登場し


『化物』が登場する。



しかし彼らは『人間』で在ろうとしている。


そんな彼らや僕達は『人間』と言われても良いのか。


はたまた『人外』の一言で表されてしまうのか。


考えて欲しい。


僕は考えて貰うばかりだと、常々思う。


それもやはり、『人間』で在ろうとするからなのだろうか。


『人間』の考えを理解し、身につけるためかもしれない。


それもきっとこの話が終わる頃にははっきりするだろう。


しないかも知れないけど。


まぁどちらでもいい。


今回の主となる登場人物を紹介しよう。


どうせなら一言紹介文のようなものもつけようか。


まずは僕

『鬼』と『化物』のハーフ

梛川神音



次に姉貴

『吸血鬼』と『化物』の血が生んだ絶世の美少女

梛川神那



……同じことを言いたいのに、なぜ僕と姉貴ではここまで変わるのだろうか?

裏でなにか大きな陰謀があるのを感じる。

まぁいいけどね。


そして彼ら。


心優しき、任侠人

鬼塚友護

鬼塚法規ほうき


狂暴なる番犬?

いやいや、凶暴なる番虎


神取虎鉄こてつ



以上がメインだ。


もちろん他にも出てくる。


野球バカもでてくる。


夢見がちな乙女もでてくる。


そして―――奴もでてくる。


………やっぱ『部外者達』編にしてもらおうかな。あぁ、いえいえ。こちらの話です。


それでは話を始めよう。


『鬼』と『化物』が起こす、人情話、いや鬼情話を。


002



6月の半ば。


気温はそれほど高くなく、暑いというより暖かい。


雨が降る気配もなく、過ごしやすい夜だ。


うん、過ごしやすいんだけど……。

「ねぇー神音くんってばー。ちゃんと話聞いてるの?」


「聞いてるよ。ただ何故天羽さんがここにいるのか、ふと不思議になってしまって」


そう、ここは梛川家の梛川神音の部屋である。


僕が椅子に座り、彼女はベッドに腰かけている。


時間は12時過ぎ。普段なら既に寝ている時間だ。


それなのになぜ起きているか?


答えは簡単だ。


なぜか怪異化した天羽さんが僕を訪ねてきたからである。


…というか、先月『夢呼び雀』を退治して、しばらくして天羽さんが『幽体化』?をして我が家に押し掛けて来た日から、3日に一回はこうやって僕のところに来るのだ。


説明が下手だろうか?分かりやすく三行にまとめよう。


天羽さん『幽体化』

我が家に突撃

僕困惑


ざっとこんなもんだ。


「なんでここに来てるかだって。キャッ、神音くんたらそんなの自分で考えてよ。女の子から言わさないでっ」


しばし考える。


「…嫌がらせ?」


「違うっ!…神音くんって鈍感ニブニブのラノベ主人公でも目指してるの?」


「違うけど。いやしかし、ラノベ主人公のあり得ない程の鈍感ニブニブには、確かに僕も苦言を呈したいよ」


「神音くんがそれ言っちゃおしまいだよ…」


「だってあいつら、クラスメートの女の子と二人っきりでどっか出掛けて、二人っきりで風呂入ったりしてさ。普通そこまでされたら、「あぁ、これはたぶん惚れられてるなぁ。こっちから告白すんの待ってんのかなぁ」とか思うだろ?」


「まぁ…ね」


「二人っきりで風呂って、お前。襲ってくださいって言ってるようなもの――」


「神音くん、自主規制」


「……はい」


「でも神音くん。その流れで行くと夜中に男女が二人っきりってのもなかなか危なくない?」


天羽さんが訪ねる。


「そうかな?昔からわりとそういうのはあったけど」


「はぁ……」


世の中の不条理でも見たように、天羽さんはガックリと肩を落とす。


どうしたのだろうか。体調がすぐれないなら帰っていただきたいものだ。


すぐれてても帰っていただきたいが。


「そーだ、思い出した!神音くんに言いたいことがあったんだよ」


先ほどまでのローテンションが嘘のように急に顔をあげ、興奮したように顔を紅潮させる。


「私ね、今日すごいもの見たんだよ」


「いきなりどうしたの。まるで本来の発売日より1日速く発売された書籍(講○社)を発見したみたいな顔して。何を見たの?」


「神音くんの例えはすごく細かいところを突くね…。だけど、そんなちっちゃいことじゃないんだなぁ」


ニヤニヤしながらチラチラこちらを見る。なんだこいつ?


「なんとさっき…巨人を見ちゃったんだよ!」


数秒の後。


僕は大爆笑してしまった。


「きょ、巨人って…くっ。」


「笑い事じゃなーい!本当に見たんだから。すっごい大きな人」


「チェ・なんとかさんが散歩してたんじゃない?昼間は目立つから夜に…みたいな感じで」


「むぅ…。信用してないね。なんなら今から見に行こうか?まだいると思うし」


「んー、どうしよっかなー」


あんまり遅くまで起きてると朝ごはんで不味いジュース飲まないとだし…。


その時


「ちょーーっと待ったぁ!」


バンッと僕の部屋を勢いよく開けて現れたのは―――


「しおん、私も連れていきなさい」


――姉貴だった。


「なんで姉貴が――」


「なんでお姉さんがついてくるんですか?」僕の言葉を遮り天羽さんが姉貴に文句を言う。


しかし、そもそも僕は行く気があまりないのだが…。


しかし、空気的にその手の発言を封じられたように感じた。


「隣の部屋ならまだしも、真夜中に男女が二人っきりで散歩なんて…」


さっきの話と通ずるところがある、ような気がする。姉弟だから以心伝心したか?


「でもお姉さんには関係ないじゃないですか!」


「弟の貞操は私が守る!私の管理外でしおんと女を二人っきりにはさせない!」


「おいおい二人とも落ち着けっ」


「「しおん(くん)は黙ってて!」」


「…はい」


なぜか僕が怒られた。まあ展開としてはベタだな。


このあとも二人の議論は延々と平行線で、唯一噛み合ったのが「神音はいい男」という、男としては嬉しいが、状況としては哀しい結果だった。


そして最終的に

「神音を真ん中に三人で腕を組んで散歩に行く」

ということで両者合意となった。


何か違うと思った人。つっこんだら負けだよ。


まあ最後は二人とも笑顔だったので良かった…のか?



003


そして時間は1時30分。あと30分で『吸血鬼化』が始まる。


もう明日の輸血ジュースは確定のようだ。


しかし…


「このパーティーは異様だな」

幽霊1人に吸血鬼1人、もうすぐ吸血鬼になる人間1人。


さらに、その三人が腕を組んで歩いている。


まさに謎パーティーだ。


しかしこの腕を組むという体制は、他人から見れば仲良し三人組だが、僕の視点から言わせてもらいたい。


完全にホールドされてる。


逃げ道を札束で塞がれた気分だ。


「幽霊がいなければ吸血鬼二人組になれたのにね♪」


オーラが黒いです、姉貴。


「女吸血鬼がいなければ、怪異のカップルになれたのにね♪」


空気が冷たいです、天羽さん。


「いつまでもいがみあってないで、ほら、もうすぐだよ。この先をまっすぐ進めばすぐ――」


「兄貴ぃぃ!」


唐突に叫び声が聞こえる。


「巨人っ!?」


「こらこら喜ぶな。速く行ってみよう」


「なんか怪異臭い…、てか生臭い」


姉貴が顔をしかめる。可愛いなぁ。


進むと開けた土手が。


そこには――


異様な光景、ただならぬ気配が漂っていた。


「グルァァァァァ!」


「兄貴、どないしたんですか!?なんで本家の血を引く兄貴が…」


人気のない土手に男が二人、両方それなりにでかい。


しかし片方はでかいと言うより―――「巨大」だ。


あれが…『巨人』?


「は…やく…、逃げろ…。喰わ…れる…ぞ」


巨人が息も絶え絶えに告げる。


見ているこちらが苦しくなるほど、巨人は衰弱しているようだ。


「くっ!」


もう1人の男が渋々ながら、こちらの方向に逃げてくる。


「しおん!あのでかいの、よく見て!」

姉貴が必死に僕に呼び掛ける。


「えっ?あの巨人?どこ?」


「頭よ、ア・タ・マ!」


巨人の頭部をよく見る。『超視力』でよく見えるが、――ん?


「なんだアレ?角?」


「よく見えないよー」


幽霊の癖に夜目がきかないらしい。幽霊って不便だな。


というか角って…。それを考えるとあの『巨人』って――


「もしかして、鬼?」


「たぶんね。すごい量の妖気、でも……灰色?」


姉貴が首を傾げる。


「お姉さん、灰色って何ですか?」


「さっきから我慢してたけど、お姉さんって気安く呼ばないで。…灰色ってのはね、普通と少し違うのよ。普通は真っ黒なの」


「そうなのですか、姉者」


「より近くなったわね」



二人は意外と仲良くなれるかもしれない。



ここで少し妖気について話しておこう。


妖気は怪異が放つオーラのようなものだ。


スーパーサ○ヤ人だって、よくわからないオーラ(気?)を出していた。あれに似たものだ。


しかし怪異の妖気は基本的には黒。なぜなら、基本的に怪異は人間に害なすモノ。それはつまり『悪』だ。


悪者は黒ってのが定番。天羽さんも黒い気円斬のようなのを出していた。あれがまさにそれだ。


妖気は『超視力』を使えば見えるはずなのだが、『完全吸血鬼モード』ではない今の僕は、ただの夜目が利く、視力の良い中学生である。


また例外として、力の強い怪異は特別な色の妖気を持っている場合もある。


それはまた今度話そう。


こちらに向かってくる男が僕らに気づく。


「おい!ここは危険だ。速く離れろ!」


「えっ?どうしよう?」


うっかりうろたえてしまった。


「――っ!こっちこい!」


男がうろたえた僕を見かねて保護してくれるらしい。


とりあえずこの男についていこう。怪異が関係あるなら奴が必ず出てくる。


その前に終わらそう。


「姉貴、天羽さん行くよ」


「「えぇー」」


「何急に仲良くなってやがんだこいつら」


「私は帰るわ。あとはよろしくね」


姉貴は飽きっぽすぎる。とか思ってるうちに姉貴は羽を生やして帰ってしまった。


「まあ神音くんと二人きりになれるならいいかな…」


天羽さんはついてくるようだ。


というか姉貴よ、さっきと言ってた事が矛盾してるよ…。


この男の人が加わったからもう大丈夫だと判断したのだろうか?


まぁどうでもいいか…。


姉貴がいなくなったのなら、僕も天羽さんなんてどうでもいいのだが…。一応クラスメートだ、親切にするのが吉だろう。


「君たち速く!…ってあれ?もう1人いなかったっけ?」


「いませんよ。あともう1人の人間なんてさっきからいませんよ」


嘘はついてないぜ?嘘はつきたくない性分なんだ。


「そ、そうか」


「はやく行きましょうよ、お兄さん」


天羽さんも乗ってくれた。


そして町の中心より少し離れた場所に連れていかれたのだった。


004



そこは――とても大きな屋敷だった。


細かく言えば日本家屋。和風な感じはまさに屋敷。THE屋敷だ。


「…すごく大きな家ですね」


予想の斜め上をいく大きさに、僕は感嘆する。


「神音くん…なんか変…」


天羽さんが小声で訴えてきた。


「変って何が?」


「なんか近寄れない…てか、消えそう…」


「え?どういう意味?」

そう聞いた時には既に天羽さんは消えてしまっていた。


具体的には、屋敷の敷居を跨いだ瞬間。


え?


「さぁ速く入って。この中にはああいう化物は入ってこれないから」


「……もしかして結界的な?」


「まあね。君みたいな子供には伝わりやすくて楽だ。あと、このことは秘密だよ」


急いで携帯の時計を見る。


1時50分。あと10分で僕も消される?


ヤバいヤバいヤバい。


消されず、閉じ込められるタイプにしても、絶対怪しまれる!


だって今まで黒髪だった子がいきなり金髪になったら、誰だって怪しむだろ!?


それに鬼と関係あるらしいし…、妖気がバレるかもしれない。


そのまま吸血鬼だってのもバレて、見せ物にされて、解剖されて………。


ネガティブ思考は止まらない。


自分が今おかれている状況を認識すると、急に心臓が激しく鼓動を始める。


「君大丈夫?汗すごいよ?というかもう1人は?」


「だだだ、大丈夫です!も、もう1人は帰りました!」


「まずいな…。少し探してくるから、中で待ってて。事情話せば入れるから」


「あの…お兄さん。お名前を教えてもらってもよろしいですか?」


「あぁ、忘れてた。俺の名前は鬼丸魁斗おにまるかいとこの家の者の親戚だ。そしてここは――『鬼塚組』の拠点だ」


『組』って…。


「……やくざさん?」


「違うよ。この町の――住人の1人さ」


笑顔だけど眼が笑ってねぇ。


そう言って颯爽と家から飛び出していった。


てか…『鬼塚』?


表札を見てみると確かに『鬼塚』と書かれている。


「そうある名前でもないしなぁ…」


デジャヴを感じる。


「まあ今はここを抜け出すのが優先だな」


僕も家からこっそり出て、時間ギリギリだったらしく、1分後には『完全吸血鬼モード』になった。


「また面倒事に巻き込まれそうだ…。なんだろう…不幸体質なのかな?」


小さくため息をついて、吸血鬼は歩いて家に帰るのであった。



改めて、お久しぶりです。


今回のシリーズは『鬼塚』についてです。


徐々に明かされる、『鬼塚』の秘密とは…。


そして次回予告!


ついに奴の兄が登場!?


いや、でもマジでアレ、アイツの兄か?


遺伝子って不思議だね!



な感じでやりまーす!



感想があれば、俺、頑張れるよ!



次回更新予告は―――



10月20日!


しかし予定は未定が俺のモットー。


あんま期待しないでね♪


それでは、またいつか…。

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