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番外編:猫坂真視の深層見聞


番外編です。


新キャラ続出です。


誤字脱字指摘待っています。

001


皆さん、はじめまして。


番外編を任されました

猫坂ねこざか真視しんみと言う者です。


性別は男をやらせてもらってます。


今は周りからしんちゃん、などと呼ばれてますネ。


特技は『深察』(スコープ)と言います。


まぁこれを名付けたのは我が幼なじみの神音なのですがネ。


実際、何なのかと聞かれますとですネ。


人を『視る』だけでその人の性格、深層心理が分析できるのですヨ。


例えると〇〇系男子のようにですネ。


しかもそれなりに核心に近い部分まで把握できます。


ついた通り名は『サトリのしんみ』


妖怪か!とか友達によく言われました。


まぁ実際は他校にそう呼ばれてただけですがネ。


それに呼ばれてたのは小学生時代だけでしたネ。


だから自分は『観察系男子』でしたヨ、昔から。


あと、神音は何系男子だったかというと……。


あぁ、先に言うと面白みがないですか。


何しろそれがこの話のキモですからネ。


では彼の性格が良く分かるエピソードを1つ話しましょうかネ。


人の本質を見抜く私が


人生でいちばん驚いた性格



いやいやむしろアレは


性質と言うべきか


まぁまぁ、お楽しみに。


ではでは昔話の始まり始まり。


002


昔話と言っても、小学生の時です。


私と彼は幼稚園からの仲でした。


彼は僕の特技に興味を持ち、私は彼の性格に興味を持ったのですネ。


彼の性格は私にとって当時は『謎』でした。


私の人生経験が少なかったからなのか、彼が本当に『謎』だったのか。


今となってはわかりませんが。


話を戻して、小学校でのこと。


私たちは当時四年生でしたヨ。


仲の良い10人のグループでいつも遊んでいました。


周りからは『部外者達』(イレギュラーズ)なんて言われて。


つまりは皆変人だったのです。


だけど、いつも神音が上手くまとめていました。


毎日が楽しかったです。


しかしこの年になると、だんだん厄介なモノが見えてくるのですネ。



すなわち――『上級生』でした。


確か名前は……柿間かきまと言いました。


六年生の彼は、私たち四年生の遊び場をよく横取りしました。


それくらいなら別に構いません。


私たちは駄菓子屋へ行ったり、誰かの家に行ったりしましたからネ。


しかしある日のこと。


公園で遊んでいた私たちに柿間のグループが近寄ってきました。


そして、柿間は神音にこう言ったのですヨ。


「お前の姉ちゃん引きこもりなんだろ?まじキモいな」


瞬間、空気が変わるのを感じましたネ。


和やかなムードがまるで喧嘩の直前のようなムードに。


空気が凍るとはこの事か、とも思いましたネ。


私たちは以前から彼が重度のシスコンであることを知っていました。


だけど彼が怒る、いやキレるというのは初めて見ましたネ。


「……今、何て言った?」


声の節々から怒りと殺意がにじみ出てました。


だけど神音も最初はまだ理性がありました。


しかし柿間がその理性を完全破壊しました。


「だからぁ、お前の姉ちゃんがキモいって言ってんだよ。シスコン野郎」


その時は『神音がかわいそうだ』と皆思いましたヨ。


しかし、数秒後には『柿間がかわいそうだ』になるのでした。




柿間が言葉を言い終えた瞬間、彼は10メートル程後ろにあったコンクリの壁までふっ飛び、頭を強く打ち、気絶していました。


どうやら、神音が『蹴った』らしいのですが私には理解出来ませんでしたヨ。


それほどに速かった。


それほどに強かった。


これは本当に子供の力なのか、いや、大人だってきっとできやしない。


しかしそれでも神音はまだやろうとしてました。


字的には『殺ろう』が正しいかもしれませんネ。



それぐらい殺気を振り撒いてましたネ。


目も血走ったように赤くなってました。


グループの中でトップクラスの剛力のカザキと親方が全力で止めてなんとか止まりましたネ。


ちなみにカザキは『超熱系男子』でした。


熱かったですヨ、彼は。


人間関係を溶かす程に。


今は関係ありませんネ。


話を戻します。


カザキが止めてる間に柿間のグループの人たちが柿間をどこかに運んでいきました。



神音はまた数分後には落ち着いて


「……みんな、ゴメン」


と謝りました。


まぁ誰も神音を責めませんネ。


だって悪いのは柿間だったのですから。


そうして、みんなでまた遊びはじめたのでした。


しかし問題は次の日でした。



003



次の日の学校での休み時間。


事件が起こりました。


仲の良い10人の内、一番おとなしいやっちゃんが身体中に怪我をして教室に帰ってきました。


聞くと


「柿間に殴られた」


と泣きながら言いました。


続けて


「放課後に神音1人で昨日の公園に来いって伝えろと言われた」


と話しました。


やっちゃんはひどく泣いてました。


彼は『普段は』とても大人しいので、そこを狙われたのです。


それを聞いて黙っている程、神音は甘くなかったのです。


当たり前ですがネ。


しかし甘くなかったのは神音だけではありませんでしたヨ。


「神音、俺らも行かせろ」


カザキが言いました。


「なんでお前達が来るんだ?これは僕宛ての喧嘩だぞ?」


神音の言い分も分かりますネ。


だけどですネ


「僕らのやっちゃんに手を出すのは流石に許せんよ」


とオザキが言いました。


いつも冷静な、いや冷酷なオザキも珍しく怒ってる。


まぁ彼はやっちゃんが大好きだからでしょうがネ。


そして私を含めた8人は皆頷き合いました。


「頼む神音、行かせてくれ」


「カザキ…。分かったよ。ついてきてくれ。お前らがいてくれたら、頼もしい」


もはやどこの少年漫画だよ。みたいな感じになってますが、実際はもっと緊張感がありましたネ。


何より相手は六年生ですから。


言葉で書くと伝わりにくいですネ。


まぁさておき。


放課後になりました。


004



神音はやっちゃんを除いた『部外者達』を率いて、公園へ向かいました。


そこにはてっきり柿間のグループがいると思われたのですが……。



「なんだよ、シスコン野郎。1人じゃ怖くて来れなかったか?あぁん?まぁいいけどよ」


そこには――――




6年男子ほぼ全員と思われる程の人数がいました。


その数、80超。


「なぁ?神音君。俺らが来て良かっただろ?」


「全くもってそうだなカザキ君」


「この数どうしますかネ?」


「この程度、我が冥王暗黒拳にかかれば刹那の内に終わるわ」


「黙りなヤミ。お前1人ここに置いて僕ら帰るよ?」


「んな酷いこと言うもんじゃねぇぞ、オザキ」


「その通りやわ。ヤミちゃん可哀想やろ。2つの意味で」


「あんたが一番酷いよ、サド」


「……………眠ぃ…」



その80超の人数を目にしても、私たち『部外者達』はあくまでいつも通りだったですネ。



「おい!話聞いてんのか!」


柿間がしびれを切らし怒鳴り付ける。


「はいはーい、聞いてるよー。こっちからも一応聞かせてもらいたいんだけど、なんで呼び出したのー?」


神音がのんびり質問しました。


「んなもん決まってるだろうが!昨日の仕返しだよ!」


「仕返しにしては規模がでかくありませんかネ?」


「お前らにはこれぐらいがちょうど良いだろ?『部外者達』さん」


何故だか彼は私たちの事を知ってました。


まぁそれなりに有名でしたからネ。


僕以外の9人は。


僕以外の9人は。


大事なことなので2回言いました。


「もし神音が1人で来てたらどうしたんだ?」


カザキが柿間に尋ねます。


「その時はお前、決まってんだろうが」


キャハハハ、と柿間は気持ち悪い笑い方をして、言いました。


「ボロボロになるまでぶちのめしたよ、6年男子全員でな。あのひ弱な女男みたいにな」


「……わかった。もう喋んな」


オザキが静かに、そして誰よりも速く行動に出ようとしました。


「おい、待てよオザキ。手を出すのは僕だけだと言っただろ」


神音がすぐさま止めにかかった。


「いやぁ、神音。『柿間』に手を出すのは確かにお前だけだ。だからよ……」


カザキが皆を代表して言います。


「その道を作るのは俺たちにやらせろ」



「お前達……」


「ぶっちゃけた話、やっちゃんを馬鹿にしたのも許せねぇよ。なぁオザキ」


「俺に振るな。だが、同意だな。しんちゃん、あいつらを視てくれ」


「りょーかいだネ」


オザキに頼まれ彼らを『深察』する。



「……これは面白いネ」


「どうしたというのだ、観察者よ」


「ヤミちゃん少しウザイよ。あと、あいつらなんだけどネ……」


「どうしたんだ?」


「柿間以外『空気系男子』だネ。いわゆるモブキャラだよ」



「………マジで?」


「大真面目だったネ」


「………ク、クハハハハ。雑魚しかいないのかよ、6年には。笑えるぜ」


『部外者達』一同、大爆笑であったネ。


しかしそれを聞いていたモブの1人が


「ざっけんな!!ぶっ殺す!!」


と威勢良く向かってきました。


「んじゃあ始めるかぁ」


親方の野太い声で乱闘が開始されました。


005


まず手始めにカザキが向かってきたモブを捕まえ(文字通り頭からガシッと掴む)、腕力だけで持ち上げる。


「おいおい、俺に向かってくるなんて頭大丈夫か?そんなに『部外者達』名物、『人間捌き』を受けたいのか?ならやってやるよ。死ぬんじゃねぇぞ?」


そう言い、カザキはモブを使い、相手を蹴散らしていった。


使い方は簡単


人を掴み、振り回すだけ。


剣のように突き。


金槌のように潰し。


弾丸のように投げる。


カザキの対複数人用の技。


『人間捌き』


端からみてると、まさに化け物ですネ。


化け物。


つまりは例外。


つまりは『イレギュラー』


それが私たちの在り方だから。


それが私たちの土俵だから。



「張り切ってるな、カザキの奴は……」


オザキもゆっくり戦場を進む。


「おい!止まれよ!」


モブ達がオザキの前に立つ。


「…お前らは怖いものがあるか?」


「知るかっ!んなもん今は関係ねぇ!」


果敢に突撃するが、オザキに近づくにつれ、誰も動けなくなる。


「本当に関係ないかな?ところでお前ら……」


オザキがモブ達に一歩ずつ近づく。


そのたびにモブ達の顔は醜く歪んでゆく。


しかしオザキは歩みを止めない。


「……今、お前らには何が見える?」




「…ウワァァァァァ!!」


モブ達が一斉に逃げ始める。


まるで幽霊でも見たかのように。


「めんどいなぁ……。親方ぁ、やっちゃってー」


「おぉ!任せとけ!」


親方がその大きな体に似合わない俊敏な動きで次々に蹴散らす。


「あそこの雑魚っぽいやつをかこめぇ!」


「おおぅ!」


ヤミちゃんが囲まれた。


「貴様らは我が同胞を傷つけた。許すわけにはいかぬ!」


威勢よく啖呵をきる。


「お前さっきからうぜぇんだよ!」


「ふっ。これを見てもそれが言えるかな…」


懐からあるものを取り出す。


「そ、それは…!…黒ひげの樽に刺す剣?」


確かに一般人から見ればそうなのだろう。


だが…。


「この世に破滅と混沌をもたらせ!魔剣『イフリート』!」


小さな剣を空高く振りかざす。


「……え?」


何も変わってない剣を六年生の方向にふる。


「『爆裂地獄斬』!」


「なに言ってやがるんだ?コイ…ツ………」


次々とその方向にいた六年生たちが倒れていく。


「悪は滅された」




あっという間に6年男子は柿間以外、逃げ出したか、地に伏している。


「おぉい、神音。道はできたぜ?」


親方が神音に告げる。


「ああ、助かった。こっからは俺がやる」


神音が柿間に向かう。


「く、来んなよ!化け物め!お前ら狂ってるぞ!」


怯えた柿間が喚く。


「私たち狂ってるらしいですネ」


「何世紀も前から知っておろう。観察者よ」


「ヤミちゃん、うざったいから隣町の自販機から水買ってきてくれない?」


「やめなさいよ、サド。ヤミだって頑張ったんだから」


「俺はヤミの二倍は働いたぜ?」


「それしか能がないからだろ?カザキ」


「…………Zzzz…」


「寝るなぁよぉ、シロ。お前も良く働いたんだから、胸張れや」






「――僕らが狂ってるのは前から知ってるさ。ほらこの通り。喧嘩の直後なのにこの和やかさ。まともじゃないね。だけど――」



神音が柿間を見据えて言った。


「友達を傷つけられて黙ってるほど、狂っちゃいない!」


柿間の体が恐怖で震える。


たぶん昨日の蹴りを柿間は覚えてなくとも、柿間の体は覚えてるのだろう。


「わかった!俺たちが悪かった!だから勘弁してくれよぉ……」


柿間の顔からは涙が溢れる。


だからといってやっちゃんを傷つけたのには、変わらない。


「やっちゃんに聞いたけど、50発くらい殴ったんだって?」


「やめろよぉ……やめてくれぇ」



神音は怒りを隠さず、最後の審判を下した。


「嫌だ」


006



10分後


ボロボロになった柿間に、二度と4年生にちょっかいを出さない事を誓わせ、『部外者達』は解散したネ。


だけど最後まで私は公園に残りました。


そして、『部外者達』が皆公園を出ていった後、倒れている柿間に近づき、こう言ったのですヨ。


「ありがとうございましたネ」


と。


いやいや、私が黒幕だったとかではなく。


単純に彼に感謝を伝えたかったのですネ。


「あなたのおかげで初めて神音の『性格』、いや『性質』が理解できましたヨ」


そうです。


その時初めてわかったのです。


「彼はそう―――」



『主人公系男子』



とでも言うべきか。



否応なしに周りを巻き込み


さながら台風のごとく


根こそぎ奪ってゆく


しかし


その後には


暖かな日差しがある


それが今の


『部外者達』を作っている


彼は生まれ持っての『主人公』であり


生まれ持っての『英雄』だ。



私はそう『深察』しましたネ。


「柿間さん、あなたがいかに『筆頭系男子』で在ろうと、いくら仲間を引き連れようと、主人公』には勝てませんよ」


私はそう言い残し、公園を去りました。




007


これが神音の伝説エピソードの1つ。


『6年討伐の乱』ですネ。


今でも小学校にはその伝説が残ってるそうですヨ。

今回の話で私が伝えたかったのは、つまりは神音の性格ですネ。


本当に驚いた。


私は人は皆それぞれが主人公であるとも考えてますネ。


だけど順位をつけるなら、必ず彼は上位、もしかしたら一位になるかもしれませんヨ……。




そろそろ終わりが近づいてきましたネ。


この後にもいろいろあったのですが、それを語るのは私の仕事ではないでしょうし、次に読者の方々に会えるのはいつになるでしょう。


ずっと先なのか、はたまたすぐに会えるのか。


私は楽しみに待っていますヨ。


それではこの辺でお別れです。


語り部は私。


猫坂真視でした。



お久しぶりです。


名前を変え、宵闇にしました。


理由はありませんけど。



今回は神音の小学生時代の話です。


まぁ天羽さんのエピソード区切りつけたし、間になんか挟みたかったので、過去回想となりました。


今後も1つエピソードが終わるたびに、『部外者達』編を1人分ずつ書いていこうと思います。


次からは本編に戻ります。


お楽しみに。



感想、批判とかでもいいので待ってまーす。

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