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第6話 どこまででもテイムができそう……って。マジですか!?



「……本当にヤバいくらい集まってくるんだな」

「まだまだ来ておるのじゃ、ご主人さま」


 森に入ったボクのところに十数匹の大きなツノ付きのウサギがやってきて、そいつらがミカゲの魔法で眠らされてる状態だ。


 まるでボクってゴキ〇リホイ〇イみたいな感じなのか?


 とりあえずツノ付きのウサギ――ホーンラビットは最弱クラスの魔物らしいので、何匹やってきたとしてもミカゲには余裕とのこと。


「ご主人さまが殺せば、その魔物からのマーナの一部がご主人さまへと吸収されるのじゃ」

「それが魔物を倒せば強くなるって仕組みなのか」

「……より正しくは、人間を倒しても同じなのじゃ」

「うわぁ……」


 嫌なことを聞いてしまった。

 実質的には人間も魔物も変わらないってことか。


 まあいいや、そのへんのことは気にしない方がいい。


「……ボクにもホーンラビットは倒せるかな?」

「そこに寝ておるものを殺すのじゃ。簡単なのじゃ」

「確かにそれはそうだけど……」


 命を奪うという行為。

 やりたい訳じゃないけど、この世界だとやるしかない部分でもある、か。


 はっきりとしたレベルアップとか、はっきりとしたステータスなんてものはないらしい。

 ミカゲの『鑑定』も特に細かい数字で示されてるって感じではないようだ。


 なんとなく、色々なことが分かる機能――それが『鑑定』らしい。


「とりあえず、強くならないとな……」


 ボクは強くなるために眠ったままのホーンラビットを殺すことにした。






「……これ、キリがないだろ」

「このへんのホーンラビットは全て集まったのじゃ。他の気配は今のところないのじゃ。もうちょっと遠くにいるみたいなのじゃ」


 すでに100を超えるホーンラビットがボクの周囲で眠ってる。

 魔法で眠らせてるのはミカゲだ。それに、ミカゲは忍者的な有能キャラだから、索敵もバッチリらしい。万能すぎんか?


「ホーンラビットは食肉としても庶民の味方として一般的なものと聞くのじゃ。ご主人さまは遠慮なく殺していいのじゃ」

「いや、食い切れないだろ……」

「捨て置けばいいのじゃ?」

「そういうのもちょっとなぁ……」


 もったいないとまでは言わないけど……ボク自身が『魔物使い』だからだろうか。なんとなくホーンラビットを殺して放置というのは嫌な気がしていた。


 可哀想かというと、見た目的にはそこまでカワイイという訳でもないから、そういう気持ちとは別のもの。


「……こういう時、アイテムボックスとか欲しいよなぁ……」

「アイテムボックスとは何なのじゃ?」

「何でも入るし、時間も止まるみたいな収納っていうか……」

「それはすごいものなのじゃ。ご主人さまがアイテムボックスと呼ぶものとは少し違うのじゃが、フクロフクロウをテイムすれば似たようなことはできるのじゃ」

「フクロフクロウ?」

「空間魔法を使えるそこそこ珍しい魔物じゃな。エサを見つけては自分の懐に保存しよる鳥なのじゃ。このあたりの森にもおるはずなのじゃ」

「それだ!」


 そいつをテイムして荷物持ちにするのはいい手だ。


 あとは……。


「……ここのホーンラビットはみんなテイムするか」

「そんな連中が必要なのじゃ? あまりにも弱すぎるのじゃ」

「いや。ちょっとした王都への嫌がらせっていうか」

「嫌がらせなのじゃ?」


「庶民の味方なんだろ? ホーンラビットの肉って」

「だいたいどこでもそう言われておるのじゃ」


「それをさ……ボクが片っ端からテイムしてこの森の奥まで全部連れていったらどうなると思う?」

「そんなことは……いや、ご主人さまの魔力量ならできそうなのじゃ。王都の近くからホーンラビットがいなくなって、食べられなくなるのじゃ?」


「そうそう。それで、ミカゲには『王さまが「ホーンラビットが食えぬのならオークを食えばよいではないか」って言ってた』とか、そういう噂を流してもらう」


「……ホーンラビットが食えぬようになったところでそんなことを聞いてしもうたら怒り狂うのじゃ。とはいえ庶民では何もできぬかもしれぬのじゃが」


「別に何もできなくてもいいんだよ。嫌がらせだからな」

「ご主人さまの好きにしたらよいのじゃ。わらわはご主人さまと一緒に行くのじゃ」


 ボクをバックハグしてそのままバック大しゅきホールド態勢に入り、かかとで股間をスリスリとしてくるミカゲ。


 魔法使いの未来を捨てて、ちょっとずつそういうのも慣れてきたボクだけど、やっぱりこのロリばばあはエロいな……。


「よし。テイムっ!」


 ボクは眠っている無数のホーンラビットにテイムをかけるのだった。


 ……一斉にホーンラビットの目が怪しく輝いたのはちょっと怖かったけど。






 殺したホーンラビットはミカゲに肉にしてもらって持ち運び、テイムしたホーンラビットの大群とともに森の奥へと進む。


 ボクの匂い? とかそういうフェロモンっぽい何かによってさらに集まるホーンラビットをテイムし続けていくと、今度はホーンラビットを狙ったグリーンウルフの群れがやってきて、これもどんどんテイムしていった。


 ホーンラビットは200を超えてからは数えてないし、グリーンウルフもそろそろ100を超えそうだ。


 虫系のモンスターもホーンラビットを狙って襲いかかってきたけど、それはグリーンウルフが倒していく。

 虫系でも強いのならテイムしたいんだけどあんまり強くないのが残念……。


 ミカゲによると、テイムした魔物が他の魔物を倒した場合でも、マーナとかいう何かはボクに吸収されていくらしい。

 自分で倒した方がマーナを吸収する効率はいいみたい。


 でも、ボクは『魔物使い』だし、自分ではなくテイムした魔物に戦ってもらえばいい。そこまで効率を求めてる訳じゃない。むしろ安全優先でいい。


 つまり、今の状態だと……ボクは森の奥へとテイムしながら歩くだけで強くなってるってことだ。

 歩けば経験値が入る指輪をつけてるような感じか?


 グリーンウルフがホーンラビットを守りながら虫系の魔物をどんどん倒してくれるからずっとレベルアップしてるんだろうと思う。


 ……割と歩きにくい地形なのに、全然疲れない。こんな体力も、運動能力も、元々のボクにはなかったはず。


 それ、完全なるチートなのでは?


「む? ご主人さま。ちょっとグリーンウルフにとっては厄介な相手が来たのじゃ」

「厄介な相手?」

「ジャイアントビーとブラッドベアーじゃな。ジャイアントビーは飛んでおるのでグリーンウルフでは刺される距離に近づくまで対処ができんのじゃ。ブラッドベアーは多対一で戦えばどうにかなるのじゃが、時間がかかるのじゃ」

「それならテイムして進むよ」

「……それができるご主人さまはここの森じゃと本当に無敵なのじゃ。わらわは惚れ直したのじゃ……」

「だからってかかとでイタズラしてくるな!?」


 ボクはそんな感じでミカゲといちゃいちゃしながら、動物軍団とともに森の奥の山脈の方へと進んだのだった。






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