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第13話 異世界についてもっと学ぶ必要があるかもしれない



 バカなチンピラは部屋に引きずり込んで、とりあえず顔の形が変わるくらいにはボコっておく。

 あと、こういうチンピラは股間を潰しといた方がいいから、殺さない程度に何度も金的を喰らわせておいた。

 これで二度と女を抱けないと思う。


 口から泡を吹き出して気絶した状態で、そんなふたりを髪の毛で引きずって宿のカウンターへ運び、事情を説明して衛兵を呼んでもらっておしまい。

 ハゲろ、バカめ。


 やってきた衛兵さんもやはり異世界感覚だった。

 ちょっとやりすぎだけどまあそういう事情なら仕方がない、ってくらいでこっちはお咎めなしってのも……治安が悪いからなんだよ。

 怖すぎるだろ、異世界。


 それでも、このことがちょっとでも噂になれば……ボクに対して同じことは起きないはず。


 そう信じたい。






 夕方にはカイラッドさんの店に行き、まずはグリーンウルフの抜け毛を少しだけ渡して確認してもらう。


「これを糸にすればかなり美しい布になると思います」

「それで取引金額は……お任せでいいですか?」

「え? よろしいので?」


 カイラッドさんは目を見開いて驚いてる。


 ボクとしては親切なカイラッドさんに任せてしまった方が安全な取引になる可能性が高いという、割とゲスい考え方での行動だ。


 相手の善意に付け込む感じ。

 どうせ物価もよく分からんし。


 カイラッドさんがいい人だってことはもう知ってる。


 ボクは素材として集めた抜け毛を渡すだけ。

 糸にするのも、布にするのもカイラッドさんだ。


 それがお金になるならラッキーくらいの気持ちでいた方がいい。


「……支払いは遅くなりますが、糸や布にして、どのくらい売れるかが分かってからでもいいでしょうか?」

「とりあえず今はお金に困ってないので」


 前回のここでの滞在で、ハチミツ以外にも王都で盗んだ貴金属なんかを換金させてもらったからな。

 オークの鼻で金貨も手に入ったし。


 ……何より、ああいうろくでもないチンピラと関わった後だから、カイラッドさんみたいなまともな人と関わって自分の感覚を浄化したいってのがある。


「いろいろと工夫も必要かもしれませんし、カイラッドさんができるだけもうけられるようにやって下さい」


「いえいえ! もちろんもうけは出したいと思っていますが、こういうのはどちらにも利益があるからいい関係を築けるものですよ。妥当な金額をお支払いしますから、時間はかかりますけどよろしくお願いします」


「そう言って下さると助かります。この前と同じで夜になったら、預かった麻袋5つ分の抜け毛が届きますので」

「この前の……フクロフクロウの従魔ですね。実に羨ましい……」


 夜間飛行が可能な従魔の宅急便とか、カイラッドさんみたいな商人にしてみればマジで欲しいんだと思う。馬車よりも速いし。

 今、そういう顔してるもんな。


「また新しい麻袋を頂いても?」

「もちろんです。ああ、夜までここで待つ間に食事も用意させましょう」


 実はそれについては期待してた。

 ごちそうさまです。


「あ、それなら……」


 カイラッドさんはウィンウィンの関係でいたいと思える相手。

 こっちもごちそうになるだけではよくない。


「……フクロフクロウが飛んできたら、オークの肉もお分けしますよ。解体は下手なんで味については料理人にお任せですけどね」

「それは……ありがたく頂戴します。しかし、オークの肉ですか。いいですね、羨ましいですよ」


 うん?

 オーク1体で金貨1~2枚って聞いたから、そこまで高い肉でもないんじゃないかと思ったけど……。


「冒険者ギルドでオーク1体が金貨1枚か2枚くらいって聞きましたけど?」

「それは解体前ですし、食肉として売られる時にはもっと高くなりますよ。庶民の私たちはたまにホーンラビットを食べて……何かの記念日にオーク、ですかね?」


 ……カイラッドさんは庶民ではないような気もするけど。


 とにかくオーク肉は喜んでもらえるってことか。


「……オーク肉をここに卸しましょうか?」

「あ、いえ。それは……食肉ギルドに目をつけられますからね。エニシ様は冒険者ギルドで換金した方がいいかと」

「ああ、そういう独占機関があるんですか……」

「はい。でもまあ、たまに? 少しくらいであれば。こちらでの売り物にはできませんけどね? 我が家の食材として買い取らせて頂きます」

「いえ、そのくらいならサービスしますよ」


 そこでボクとカイラッドさんは笑い合った。


 なかなかいい情報がもらえた。

 何とかギルドっていう、それ専門の独占機関みたいなのがあって……そこに絡む商品はうかつに売れないって感じか。


 そうすると……。


「……グリーンウルフの糸は……」

「ウチの商会はちゃんと繊維ギルドに入ってますから。糸、布、服などが中核商品なんですよ」


 カイラッドさんは布商人なのか。お店は服屋って感じではなかったけど。


 あ、オーダーメイド的な? 悪役令嬢がドレスを頼むタイプの?

 いや、糸や布の卸売りかもしれない。


「そういえば、ハチミツは大丈夫なんですか?」

「ああいうものは特殊すぎて、どこかのギルドが独占したりはできないので」

「なるほど……」


 ジャイアントビーのハチミツはそこまで特殊なものだったのか……。


「お陰で貴族向けの伝手も増えている感じです。とても助かっていますよ」

「……お役に立てているようで安心しました」


 物価が分からんとか、価値が分からんとか……常識が足りないって厳しいな。


 カイラッドさんと話したことで、ボクはこっちの世の中についてもっと学ぶべきだと思うのだった。






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