面会
視線を掻き分けて廊下を進む。
くだらない。
ものすごくくだらない。
内心ため息をついて、さっさと教室へ入ろうと歩を早めた。
そして、ドアを開けて後悔した。
女だ。
俺の隣の席に女が座っている。
ついにきたんだ。
「(………気にすることもないよな……)」
だからといって取り乱す事はなかった。所詮他人は他人。俺を見て泣こうが喚こうが知ったことはない。
俺はそのまま足を進めた。
生憎女は俺に気づいていない。
馬鹿だ。
バン!!
俺はそのまま鞄を投げ捨てるように机に置いた。
すると反射的に女がこちらを振り向いた。
何故か、お互い見つめ合った。
よくわからない。
女は泣きもしないし喚きもしなかった。
しかし驚いてはいるのだろう、目を見開いて俺をみていた。
いや、これから泣くかもしれない。
俺はというと、正直俺を見て泣かなかった事に意外だと思った。
とにかく、まるで時が止まったかのように見つめ合っていた。
「……………ぁ、」
「みずき、一時間目移動だよ!ほら、早く行こう、ほら!!」
「あ…う、うん」
女が何か言おうとした。
だがそれは、他の女たちによって遮断された。
ちらちらとこっちを見てはそそくさとこの場を去る女たち。
多分奴らはここにいた女を救ったような気でいるのか。
「……………」
もちろんどうでもいい。
俺は乱暴に席に座った。
妙に腹立たしい。
窓の外をみた。
やっぱり鳥になりたい。