表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ホーネット  作者: 心一
1/3

冷酷



冷たい視線。もう馴れた。

それでもやっぱり嫌なものにかわりはない。





ひそひそと、ききたくもないのに聞こえてしまう悪態。

言っている方も言っている方でよく飽きないな。



窓の外をみる。

鳥が一羽飛んでいた。

ああ、今俺があの鳥だったならばどんなに幸せだっただろう。何も考えずに、ただひたすら自由に飛び交う。もうなんでもいいから、次生まれ変わるときは完全なものがいい。


人間でも無く虫でも無い中途半端など、もううんざりだ。





「おい、授業を始めるから席にもどれ。」




人間の男が叫んだ。教師とは呼ばない。

すると、遠巻きに避けていた生徒達が渋々というより嫌々と席に着いた。

俺の周りの席の奴らは少し時間をかけて座った。

それでも、俺の周りの席は人為的に離されている。まあ別に、だからどうしたという訳だが。




こうして俺の一日が始まる。

面白いことは一切ない。むしろ厭だ。

しかし行かない訳にはいかない。国が定めた事以上、俺等は逆らえない。俺等のような存在が確認されてから、日本は相当混乱しただろう。人間いわく昆虫人間である俺等は、普通は保護するか殺すかすればいいものを。

わざわざ人間と同じ生活をさせて、お互い差別の壁を取り払おうーーーなんて、人間は神のつもりか。現実をみろ。今にもこの教室には俺をみて泣き出しそうな奴がいるというのに。

結局口先だけなら誰だって何でも言える。



俺は、ふと隣の席をみた。

空席である。

俺が転入してきた時から休んでいたので、どんな奴かは知らない。だけどきっと、コイツが学校へ来て隣が俺だとしったら酷く絶望するだろう。まあ例えそうなったとしても俺は悪くない。そんなの知らない。俺はただ国の言うことを聞いているだけだ。








「起立、きをつけー」








また、意味の無い一日が始まった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ