表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
95/451

94 解決

ミレイアは、集落を回って体調の悪い者たちに治癒魔法を施していた。


魚を食べてからどんどん体が弱ってきていた老婦人は、光魔法を受けた瞬間、みるみる顔色が良くなり、10歳は若返ったように元気になる。

「……あら、まるで若い頃に戻ったみたい。こんなに体が軽いの、何年ぶりかしら」


浮かんだ魚を食べ続け、特に重症だった男性も、治癒されるや否や勢いよく立ち上がり、試しに片手でタンスを持ち上げてしまった。

「うおおーっ!!」

近くの子供が「すげー!」と歓声を上げる。


ルイスとティナが一緒に回ってくれたおかげで、ミレイア一人では気づけなかった軽い症状の人たちにも治癒を施すことができた。


「なぁ、ミレイアさん。最後にうちの母ちゃんも見てもらっていいかな。本人は大丈夫って言ってるけど、最近ずっと調子が悪くて…」

ルイスが少し遠慮がちに言う。


「もちろん!」

ミレイアたちはルイスの家へ向かった。


玄関を開けると同時に、奥からドドドッと足音。

ルイスの家族が一斉に押し寄せ、「どうぞどうぞ!」と部屋の奥まで案内する。


「近くで見ると、やっぱりすっごく綺麗だなぁ」

「さっきの魔法、本当に夢みたいだった!」

「女神さま〜 サインして!」

子供たちは大はしゃぎ。


父のエクスは、悔しそうな顔でルイスの頭を拳でゴリゴリ。

「お前……、ティナちゃんだけじゃなく女神様まで友達だと!? どんなやつだ」

「痛いって父ちゃん! 女神様じゃなくてミレイアさんだよ」

「え、ミレイアさんって……、お前が入学前から噂を聞いて憧れてた、あのミレイアさんか!?」

「ああ、そうさ」

「マジで!!」

「噂以上じゃん!」

「やっぱ本物の女神様じゃん!」

「ルイス兄ちゃん、やるぅ〜!」

弟妹たちの声が入り乱れ、収集がつかなくなる。


コホン

咳払いで落ち着かせたのは母のオリーだった。

「ごめんなさいね、ミレイアさん。騒がしい家族で驚いたでしょう? いつも息子と仲良くしてくれてありがとう。そして先程は、海も町も救ってくださって……ありがとうございました」

深々とお辞儀するオリーに合わせ、家族全員が頭を下げる。


「そんな……頭を上げてください。わたしがやりたくてやったことです。それより、お母様が体調不良だと伺いました。治癒させてもらってもいいですか? 魚は召し上がりましたか」


ミレイアが心配そうに尋ねると、オリーは申し訳なさそうに首を横に振った。


「魚は食べてないわ。体調も……今は大丈夫。ただ、病気じゃなくて……」


「え!妊娠!?」

子供たちが一斉に叫ぶ。


「うそだろ、十二人目!?」

ルイスと妹のウララが、じとっと父を睨む。


オリーは苦笑しながらお腹をそっと撫でた。

「黙っててごめんね。流産しかけていたから、安定するまでは子供たちには内緒にしようってエクスと決めてたの。……余計に心配かけちゃったわね」


「でも、母ちゃんが病気じゃなくて良かったよ。これでルイス兄ちゃんも学園をやめなくていいね」


ウララの言葉に、ルイスはうつむく。


「いや……新しく子供が生まれるんだぞ。うちの家計が厳しいのは変わらない。漁だってしばらくは成果が見込めない。俺が働いて金を入れた方が……」


「大丈夫よ、ルイス。赤ちゃんのことは兄姉たちも面倒をみてくれるわ。それに、お金のことならティナちゃんが全部解決してくれたの」


「え?」


驚くルイスに、エクスが補足する。

「ああ、当分の生活費が賄えるだけのお金を貸してもらった。それだけじゃない。この町に商会の支部を作ってくれた。働きたい人はすぐにでも働けるそうだ。ルイスにもアルバイトを紹介してくれるらしいぞ」


ルイスが凝視すると、ティナは慌てて両手を振った。

「あー、違う違う。これは援助じゃなくて、ただのビジネス。兄の商会でノクシア商会の商品を扱えるようになって、売り上げが爆発的に伸びたの。港町に支部が必要だっただけ。働き手もたくさんいた方がいいし。ルイスに紹介しようと思ってたバイトも、学園の経営をしてる母から頼まれたやつで、資料整理とか雑用よ。わたしも一緒にやる予定だから心配しないで」


「ティナ……」


ティナは、じっとルイスの瞳を見つめた。

「あんたがいなかったら、学園はつまらなくなる。あんたがいれば、いつだって楽しい。一緒に魔法ドリンク売りたいし、社交パーティーで踊りたい。一緒に……学園に帰ろう?」


「ティ、ティナ……!それって……愛の告白だよな!?」


「ち、違うから!」


「帰るよ!ティナと一緒に。俺もティナといると楽しい。こんなに気が合う女の子、会ったことない。星導祭で一緒にたくさんダンスしよう!」


「た、たくさんはしない!」

ティナは耳まで真っ赤にしてそっぽを向く。


大家族とミレイアは、温かく微笑ましい空気に包まれていた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ