21 また明日
昼食を終えると、午後からの授業がある上級生のアゼルとユリウスは、立ち上がった。
「名残惜しいけど……僕はこのあたりで」
アゼルがミレイアに近づき、
「また、会いに行くよ」
と、頭を軽くなでた。
ミレイアが頷いた直後、ユリウスも近づいてきて、
「女神さま。一緒に食事できて嬉しかった。俺はいつでもあなただけの騎士です。忘れないでくださいね」
手をそっと取りかがみこむと、手の甲に敬意を込めたキスを落とした。
レオンは複雑な表情で、去って行く2人の背中を見送っていた。
姿が見えなくなった頃、ミレイアも立ち上がった。
「それじゃあ、わたしは寮に戻るわ」
そう口にした瞬間、ぱっと反応したのはルイスだった。
「ええっ? せっかく会えたんだし、学園探検でもしませんか? まだ行ってない場所がたくさんありますよ! 裏庭に温室もあるし、噂の迷いの回廊も!」
「ルイス!」
ティナが鋭く叫んだ。
「ミレイアさんに迷惑かけるんじゃありません! 今日はもう終わり!」
ティナはルイスの袖を掴んで、ぐいぐいと引きずっていく。
「ミレイアさん! クラリスさん! 3人でお茶会する約束、忘れないでくださいね〜!」
「ええ、もちろん。また明日」
ミレイアが微笑むと、ティナは、ぱあっと頬を染めて嬉しそうに手を振った。
「では、失礼しますねっ!」
そして――
レオンは黙ったまま、ただミレイアのほうをじっと見ている。言葉にこそしなかったが「まだ一緒にいたい」と、目が語っているようだった。
ミレイアが照れたように目をそらしたその時ーー
背後からクラリスが小さく咳払いをして促す。
「レオン殿下、やらなければならないことがあります。そろそろ参りましょう」
「……わかっている」
「ミレイアさん、また明日教室でね」
「ええ、クラリスさん、殿下、ロイさん、ではまた」
ようやくレオンが一歩踏み出すと、ロイとクラリスがそれぞれ横に並んで、王族寮に向かって進んでいった。
一度だけ振り返ったレオンと目が合い、ミレイアは戸惑いながらも、わずかに手を振った。
その仕草に満足したのか、彼は少し微笑んで去っていった。
ミレイアは深く息をついてから、貴族寮の方向へ歩き出した。




