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集まり

「改めて、ようこそ西の森へ。今日お前たちを集めたのは、力を合わせてやらなければならないことがあるからじゃ」

小屋の主であるイリウスが、全員に向かって大きく呼びかけた。


皆が顔を見合わせて頷く中、紅茶を配り終えたユキアも席につき、声を上げる。

「聖女の力が発現した者には、特殊な力が宿ることがあるんだ。私の場合は遠隔透視能力。アリアは予知能力。そして……パミルは、魔法による状態異常を判別する力を持っている。そうだね、パミル?」


「はい、そうです」

パミルが素直に頷く。

「わたしは、この前王宮で、たくさんの人が精神魔法による洗脳状態にかかっているのを確認しました。でも……わたしには、それを元に戻す力はありません。ここに来れば、精神魔法を解除できる人に会わせてもらえると聞いて来たんです。やっぱり……ミレイアお姉ちゃんが、その力を持っているの?」


「病気を治癒することはできるけれど、精神魔法を解除できるのは術者だけよ。もし可能性があるとすれば……」

ミレイアはユキアに目配せする。

「アゼルは今日は来ないんですか?」


「約束はしていたから、来るはずだよ。ただ、さっき通信を入れてみたんだけど繋がらなくてね。場所がわからなければ、透視能力も使えないんだ」


「わたしも予定を詳しく聞いていなかったの。はっきりした時間も伝えていなかったから……遅れてくるのかもしれないわ」

マーサが少し申し訳なさそうに口を挟んだ。


ミレイアはポシェットから携帯通信機を取り出し、アゼルに繋いでみる。だが、やはり応答はなかった。


「忙しいのかしら……ちょっと待ってて」

そう言うと、ポシェットの奥に手を突っ込む。うっかり瞬間記録機や魔導走行機の模型を取り出してしまい、慌てて中に戻すと、今度はしっかりと人探し魔道具を取り出した。


そして、アゼルから預かっている男物のハンカチを読み取り部に差し込む。

すると上部に地図が浮かび上がり、赤い点が点滅した。


「ここは……王都の魔塔ね」

ミレイアは点滅する場所をトントンと指先で叩く。地図の範囲が縮まり、位置がより詳細に記された。


「魔塔の会議室にいるみたい。会議中で出られないのかもしれないわ。後でまた通信してみる」


ミレイアが魔道具をポシェットに仕舞うと、向かい側に座っていたパミルが身を乗り出し、目を輝かせた。

「お姉ちゃん! 今の魔道具は何? それに、そのポシェット、小さいのに色々入ってるのね! 魔法がかかってるの?」


「ああ、このポシェットはマジックポーチに革紐をつけたものなの。さっきのは人探し魔道具を改良したものよ」


「……?」

説明されたのにますます不思議そうな顔をするパミルに、ノエルが助け舟を出す。


「パミルちゃん、ミレイアお姉ちゃんは魔道具作りが趣味なのよ。毎日遅くまで色々作ってるの。すごいものを次々生み出しているんだけど、本人にその自覚がないの」


「えー!」


ユキアも笑いながら補足する。

「ノクシア商会で扱っている魔道具は、全部ミレイアが発明して商品化したものなんだよ」


「え、えー!!」

パミルはさらに目を輝かせ、尊敬のまなざしでミレイアを見つめる。


その傍で、真面目な顔になったアルスが口を開いた。


「王家を危険に晒している精神魔法については、アゼルくんが来てから話し合うとして……。ノエルとミレイアに聞いてほしい話があるんだ」


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