日常
確認テスト終了までの4日間は、あっという間に過ぎていった。
テスト自体は、ミレイアにとっては相変わらず簡単だったが、終わった後にクラスメイトたちと笑いながら答え合わせをしたり、お菓子を交換してみんなで食べる時間は、何よりも楽しく有意義だった。
ーー
ソフィアから、ミレイアと登下校する権利を奪い取ったレオンは、毎日遠回りをしてミレイアを送り迎えしてくれている。
レオンは毎日ご機嫌にミレイアにくっついてくる。
どうやら冬季休暇中にやるはずだった王太子の執務が、もうすぐ終わるらしい。
「ミレイアが帰省する時に、一緒にノクシア領に行けそうだ!楽しみだな」
素直に愛情表現をしてくれる彼の姿が、可愛らしく、とても愛おしい。
ーー
火曜日の帰り、レオンと部屋の前で別れたあと、アゼルがこっそり転移してきた。
口元に人差し指を当て、「静かに」の合図を送る。
「アゼル!元気だった? あれからどこに行っていたの?」
ミレイアは小声で尋ねた。
「僕の父親の正体について、色々探っているよ。マーサのところにも顔を出してきた。ユキアさんが、今度、魔法による状態異常を見抜ける人物に会わせてくれるらしい。もしかしたら僕の魔法で、精神魔法に侵された人たちを元に戻す手掛かりが掴めるかもしれない」
「え! それ、わたしも行っていい?」
「もちろん。誘おうかと思っていた」
アゼルはにっこり笑い、ペンダントの魔力を補充すると、自然にミレイアを胸に抱き寄せる。
「少し魔力の状態を見せてね」
そう言うと、アゼルは自身の魔力を流し込み始めた。
体の奥まで届く心地よい魔力に、ミレイアは思わず甘い息を漏らす。
名残惜しそうにミレイアから離れたアゼルは、
「見つかる前に行くね。この前やり過ぎちゃったから、ノエルさんに怒られそうだ」
と手を振り、転移の光の中に消えていった。