短い手紙
ミレイアはベッドに座り、今日のベルトランからの告白を思い返していた。
「あれは、びっくりしたな……」
告白のことは、誰にも話していないし誰かに伝える予定もない。
レオンに伝わったらいらない心配をかけそうだしね。
「そういえば……」
朝から図書館に行くことにした理由を思い出す。
毎晩届く不思議な手紙に
"朝から図書館に行って"
と、具体的なメッセージが書かれていたからだった。
もしかして、ベルトランさんに会わせたかったの……?
まだ見ぬ差し出し人に語りかけるように、胸の中で呟いた。
そのとき、今晩の手紙が、ふわりと柔らかな光を帯びて宙に現れた。
【ミレイアへ】
告白には裏がある
でも悪くないから心配いらない
「……一体、何を言いたいの!」
思わず声を上げる。
普段の手紙は、仲間を大切に、無理せず頑張って、といった労りの言葉が中心だ。だけど時々具体的な指示があったり、今日のようによくわからないメッセージが届くこともある。
もう少し長い手紙をくれればいいのに。文字制限でもあるのかしら……
ふと、先日の研究院で徹夜した夜のことを思い出す。あの夜も手紙は届いたのだろうか。
次の日、目を覚まさなかった夜には、ノエルが手紙を受け取ってくれた。すぐ目を覚ますから側にいてあげてという内容だったとかーー
考えを巡らせているうちに、手紙の文字は柔らかな光となって消えていった。心地よい眠気が全身を包み、ミレイアはゆっくりと目を閉じた。