表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

123/189

談話室にて

4人はしばし暗い事件のことを忘れて楽しい時間を過ごした。

「まだ帰らないで。夕食も一緒に……」

とすがるレオンの希望を聞いて、4人一緒に王族寮のシェフが作った夕食を食べた。


ノエルに連絡をした時にはえらく心配されたけれど、クラリスも一緒だと伝えると安心したようだ。

「クラリスさんが一緒なら、夕食の後お嬢様まで食べられちゃう心配はないですね。後でフローラが迎えに行くので、待っててください」



フローラが迎えに来るまでの時間、カードゲームをしながらおしゃべりを楽しむ。


「あ!また負けた。ミレイアさん強すぎるよ〜」

「ふふふ。ロイさんは3連敗ね」


クラリスがロイの肩を叩いて励ましながら、ミレイアに声をかける。

「あと二週間すれば冬季休暇ね。ミレイアはノクシア領に帰るのよね?」


「うん。毎年両親と一緒に誕生日と年越しを過ごしているし……最近色々心配かけてるから、向こうで一カ月過ごす予定よ」


「そっかー。しばらく会えなくなるのね。寂しいわ」


「クラリスは実家に帰らないの?」


「うちは王都の外れにあるけど、父も母も王宮で働いているから会おうと思えば会えるし、帰る予定はないわ」


「クラリスのお父様は文官長で、お母様は侍女長だっけ?」


「ええ、そ……」


「そうだよ。ミレイアが王妃になれば、たくさん会うことになるよ。それより……」

レオンがクラリスの言葉に被せるように口をはさむ。

「一カ月もいなくなるなんて聞いてないんだけど」


「うん、今初めて言ったもの」


「誕生日も一緒に過ごせないのか? 寂しすぎるよ」


「わたしも……きっとレオンに会いたくなるわね。転移魔法でこっそり会いに行こうかな。レオンに時間があれば、ノクシア領に会いに来てくれてもいいわよ」


「行く!」

即答するレオンに、ミレイアは微笑んだ。


「まあ、その前に来週からテストがあるのよね」


「あー! そうだった……」


「ロイ、もしかして忘れていたの?」

クラリスがクスクス笑う。


「クラリスは覚えてたのか?」


「もちろん。ちゃんと勉強しているわ。私はミレイアや殿下と違って、一度学んだら忘れない能力は持ってないから、努力しないと」


「俺もなんだけど……今から頑張るか」


「ティナとルイスが週末にミレイアと一緒に勉強会するって、参加者を募ってたけど……」


「参加する!」

「俺も!」

ロイとレオンが手を挙げる。


「私も参加するわ。ミレイア、週末の勉強会は大人数になりそうよ」

クラリスの言葉に、ミレイアが苦笑した。


「ティナとルイスだけだと思ってた」


トントン。談話室のドアがノックされる。

「ミレイア様、お迎えにあがりました」


「あ、フローラが来たわ。じゃあ、もう行くわね」


レオンが名残惜しそうにミレイアの手を掴む。


「ミレイア! 明日もここに来れる? なんならもう一緒に暮らさないか」


「レオン……。さすがにそれは無理だけど、また来るわね」


ミレイアは握られた手を離すと、唇を尖らせて拗ねるレオンに近づき、軽く唇を合わせた。


「おやすみなさい」


笑顔になったレオンと、唖然としているロイとクラリスを残し、ミレイアは部屋を出て行った。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ