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学生の日常

部活

作者: ミナネナミ

 「ねぇー、今年の文化祭何やんの?」

 「え?あー、なんだろ。去年はアニメ作ってプロジェクターで流したけど…」

 「今年もそれでいいんじゃね?」

 「いや、顧問が言ってたけど、今年は生徒会の企画かなんかで部室もプロジェクターも使えない」

 「マジで?じゃー、どうするかねぇ」

 「そもそもさ、部室使えないんなら作品どこに展示すんの?」

 「あー、それはどっかの空き教室だか廊下だかにやるらしい」


 先輩方の話を聞くともなしに聞きながら、個人の活動に集中する。


 うちの部はかなり緩くて、部活中に関係ないことをしていようが、雑談していようが、叱られない。そもそも、いつも部活で雑談するのが部長をはじめとする先輩方で、部活動に集中しているのが新入生なのだ。叱られようがない。


 「ねーねー、文化祭でやることはおいといてさ、コスプレできるよね、文化祭。なんか着ない?」

 「え?例えば?」

 「そもそもどこに売ってんの?」

 「そんなんモールとかに売ってるじゃん。例えばー、ナースとか?」

 「女ものじゃん。俺らに女装させる気?」

 「バニーでいいんじゃね?スギ着ろよ」


 ーーいやいやいや、先輩、冗談ってことはわかってるんですけど、うっかり想像しかけたじゃないですか。ただの公然猥褻ですよ。それ。


 「いや、俺男だからね?なんで俺が着ないといけないんだよ。マユが着ろよ」

 「えー、私は嫌だ」

 「いいじゃん、スギが着れば。バニー着て、その上にジャケット羽織れよ。それかコート」


 ーーさらに公然猥褻だよ。先輩、公然猥褻罪で捕まんの、確定ですね。立派な犯罪者です。もはや、バニーのコスプレじゃなくて、犯罪者のコスプレですね。


 

 あーだこーだ言っていた先輩方もだんだんと部活に集中し始め、部活もそろそろ終わるという時、


 ーージャラン


音が聞こえた。


後ろを振り返ると、先輩の一人がギターを取り出して、弾いている。


 ーー先輩…いつからここは軽音楽部かなんかになったんですかね?


 部活に無関係なことをしようが、話そうが、叱られたり注意されたりすることがない。それがうちの部活である。


 新入生が集中して活動し、先輩方は雑談したり、ギターを弾いているというシュールな空間の中で、


 ーーほんと、不安になるくらい緩くて平和な部活だ。


一人、本を読みながらそう思った。


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