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狼とドライアード 15(オッドアイの話)
オッドアイの話:
「おい、シルバーバック。急ぎの連絡が来たぜ」
そう言って兵士の一人が手紙を持ってきた。
シルバーバックは手紙を受け取って読みだした。イオが手紙をじっと見つめてる。手紙の表にはどこかの貴族の紋章があったな。
シルバーバックは注意深く何度か手紙を読み返した。手紙をたたんでしばらく迷っていたが、口を開いた。
「ディナン公から、王妃付きの侍従の傷害に関与した件で娘を一人探している、見つけ次第保護するようにとの依頼だ」
イオの顔色は真っ青だった。
「人相風体はイオと一致する。これは、お前のことなのか?」
シルバーバックはイオを見て、静かに尋ねた。
イオが椅子から立ち上がり、逃げだそうとしたので俺は腕を掴んで引き留めた。
イオは俺達の顔を見つめていたが、急に口を開いた。俺は嫌な予感がしたね。掴んでいた腕の震えが急に止まったからな。
聴いた事がないような高く澄んだ高い声が酒場に響きわたり、俺達を圧倒した。