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狼とドライアード 11(イオの話)

イオの話: 


 私はエルンシアに送り返される筈だったが、状況が変わってきた。エルンシアとこの国の関係が悪化したのだ。私一人送り返すくらいどうにかなると思っていたらしいのだが、いつのまにか何か特別な理由でもなければとても無理、という状況になってしまったらしい。


 そのうち、私の事を聞いて王妃付きの女官の口を紹介してあげよう、という人がでてきた。容姿は申し分ないし、教育も受けている。きっと王宮で歓迎されるだろう、という事だった。


 私に拒否権は勿論無く、迎えの馬車が来る日がきてしまった。王宮では歌などとても歌えない。私は憂鬱になった。私は馬車に乗るために館の廊下を歩きながら何を間違えたのだろうと考えていた。私なりに皆の言う通りに努力してきたのに。


馬車の前まで行くと、王宮からの使者が私に挨拶をした。


「ミルドレッド・ド・ディナン様。国王妃付きの女官としてお迎えにあがりました。心からの誠意を以て王妃様にお仕えするように」


そう言って使者はお辞儀をした。私もお辞儀を返した。


ぎりぎりまで我慢して。それでも王宮の生活には多分耐えられない。ここでの生活だって、イオを頼りになんとかやってきていたのに。

私は毎晩子守歌を歌ってあげていたトネリコの木にイオと名前をつけていた。


 イオにも会えなくなると思うと、それでもう我慢ができなくなった。そして、歌い始めると後は歌うのを止める事ができなかった。素晴らしい高揚感。私は恍惚となって歌い続けた。



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