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魔王様は引きこもりたい  作者: 黒駒
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第7話

合言葉はファンタジーだから。


※無断転載禁止

※改変投稿禁止


誤字脱字はそっと直します。







「君がノワールか!」


「いえ、人違いです」


「えっ」



しまった、ついうっかり。いやでも自称した訳じゃないから、私にはマオ=スズキという名前がありますから。

昼食の時間、シノダ先輩がご飯を取りに行くためそばを離れた瞬間、絡まれた。最近はこうして知らん顔して素通りしてたからつい。シノダ先輩も振り返って驚いてるくらいだ。とりあえず先輩はご飯を確保、私は席を確保するために動いた。なんか知らん奴がついてきているが知らんぷり。


「ちょっ、まっ、君だろう?Sクラスのノワールとは」


「人違いです」


「そんなはずは無い!ちゃんと調べて「人違いです」おい待てったら!」



待たぬ。私はこれから先輩とご飯なのだ。邪魔をするでない、と睨みつけたら怯んだようでそれ以上ついて来なかった。

無事に席の確保をして先輩を待つ。両手にトレイを乗せた先輩が苦笑しながら現れたが、何故かその後ろにさっきの奴が。不愉快だ、と眉間にしわ寄せてあからさまに嫌がると先輩も困っているようだった。先輩から片方のトレイを受け取り、ありがとうございます、と小さく零せば空いた左手で撫でてくれた。最近よく撫でられる。先輩に撫でられ満足気に食事を開始すると、さっきの奴が目の前の席に座り、隣に座ったシノダ先輩を睨みながら話しかけてきた。


「Sクラスの君がこんな奴とつるむなんて、何を考えているんだ?そんな奴より、Aクラスである俺と組むべきだろう!」


あっ地雷だ。後で脳内処理しておかないと。爆死前に離れないとな〜。私はシノダ先輩過激派です。

運んできてくれた食材たちとシノダ先輩には罪がないので無言で食べ進める。まぁいつも無言だが。いただきますとごちそうさましか言わないけど、好みの味を見つけたら楽しくなるし、少し量が多かったりするし、苦手なものがあれば頑張って食べると先輩が褒めてくれる。シノダ先輩の食育は完璧だぞ。


「うちのパーティには既に術士が居るが関係ない!喜んで迎えようじゃないか!未来を約束されたこの俺について来れば間違いないのだから!」


「……先輩、」


「おっ、よく食べきったな〜。偉いえらい」


「おいノワール!ちゃんと聞いているのか!だいたいだな、この俺を知らないはずは無いだろうが……」


あー。ゴハンオイシイナー。パンだけど。

午後ってなんだっけ、確か座学のはず。


「……で……俺が……」


あ、ワイズマッド先生の様子も見に行かないとか。今朝から篭ってたからそろそろ声掛けて中断させないと本当に何もしないからな。


「……だから……俺の……」


ワイズマッド先生は教員より研究員の方が絶対合ってると思うんだよなぁ。そろそろ転職を進めるべきか否か。


「……を考えると……」


あ、このサラダ美味い。


「……だから、っておい!聞いているのか?!ノワール!!」


「人違いです」


さて、食べ終わった。ごちそうさまでした、と。さぁー食器返却して授業に備えるかー。シノダ先輩も食べ終わったみたいだし、さっさと行くか。地雷は避けるに限る。尚もついてこようとしたコイツを多分仲間派閥であろう人達が止めている隙に先輩と二人でさっさと食堂を出る。食事は静かに取りたい派なんだけどなー。仕方なかったんだと諦める。


「……なぁマオ、良かったのか?」


「? 何がですか?」


「何って、さっきの。アイツかなり腕に自信あるみたいだし、Aクラスだって言ってたし」


「それが何か?」


「それが何かって。ほら、仲間にならなくて良かったのかーとか、色々あるだろ?」


「別に。興味ありません。次の授業の方が気になります」


「そ、そっかぁ」



ただしシノダ先輩を蔑んだ事は根に持つがな。絶対に忘れてやらん。呪ってやる。クローゼットに足の薬指を必ずぶつけるようなレベルで呪ってやる。痛みで悶絶するがいい!ふはははは!

そういえば、と先輩に本をオススメした。効果の剣士レベルが上がった本を先輩も読めば上がるのでは、と言う安易な考えだ。とりあえず2冊渡しておいたし、早速今夜読んでくれると言うのでありがたい。明日が楽しみだ。

一度、ワイズマッド先生の所へ向かうためシノダ先輩と別れ、一人で歩いているとワイズマッド先生の研究室、基Sクラスに誰か来て騒いでるのがわかった。声からして十中八九さっきの奴だろうからその場でターンして見つからないように部屋に急いで戻り、筆記用具とノートだけ持ちそのままDクラスへ突撃した。地雷は避けるに限る。(2回目)シノダ先輩に慌ててどうした?と聞かれたが首を横に振りなんでもないと伝える。いそいそと定着している先輩のお隣に座り先生を待つ。鐘の音と共に先生が入ってきた。



「諸君、席につきたまえ。授業を始める!」



よし、しっかり勉強せねば。



・・・

・・



「……であるからして、周りの生態系を考慮した場合、この方法が適切と……」


黙々と先生の説明を聞きながら所々板書する。と、突然廊下から騒がしい声が聞こえてきた。先生も一瞬止まり、片眉をあげたが授業を進めてくれ、気にしない方向でいくみたいだ。後ろの何人かは気になってしょうがないみたいだが。

が、ガラリと扉を引かれては先生も黙っては居ないそう。クラスの全員がその元凶へ目をやる。


「……何か緊急かね、ブラン=アンツツ君」


「っ失礼します!俺は、ノワールに用が!」


「そのような名の生徒はこのクラスに居ないが?」


「へっ、いや、そこに居るじゃないですか!」


「……どうやら来客のようだが?」


「人違いです」


「と、言う訳で授業を妨げないで頂きたい。それでは、教科書の34ページを開いて、説明を続けます。」


「なっ、いや、おい!ノワール!」


まだ絡んでくるのか、とため息をつくと今度は先生が怒気を含んで再度問いかけた。


「授業を妨げないで頂きたいと申したが?」


まだ何か?という態度でかなり怒ってらっしゃる先生を前に漸く冷静さを取り戻したのか、慌てて失礼しましたと出ていった。アイツ、ブランって言うのか。覚えたからな。

何事も無かったように先生もするりと怒気をしまい授業を再開し、また板書する。

これ、授業終わったら凸られるやつだよなぁ。めんどくさ。嫌だなぁと思いながら授業を受け、慈悲もなく終業の鐘が鳴り響く。途端にガラリと空いた扉に、まさかサボってまでずっとそこに居たのかとため息を吐く。今日だけで何回幸せが逃げたか、数えるのを辞めた。


「ノワー「先輩、捕まってください」「へっ、こう?」え?」


話しかけられたくないので、先輩を掴んで転移する。転移先は先輩の部屋。隣が私の部屋だし、ちょうどいいだろう(Sクラスになった際部屋を与えられたが主に書庫として使いメインはこちらに残して置いてある)。高難易度の術だが私にはチョロい。が、先輩にはそうでは無いのではしゃぐシノダ先輩。うおー!すげー!と語彙力が低下してる姿は可愛らしく思えた。魔法っぽい!って言ってますが正真正銘魔法ですよ、とは言わず、これから先はシノダ先輩にも転移に慣れてもらわなければと意気込む。Sクラスとは言えほぼDクラスで先輩と共にいるし、逃げるなら一緒の方が良い。先輩にも近ずけないと目標を新たに追加しながらこの日は先輩の許可を得て泊まった。



邪魔されないよう先輩の部屋に引きこもりたい!







間に合えっ!!ってやってたら間に合いました。

ここまでお読み頂きありがとうございます

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