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魔王様は引きこもりたい  作者: 黒駒
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第6話

合言葉はファンタジーだから。


※無断転載禁止

※改変投稿禁止


誤字脱字はそっと直します。













この世界に置けるサラマンダーとは。中型犬サイズのトカゲである。コモドドラゴンのが大きいくらいだ。決して火を噴くドラゴン的な生物ではない。見た目はカメレオンに近く、擬態もするが知能はそこまで無い。周りと同系色になる程度だ。ただ厄介なことに雑食で、肉も植物もなんでも食べる。それにより周りの生態系を崩しかねない為討伐対象として名が挙がりやすい。


今回はそのサラマンダーの巣があるとされる学園より北の森に足を運んだ。適正レベルは20、と言った所だろう。先生を片手にヌルゲーだな、と思いながらサラマンダーの巣を荒らすが如く駆除という名の殲滅をしていく。

経験値がザックザックじゃ。


「……き、貴殿は、魔術師だったな?」


「? はい。」


「……何故、剣で戦うのだ?」


「その方が楽だと判断したので。」


複数の聖剣を操り、ビュンビュンと飛び回る剣にワイズマッド先生は疑問を抱いたようだ。

確かに魔術師なら魔法攻撃が定石だろう。しかし、森の中でサラマンダーサイズに対して魔法攻撃を使うのは逆に難しい。小さい的に当てるのはまだ練習が必要なのだ。個人的には、だが。

森ごと消し飛んでもいいなら変えるが、やっぱり自然破壊はダメだよね、と心のシノダ先輩に訪ねる。シノダ先輩はいつだって全肯定なのだ。


「……森ごと消し飛んでもいいなら魔法攻撃に変えます」


「! いや、今のままでも構わん!」


「それよりワイズマッド先生、あそこ、サラザキの群生地では?」


サラザキとは、毒消し薬の主成分となる花のことだ。

途端に目の輝かせ興奮気味に向かってくれ!と言われサラマンダーを薙ぎ倒しながら花畑へ向かう。


「こんな良い状態のサラザキの群生地は久方ぶりだ!マオ、よく気がついた!少しだけ持ち帰ろう!」


「? 群生地なのに少しでいいんですか?」


「ああ、無闇に刈り取るのは良くないとされている。ギルドハンターでも使う分だけ取るのが鉄則みたいなものだ」


「なるほど、勉強になります。」


そう言って先生は懐から皮袋を取りだし、状態の良いやつを厳選し出したので、今のうちにとサラマンダー狩りに集中する。なるべく凶暴性の高い個体から倒して、小さい子供は見逃す。でかい巣は無いみたいなので雑踏はギルドへ情報提供すれば良いだろう。ついでに個人的に気になった植物を少しだけ採取してサラザキの群生地へ戻る。ワイズマッド先生も採取を終えたようで満足気にこちらへ駆け寄った。


「よし、こちらは大丈夫だ!マオ、サラマンダーの方はどうした?」


「凶暴性の高い個体から倒して、小さい個体は残してあります。ギルドへ情報提供すればよろしいかと。」


「うむ。教える事など無いくらいに完璧だなぁ、貴殿は。さて、そろそろ戻るとしよう。ああ、そのローブは好きにしなさい」


「わかりました」


再び転移魔法の陣を書き込み学校へ戻る。

私はやることが出来た!と言われたので、解散して速攻でシノダ先輩の部屋へ訪れる。

ローブ好きにしていいって言われたから好きにする!


「はーい、どちらさん、ってマオ?!もう戻って来たのか、おかえり」


「ただいまです。先輩、これ」


「ん?これは、ローブか?」


「ある程度の魔法攻撃耐性の着いたローブです。差し上げます。」


「は?!そんな高価なもの、いいのか?!」


「いつものお礼です、どうぞ」


本当にいいのか?!みたいな顔しながらオロオロと落ち着きがないので、無理やり羽織らせて満足気に頷く。これでよし、と。仕方なさそうに、でも嬉しそうに袖を通して姿見の前でくるくると回っている。先輩が嬉しそうで何よりだ。

ついでに洗浄魔法でピカピカにしてあげるともっと目を輝かせた。先輩は元気だ、今日も一日頑張れそう。そして、先生はやることが出来たと言っていたので、そのままDクラスの授業へ勝手に参加した。先生もクラスメイトも驚いていたが、空き時間は有効活用せねば。ピカピカのローブを着たシノダ先輩にいつも通り着いて回って、時々先生へ質問したり、実技は免除されたり。安定の昼食はシノダ先輩セレクトを食べるだけ。美味しいし栄養もあるし、だいぶ食べられるようになってきた。今は先輩とほぼ同じ量を食べている。これにより先輩の笑顔は絶えない。


その後はいつものようにまた授業を受けて放課後、図書室通いだ。ちらりとレベルを確認すると72に上がっていた。やっぱ実践があると上がるなぁと思いながら、図書室で借りてきた本を片手に今日採ってきた植物で魔法薬の精製に励む。上手く作れたと思う頃には月が真上に登っており、慌てて寝巻きに着替えてベッドに入る。


翌日、朝一番に起こしてくれる先輩を待ち、いつも通り起こしに来てくれた先輩にこれを!と昨夜出来上がったフラスコを渡す。ほんのり輝いている蜜色の液体に分かりやすく困惑しており、効果を説明すると酷く驚いた。


「えっ、これ、ポーション?!回復薬の?!作った?!はぁ?!」


万一に備えて、かなりの高回復薬を作ったのだ。しかもひとつではなくダースで。失敗作は倍近くあるが仕方ないだろう。ひとつだけワイズマッド先生に持ってく用にわけてある以外は全部処分済みだし、失敗を知るものは居ない。先輩にダースでどうぞ!と差し出す。万一のためなので自己満足に近い。それを伝えて無理やり受け取らせたあとは、もう何も考えてなかった。今日の朝ごはんは何かな程度だ。


朝食をしっかり取ったあと、ワイズマッド先生の部屋へ訪れて、回復薬の提出をすると先生にも驚かれて他の先生に共有され緊急会議までになった。そんな驚くことかな?と首を傾げながら先輩にダースで渡したことは最後まで言わないでおいた。リョウサン、デキナイヨー。

その後、またワイズマッド先生は引き篭ったので羨ましいと思いながらDクラスに紛れ込んだ。本日は実技なので見学しながらメモを取る。あ、アライ君(?)レベルが9に上がってる。シノダ先輩も13に上がっていた。このまま行けば先輩もCクラスにアップも近いな、とメモを日本語で書き足す。他人に見られたくないところだけ日本語で、あとはルルティエ国の共通語(この世界の基準語)で書き上げる。たまに先輩には見せるが、先生とかに見せたことは無い。これもレベルアップに繋がっているのだろうか、なんて考えながら見学に励む。

このまま、平穏な日々が続けばいいのに。


まぁ、そんなことは無いのがテンプレってやつですよね。悲しいかな、また先輩から離れた時を狙って絡まれたのだ。




こんなことなら引きこもりたい。





次回はちょっと日が空きます。

ここまで読んでくださりありがとうございます。

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