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魔王様は引きこもりたい  作者: 黒駒
3/45

第3話

合言葉はファンタジーだから。


※無断転載禁止

※改変投稿禁止


誤字脱字はそっと直します。











「……であるからして、このような快挙は……」



はい皆さんこんにちは。異世界に魔王として君臨した鈴木真央ことマオさんですよ。

熱出して寝込んだあれから3週間程、シノダ先輩に甘えて引きこもって居たらとうとう学園でも偉い人だろうお方がいらっしゃって何やら演説のようにこの世界の成り立ちやら魔王の目論見やら英雄の名誉とかを長ったらく語っているのを死魚目で馬耳東風してます。ドアを挟んで奥にチラリとシノダ先輩が見えます。分かりやすくオロオロしてこちらを心配してくれてますね。大丈夫ですよ〜私は。コイツら消し炭にしてやろうかとか考えてますが。

いやだって、引きこもりたいんですもん。

私は魔王らしいし、英雄として担がれても……いや待てよ、逆にチャンスなのか?バレる前に魔術師としてある程度活動しといた方が良いのか?それならそうと決めた。よし、シノダ先輩についてって勉強しなくては。


「……という訳であり、伝わったかね?」


あ、ここか?ここで返事すれば良いのか?


「……は「学園長!マオにはその説明は既に伝わってます!そろそろ復帰も予定でしたし、御安心を!」……?!」


シノダ先輩?!ナニヲオッシャッテルノ?!

私、復帰とか、初耳!!ていうかこの髭、学園長だったの?!危うく消し炭にしてやるとこだったよ!もっと早く決意すれば良かった!!クソっ!!!この世界に呼び出した時点でお前らは敵だと認識してるからな!夜道ばかりだと思うなよ!!


「ほら、マオも今日は顔色良いし、体調も十分です!さ、教室行くぞ、マオ!」


「……。失礼します」


とりあえずすれ違い際に頭軽く下げとこう。挨拶大事だし。将来絶対呪い殺すと思っても表には出さない。日本人舐めるなよ。アルバイトとはいえ社畜精神は国民柄だぞ。根は深い。

こうして初めてこの世界で部屋から出ることになるとは……あと3年くらい引きこもっていたかったが、恩のあるシノダ先輩の言うことだ。仕方ない。しばらく無言でついて行くと、突然シノダ先輩が立ち止まる。どうした?と首を傾げると大きく溜息をつきながらしゃがみこんでしまった。どうした先輩?!


「……はぁ〜〜〜〜。マオぉ、部屋から出てくれてサンキュ……まさか学園長が来るとは思ってなくて……わりぃ、学園長って転生者が使えないって分かると学園から追い出すんだよ。出来れば気をつけなよ?」


そうなの?!それ教育者として致命的思考では?!と驚愕してると、色々教えてくれた。

使えると判断されると高待遇、使えないと判断されるとある程度のお金を渡して他国へポイ、そして新たに召喚、を繰り返しているそうだ。おかげで伝説の英雄並の転生者、転移者、術士、剣士などが集中していて、他国からは色々妬まれているが、武力的に黙っているそうだ。

私達は核兵器かよ、と思いながらまた歩き出した先輩に着いてく。私教室の場所知らないしね。

教室も、年齢とかではなく成績の優秀差でAクラス〜Eクラスまでに別れており、私とシノダ先輩はDクラス。普段の授業でも実施や簡易テストがほぼで、中間テストのようなものを月一で行い、成績しだいで半年に1度クラス替えが行われるそうだ。

A〜Bクラスを3年間所属すると卒業、一人前の専門職人になれる(例:剣士、魔術師など)

またはC〜Dクラスを6年間所属でギルド専属に転職。その後経験を積み重ねて専門職人へ。

Eクラスに4年間所属すると退学。国外追放だ。

中々にシビアだなと思いながら先輩の説明を聞く。


「あとは〜、Sクラスのヤツらだな。SクラスはAクラスでも突飛したヤツらで、1~2年で卒業だけどほとんど見ないね。前にSクラスだったってやつは10年前なんだと。今年も居ねぇな。」


まじか!超レアなのがSクラスかぁ。とりあえずEクラスにならないように、で、Bクラスくらいを目指せばシノダ先輩と同時に卒業出来るな、と瞬時に計算する。こんな優しい先輩と離れたくない!(ちなみにここまで面倒見が良いのは隣の部屋で弟に似てるかららしい。ありがとう弟くん。君のおかげで私は救われたよ)


そんなことを考えながら着いていくとDクラスと書かれた札が下がっている扉の前に着いた。凄いここだけジャパニーズ。扉は派手だし窓ついてないけどスライド式だし、意気込みをそっとして先輩が慣れた手つきで開けるのを待った。





……この時の私は忘れていたのだ。


今まで、部屋から出ていなかったことを。










「よぉヒデキ、遅かっ……」


「おっ!おはようヒデキ!……えっ」



「「「「ノワール様ぁ?!?!」」」」



えっ?!?!?!なに?!?!


「あっ……はは〜……ごめん、マオ。」


何が?!?!ちょ、背中押さないで……


「はーい、ノワールこと、マオくんでーす。

皆仲良くしてねー」


えっえっ?!?!?!えっ?!?!?!

ノワールってなに?!エイゴ?!


「えーっと、マオの事って結構噂になってて……強いのに試験にも出て来ないし黒いから気分屋の黒猫って意味でノワール(黒猫)って呼ばれてて……」



何それ聞いてない!!!!!嘘でしょ布団に帰りたい!!ちょ、背中押さないでってば


「なぁなぁ!ノワールってアレだろ!爆炎の!」


「オレ噂じゃAクラス並って聞いたぞ!そうなのか?!」


「テスト受けると卒業しちまうから出ないって聞いたぞ!本当か?!」


え、ちょ、待って、本当に待って


「気分屋のノワール様がとうとうクラスに?!」


「ね、ねぇ!私にも勉強教えて!」


いや、いやいやいや、高一になにを教えろと?!教わる側だわ!!!ていうか、本当に、




無理。




コミュ障にはきつい。





つい、先輩の背中へ身を翻した。





私は悪くない。お部屋に引きこもりたい!!








ここまでお読み頂きありがとうございます。

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