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魔王様は引きこもりたい  作者: 黒駒
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第1話

女→男の表現あり。

合言葉はファンタジーだから。


※無断転載禁止

※改変投稿禁止


誤字脱字はそっと直します。













ピピピと響く電子音の目覚ましを止めて気が重くなる。今日も一日が始まってしまったと。

私は鈴木真央、15歳。読書とゲームが好きなどこにでもいる女子高生。残念ながら友達は居ない。少ないのではなく居ない。いつも教室の端っこで本を読んでる図書室通いの口下手なんて、話しかけられる事なんてほぼない私に友達なんてハイレベルなものは手に入らないのだ。


憂鬱な気分でもそもそ起き上がり、伸びをして体を解し、まだ着慣れない制服に袖を通す。鞄に今日必要な教材と読みかけの小説を詰めてリビングに行くと母が作ってくれた朝食と、「あまり無理しすぎないようにね。今日は遅くなります」と短く書かれた付箋があった。母も朝早いのにいつも朝ごはんと弁当を作ってくれ、時間があれば共にする。記憶にないほど昔、父は事故で亡くなったらしい。再婚することも無く働きながら育ててくれた母には本当に頭が上がらない。

なるべく親孝行したいと思いながら、今のところ反抗期がないという事ぐらいしか出来ていない。少しでも家計の足しにと始めたアルバイトも、「何かあった時のために貯めときなさい」と1円も受け取ってくれなかった。

いい母に恵まれた、とでも言うのか。静かな朝食を終えて、食器を洗い、冷蔵庫のホワイトボードに「今日もありがとう。お母さんも無理しないでね」と書き込み、家の鍵と荷物を持って家を出る。


朗らかな春の風に前髪がゆらされ、心地いい天気に少しだけ気分が上がる。スマホにイヤホンを挿してお気に入りの曲を流しながら人を避けて通学路を進む。最寄りの駅まで徒歩15分。定期券で改札を通り、同じ制服を身にまとった人達に紛れ電車を待つ。まもなく電車が来るというアナウンスが曲間に聞こえ、半歩下がり危険から遠ざかった。はずだった。


気づいたら、飛び出していた。


電車の警笛。ざわめく雑踏。片方外れたイヤホンから流れる曲。すべてが遠く聞こえた気がした。








『召喚に成功しました』









ハッと息を飲むと、地面に座り込んでいた。

なんだ、何が起きた、と頭の中では一足遅れてのパニック状態で、慌てて周りを見渡すと、ありえない光景に驚愕した。


「私」を囲いざわめく人達。その服はアニメでよく使われるのローブのようなもので。


右を見ても左を見ても少し離れてこちらを値踏みするかのような視線。


そして、比較的近くにいた人に声をかけられて、ようやく「私」は死んでいないことに気がついた。


「はじめまして、ようこそルルティエ学園へ」


「あなたは異世界より呼び出された、魔術師の可能性を秘められた人物です」


「我が学園での生活により、未来の魔王を倒すべく勤勉に励んでください」


「さぁ、手をどうぞ、未来の英雄様」







「……は?」


「お名前は?英雄様」


「……えっと、まお、鈴木真央です」


「ではマオ様、早速ですが説明と案内をさせていただくのでこちらへどうぞ」


伸ばされた手を受け入れられないで居ると半ば無理やり捕まれ立たせられる。


なに、なんで、何がどうなってるの、やだ、こわい、こわい、怖い、怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い!!!


「ゃ、」


「マオ様、さぁこちらで一息着いてください。まずは落ち着きましょう。・・・マオ様?」


「ぃやだぁ!」


何がどうなってるのかわからなくて、すべてが怖くて、涙が止まらなかった。その場で蹲り目を閉じて手を伸ばしてきた男性を拒絶した。その瞬間、私の周りに炎が爆発的に燃え上がった。


「ヒッ!お、落ち着いてください、マオ様!」


「ゃ、おかぁ、さ」


ここにいるはずも無い母へ、助けを求めてしまうくらいにパニック状態に陥り、呼吸がだんだん苦しくなって。


そんな時、リンと鈴の音のような音が脳内に響いた気がして、突然音が世界から消えたように静まり返って、暖かい何かに包まれた。


『……マオ、マオ。大丈夫です、マオ。』


『息をして、ゆっくり、息を吸うのです』


『そう、上手ですよ、ゆっくり、ゆっくり息をするのです』


『大丈夫、大丈夫ですよ。怖いものはここにはありません』


優しい、暖かい、大丈夫、それだけが脳内にぐるぐる回る。次第に息も整い、涙を拭われる感触に、そっと目をあける。

そこには、眩しい何かが居た。さっきの男はここにはいなくて。辛うじて輪郭のわかるそれは人の形をしていたが、なんなのかまではわからなかったが、見知らぬ男性よりは安心できた。


『落ち着いてください、マオ。大丈夫ですよ、怖いものはここにはありません』


『良い子ですね、大丈夫、大丈夫ですよ』


『ああ、ほら、擦ると目が腫れてしまいます』


何が起きた、私は、ただ普通に、いつも通りにしてただけなのに、何が、なんなの、わからない、怖い、お母さん。


『大丈夫です、まずは呼吸を意識して』


呼吸、ゆっくり息を吸う。所々しゃっくりしながら呼吸を整えると同時に、涙が止まるのが自分でもわかった。そろりと、周りを見渡すとそこは真っ白の世界で。

再びパニックになりそうな瞬間、暖かい何かが抱きしめるように体を包み、背中を摩られる。


『大丈夫です、ここは、あなたの精神世界のような場所です。ゆっくり、息をしてください』


精神世界、なにそれ、なにここ


『あなただけの場所です。何も怖いことはありません』


だれ、なんで、いや、帰りたい


『……ごめんなさい、貴方にはつらいけれど、受け入れて欲しいの。ゆっくり教えますから』


受け入れる……?なにを?


『まず、さっき居た場所は、あなたの、マオの居た世界とは異なる世界です』


異なる世界……異世界?


『はい。いわゆる、異世界転生というものをしたのです』


異世界転生?私が?そんなの、創作とかだけの話じゃ


『いいえ、残念ながら。召喚師に無理やり引っ張られたようなものですが、あなたはこれから先、英雄のひとりとして生きていかなければなりません』


『ここは、あなた達で言う魔物が溢れる魔法と剣のファンタジー世界。そして、世界の命運をかけた魔王との戦いに備え、召喚されたもの達と絆を繋ぎ深め、鍛えるための学園に降ろされた人々の一人がマオ、あなたです。』


『マオ、召喚されし者よ。どうか、仲間を導き、悔いのない生を。』


待って、なんで私が!


『あなたは元の世界では死にました。』



『ですから、今度の生は長く自由に、世界を見て、好きに生きてください』


そんな、急に言われても!


『ああ、どうかその心、曇なく良い人生を』


待ってよ、いやだよ、死んでもいいから元の世界に返して!







目が覚めると、知らない天井で。

今までのことが全部夢ならいいのにって思っても、夢じゃないと言うように、知らない部屋で寝かされていた。ゆっくり起き上がると姿見が見えて、立ち上がり、その鏡の前に立ちすくむ。全裸なのは百歩譲ってよしとしよう。



「いや、男じゃん!!!」



マオ=スズキ Lv25

職業:魔王

効果:【物理耐性Lv5】【魔法耐性Lv5】【鑑定Lv10】【毒無効】【状態異常無効】【剣技Lv5】etc




「何コレ?!てか私、魔王かよ!!!」





魔王ライフ。強制されました。





もうやだ引きこもりたい!






ノリと勢いだけで書きました。

ここまでお読み頂きありがとうございます。

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