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フェンリルと過ごす早朝ランニング

 安藤家の朝は早い。

 安藤母とサクラは朝五時に起床し、それぞれの用事を始める。

 サクラは早朝のランニングを日課としており、その際にフェンリルも一緒に連れ出している。

 ニースも一緒に走っており、ヴァルキリーとしての仕事がない今、貴重な運動の機会と考えているため、毎朝欠かさず付き合っている。

 と言っても、ニースもサクラもこれくらいの運動では準備運動程度にしかならず、フェンリルに至っては完全に遊びの範疇だ。


 朝焼けの街の、少し冷たい空気の中、ランニングコースをしばらく走っていたサクラたちは、折り返し地点にしている公園で一時休憩を挟んだ。

 夜中に青装束と対峙した場所である。

 同じようにランニングや、散歩に出かけていた者たちと会うと、サクラは目礼や挨拶の言葉をかける。


 彼や彼女たちに、フェンリルは人気者だ。

 一見、狼の特徴を持った可愛らしい子犬なので、皆可愛がっている。特に女子には人気だ。中にはスマホで写真を撮っている者もいる。

 フェンリルはそれらを完全に受け入れており、嫌がっている様子はない。むしろ、撫でられていることを喜んでいる節がある。そして、可愛がってくれる者たちに、たっぷりと愛嬌を振りまいて見せるのだ。


 媚びているのではない。ただ、素直に甘えているだけだ。

 ニースはそう見立てているし、間違ってもいないだろう。


 長きに渡り、闇の中で独り、封印されていたフェンリルは、サクラと出会い、光を知った。この姿は、母親と引き離されたフェンリルが見せる、遠き日にありえただろう、素直なありようなのだろう。


 だからと言って、やってくる者全員に加護を与えているのは、どうかとも思うが。


 また、他に散歩に連れ出されている犬たちと会えば、彼らは皆フェンリルと互いの尻の匂いを嗅ぐか、鼻先をフェンリルにくっるけるなどして、普通に挨拶をする。しかし、それはフェンリルが彼らに「普通に挨拶して、普通に過ごせ」と言い聞かせているからだ。そうでなければ、今頃、町内の犬たちは皆、フェンリルと出会うなりひれ伏すか、そもそもが外出を拒むようになっていただろう。

 それくらいのオーラが、このフェンリルにはある。

 よって、飼い犬たちは全員、普通に接しているように見えて、内心ではかなり緊張しているのだろう、とニースは予想している。これも恐らく外れてはいまい。

 ただ、中にはあまりそんな事を気にした様子もない犬もいる。例えばそれは老犬だったり、元からそう言う事を気にしない性格の者だったりする。

 そして子犬は、フェンリルを同じ年代の仲間と認識しているのか、普通にじゃれてきたり、甘えてきたりしている。


 あの巨大狼フェンリルが本物の子犬と仲良く遊んでいる姿を、主神たちがご覧になったらどう思われるだろうか。

 ニースはそんなとりとめもない事を考えながら、今日も見知った子犬から甘噛みされ、体を擦り合わせられ、楽しそうなフェンリルを見て、ラグナロクの定めはなくなったのだな、と改めて思ったのだった。


 そして休憩も終わる頃、ニースとサクラが昨晩、この公園であったことをフェンリルに話すと、フェンリルは可愛らしく首を傾げた。


「んー? そうなんだー? そう言えば昨日、優しい心を持った人が街に入ってきたっぽいねー」


 コロコロと愛らしい少女の、間延びした声で、フェンリルはつらつらとそんな事を報告してきた。


「サクラたちが会った人って、きっとその人だよー。この公園に残った匂いと一緒だもん」

「そっか」


 サクラの声は嬉しそうだった。

 昨日、一触即発の空気になりかけたこともあったが、ニースから見ても、青装束は悪い人間には思えなかった。

 大神の子にして大いなる狼であるフェンリルが言うなら、青装束は余程の事がなければ敵にならないと、安心できる。


 懸念の一つが消えたことに、ニースはホッと一息ついた。


「でも凄いなぁ。ボクのオーラの中で動けるなんて。ちょっと悔しいかもー」

「神話武装と呼ばれる武器を持っている人物だ。私から見ても、アイツは中々の戦士だった」

「ふーん? ヴァルキリーにそこまで言わせるなんて、大したもんだねー」


 ニースはヴァルキリーとして、相手の強さを把握することができる。

 あの青装束は、サクラとまではいかなくても、かなりの強者と感じ取れた。そしてあの神話武装とサクラが呼んでいたボーガンも合わされば、最高クラスのエインヘルヤルとして見なせる。魔法の腕も大したもののようだし、敵対するとなれば、ニースも油断できない相手だっただろう。


 ニースが青装束に関して色々と懸念していたのは、そういう理由があったからだ。


「ともかく、あの人は敵じゃないってわかったんだ。よかったよ」

「そうだな」


 仲間になってくれれば、心強いとニースは思った。

 サクラは無関係の者を巻き込むことを嫌うが、そうも言っていられない。

 それに、青装束はもしかすれば、利害の一致から協力関係を取り付けることも可能だと踏んでいる。


 サクラは神界での一件で起きる全ての脅威や懸念から、親しい人、できればこの街を守りたいと考えている。

 青装束は、人の世に仇為す存在からこの街を守りたいと考えている。

 なら、上手く行けば、二人の最強クラスの戦士が街を守ることになり、双方の願いが叶えられる結果となるため、実現は難しくないはずだ。


 それに、とニースは心の中で付け加える。

 青装束とは、これから嫌でも共闘することになるだろう。

 あの違和感も、確証はないが、ニースの考えの後押しとなっている。

 サクラにはまだ言っていない。

 それは、これから確かめることができる。


「んじゃ、帰ろうか」


 サクラがニースとフェンリルに声をかけた時だった。


「あの」


 何者かがサクラに声をかけてきた。

 振り返ると、若い女性が、サクラとフェンリルへ視線を向けていた。



ヒメヒナ新曲PVを閲覧し、バチャ見てを思い出してしまったのは絶対に私だけではないはず……。


あ、今回の作業用BGMは某シスターさんの作業配信です。

聞いたのは二回目ですが、色々と考えさせられるところがありました。

シスターさんやたぬさんたちに改めて敬意を表します。


こう書いたからには、やりたいこと、やってやるぞーっ!

という訳で、また次回っ!


あ、セイバーの次回予告を見て響鬼ではなく今更に牙狼を想起してました。楽しみすぎるっ!

そして、創作魂が燃えました。おのれ東映っ、貴様のおかげでまた創作魂が震えたぁっ!!

ありがとうございますっ、そして待ってろよぉぉぉぉっ(何を? ってくらい謎テンション

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