冒険者登録試験当日
❬試験当日❭
「冒険者志願の諸君!準備は出来ているか!?
覚悟はできているか!?できている者はこれから、Cランクのダンジョンに挑戦して貰う!そして、挑戦する際には!この首飾りを全員に着けて貰う!この首飾りには、倒したモンスターの数と個体ごとのランクを記録する機能が付いている!試験の合否は、この首飾りの記録で行う!ちなみに、この首飾りには偽装対策がしてある、くれぐれも偽装しようなどという気を起こすなよ!!」
試験当日、ダンジョンの前で、ギルド副長が試験の内容を説明する。
今回の試験は、普段より志願者が多いそうだ。
志願者の大半がダンジョンを目の前にして、緊張しているようだ。
私は騎士団にいた時に任務で、良くダンジョンに潜り込んでいたので、特に何も感じなかった。
店主を見ても、全く緊張が感じられ無かった。
すると、ギルド副長の大声が聞こえた。
「よし!ではこれより、冒険者登録試験を···開始する!!!!」
ギルド副長がそう号令を掛けると、志願者達が、一斉にダンジョンへ駆け込んで行った。
「店主、私達も行こう!」
「おう··それと···私の名前は❬クルシャ❭だ、憶えとけ」
「!···分かった!ちなみに、私の名は、❬メア❭だ!改めてよろしく頼むぞ」
「おうよ」
二人は軽く自己紹介を行い、獲物を探す。
より深層へ行く程モンスターは強くなる、たとえCランクのダンジョンでも油断は許されない。
「志願者の中に転生者が居たから予想はできていたが、獲物がいないな···」
「ったく、転生者のヤツは他の志願者の事考えれねぇのか?」
冒険者登録試験は、基本的に2層より下の敵を5体程も倒せば合格点に達するはずだ、それを知っているのであれば、なぜこんな事をするのか私には理解出来なかった。
「どうせ、試験の一位の賞金と、昇級、後は、他の志願者を蹴落とすためだろ?」
この試験では、一番評価が高かった者に、100万ゴールドの賞金が贈呈されるのだ、志願者の中にも、多数の賞金狙いが居るだろう。
「譲り合いの心が足りないようだな」
「まったく···それより、このままじゃマズいだろ?❬抜け穴❭を探すぞ」
「あぁ、そうだな」
❬抜け穴❭とは、ダンジョンで稀にある深層へと繋がっている抜け穴の事である。
私達は協力し、抜け穴を探す。
「おい!良い抜け穴を見つけたぞ!」
「本当か!」
クルシャが見つけた抜け穴を覗く。
「ほう、これはかなり深い層まで繋がっているな···少々危険が伴うが、合格のために行くしかないな」
「だな···じゃっ!先に行かせて貰うぜ!」
クルシャが先に抜け穴へ飛び込む。
私もそれに続き、抜け穴へ飛び込む。
抜け穴の中は急な傾斜になっており、凄まじいスピードで深層へ滑り落ちて行く。
「おいメア!コイツは楽しいぜ!」
「こんな体験は初めてだ!これはなかなか、爽快だな!」
私達が楽しんでいると、深層が見えてきた。
手強い敵の気配もしてきたので、気持ちを切り替えて戦闘に備える。
「ここが深層か、転生者は来て無いようだな」
「おい···アレ···人か?」
クルシャが見ている方向に、私も目を向けると、
そこには、妖狐の耳を頭に生やした獣人の美しい女性が···マグマの中に浸かっていた。
基本的に登場人物は女性で構成します。
(筆者の趣味)




