ソウリャと名乗る戦士
戦闘が始まった。
各戦闘は、用意された戦闘用空間で行われる。
戦闘用空間の至るところに魔法の板が浮遊しており、そこに別の空間で戦っている参加者達の様子が映されている。
見物客は、空間の外側の魔法の板を見る事ができるようだ。
「これで、クルシャも私もお互いの安否を確認で
きるな」
一回戦目は私達は別行動をして様子見をする事にしたのだ。
「独り言はそこまでだぞ」
「!···すまんな、癖なんだ」
対戦相手が私に話し掛けて来た。
対戦相手はハルバード使い、全身鎧で包まれているが、その強大なオーラは隠せていない。
見ただけで分かる、この相手は間違いなくとんでもない猛者だ。
「名を···教えてもらえるか?」
「····❬ソウリャ❭だ、お前は?」
「❬メア❭だ」
「·······お前の名····憶えておこう······では、参る!」
「!」
❬ソウリャ❭が地を蹴り、私に斬りかかる。
「(なかなか速いな····)」
私はその攻撃をいなし、距離を取る。
しかし、すぐに距離を縮められる。
「(流石にこんな戦法は使えないな)」
すると、ソウリャが拳に力を込めてハルバードを振るう。
私はその攻撃を警戒し、少し大きく回避する。
「!!」
その攻撃が後ろにあった鉱山地帯を一瞬で更地にする。
「素晴らしい一撃だな」
「····褒めたとて、手は抜かんぞ··」
「(そんなつもりでは無いのだがな···)」
ソウリャの攻撃を避け続け、一瞬見えた隙に攻撃を仕掛ける。
だがしかし、ソウリャはそれを読んでいたかのように、軽く飛んで反撃して来る。
「(隙だけを狙う戦法も流石にダメだったか····もういい、正面から仕掛ける)」
私は一気にソウリャの間合いに入り、剣を振る。
ここから少し武器の打ち合いとなる。
「··やるではないか」
ソウリャがそう言いながら距離を取る。
そしてソウリャは、片手で使っていたハルバードを両手で持ち、再び斬りかかって来た。
「!」
先程までの攻撃も一撃一撃がとんでもない威力を持ちながら、凄まじい速さだったが、両手持ちになるとさらに、強さも速さも上がっていた。
「(久し振りの戦闘、しかも相手は手練れ···楽しくなってきたな)」
するとソウリャがハルバードを横に構える。
「❬万物崩壊の導よ、我が下に来たれ❭」
「!!····❬暖かな光よ、弱き我らの盾となれ❭」
その瞬間、ソウリャのハルバードから雷の一撃が放たれる。
私はそれを察知し、光の盾で防ぐ。
「···まさかその❬力❭を使うなんてな」
「お前もな」
すると見物客の一部が疑問の声をあげる。
「今の技は❬スキル❭じゃないのか?」
それに❬炎の神❭が答える。
『貴様らの言う❬スキル❭とは、魔力を消費して発動するモノ····しかし今そこで使用されたモノは魔力を消費していない』
「!?···一体···なにを条件に発動してると言うんだ?」
『貴様のような者に言うたとて、無駄だ』
「····??」
ー神界ー
ー❬星空の女神アストレア❭の戦闘講座♪ー
『はい···今、メアと対戦者が使用した技は全て❬神の力❭ですね···❬神の力❭を使用するには必ずその属性の神の❬試練❭を乗り越える必要があります、何故ですって?······えーと··』
『はいここからは、アストレア様の側近天使である私が説明します、試練を乗り越える必要があるのは、その人物が❬神の力❭を扱える程の者なのかを判断するためです···また、その試練を乗り越えるとその人物は半分だけ❬本物の神❭になります、その状態になると❬神の力❭が使用できるようになります』
『そうです、また❬神の力❭を使用する者の中には本来の❬神の力❭をも超越した力を使用する者も存在します』
※例·魔王ミティスやその仲間等····
ー❬星空の女神アストレア❭の戦闘講座♪ENDー
ソウリャの猛攻は止まらない。
止まるどころか、その猛攻の速度と威力は上がるばかりだ。
もはや見物客は私達が何をしているのか認識できていないようだった。
「私がここまで攻撃を見せてやったんだ、お前も少しその❬力❭を見せてみろ」
「そうだな····こちらも何か見せねば無礼と言うモノか」
私はソウリャの要求を受け入れ、剣を構える。
❬神の試練❭で取得した力は封じ、星空の女神に解放してもらった力も封じる。
剣に少し握力を込め、空を斬るイメージで剣を振る。
「!!!」
『!··おっと、これは不味いぞ』
剣を振ると、私達の居る戦闘用空間が崩壊してしまった。
「しまったな·····被害が出て無ければ良いんだが····」
『強者よ···今回は許して、空間を修復したが···次空間を斬るような事があれば即失格とする、気を付けておけ』
「すまん、つい···」
「···ほぉ··空間を斬ったか·····貴様、何故··私にその攻撃を向けなかった··?···情けでも掛けたつもりか···?」
ソウリャが自身のハルバードに握り潰さんばかりの握力を掛けている。
「いやすまんな····狙いが上手く定められなくてな···次こそは、必ず···」
「·····まぁ、良いだろう」
私は星空の女神に解放してもらった力を解放し、剣を再び構える。
「······覚悟」
そう言ったと同時にソウリャの背後に周り、首に向けて剣を振る。
「!!!!!」
猛者同士の血戦